2018/12/30-2019/1/1 鋸岳-甲斐駒ヶ岳

[12/30] 戸台(08:44)-(10:19)角兵衛沢出合-(12:45)大岩下
晴れ、稜線で強風の予報。

朝の8時で戸台の第一駐車場は空きが5台程度。雪は全くない。前週の八ヶ岳で11月並みの積雪であり、その後に大きな降雪はなかったため、ワカンは残置して出発する。
一時間半ほどの歩きで角兵衛沢の出合に到着。登山道に立派な案内板があり、迷うことはない。飛び石伝いに戸台川を渡渉して樹林帯に入る。
踏み跡はところどころ不明瞭になり、地形的にもわかりにくいので、赤テープを拾いながら登って行く。

水を持ち上げなかった事を少し後悔したが、ガレ場に出たあたりから雪が現れ始めて安心する。岩小屋のある大岩には12:45に到着。予定では角兵衛沢のコルまで上がるつもりで時間も十分にある。
ただ、予報では夕方まで強風であること、岩小屋の水場が涸れていなかったことから、今日はこちらに泊まることにする。

風は避けられ、下地は平ら、水は放っておけば溜まってくれるで快適至極。午後も早い時間から一人宴会を開始。

[12/31] 大岩下(07:30)-(10:06)角兵衛沢ノコル(10:25)-(14:33)大ギャップ-(15:21第二高点-(16:10)中ノ川乗越
晴れ、風は穏やか。

朝からやってしまった。昨晩は早く寝すぎて深夜に目が覚めた後、二度寝したら寝坊してしまった。急いでお茶漬けを食べて、ハーネスを履いて7時半に出発する。
サラサラの雪に覆われたガレは雪が固まらず歩きにくい。どうやら昨日の遅くに上がってきたらしいトレースがあるのが助かる。
一時間ほど登ったところで左岸側にテント跡があった。コルまで上がらずともここで泊ることも可能だった(もっとも大岩下の快適さには敵わないが)。
2時間半で角兵衛沢のコルに到着。ここでアイゼンを装着。稜線沿いに向きを変えて進む。
前回、3月に来た時には、第一高点まではラッセルで1時間も掛ったが、今回は雪も少なく、またトレースもあるため30分で到着。小ギャップは鎖もあるが、念のため懸垂下降。小ギャップの底からの登り返しは鎖沿いに行くと逆層の岩に足場がなく、直ぐに左に移った。単独でなかった3月は出だしで短くロープを出したところだ。
これを登り切り、3月に歩いた痩せた尾根を右に水平トラバースするとトレースはない模様。この先にはフィックスロープが張ってあるのだが、その手前が切れており今回は渡れない。見ると痩せ尾根の左側に赤テープがあり、フィックスの張ってある稜線を左から巻いていた。鎖の支点まで戻ってそちらのルートを試みるも、ほんの2mの長さで雪が落ちた岩が露出しており、これが渡れない。しばらく逡巡して、結局、水平トラバースの先まで進んで、岩角にロープを掛けて3mの短い懸垂とした。
トレース通しに若干の木登りで上がると鹿窓に出た。ここは冬道の通り山梨側の稜線を行って第三高点に到着。この先は左から降りて右にトラバースしてから枯れ木で懸垂となるはずで、3月の時はトレースが無くてもそのルート取りを見つけられたが。しかし今回は立派な立ち木に何本も巻かれた新しめの捨て縄に誘われて、早めに懸垂を開始してしまう。20mの懸垂で降りた先でトレースが見つかり、こちらは右手に数歩進んで見えなくなっていた。ただそちらのクライムダウンは難しそうだったので、左手にあった残置スリングでまた懸垂。すると大ギャップから随分と山梨側に降りてしまうことが分かった。登り返してまたルートを探すも、大ギャップの側には近づけそうにないし、立ち木も無い。最初の懸垂箇所をフィックスロープにマイクロトラクションを掛けて登り返しを試みるも、全装だとなかなかに辛くて諦める。
懸垂する先のルンゼを眺めていたら登り返しは出来そうだったので、覚悟を決めて懸垂して底まで降りた。結局、懸垂は3回だった。3回目の懸垂支点は足場が悪く、灌木に取ったセルフにぶら下がってのロープセットとなった。一人だから良かったが、人数が多いと難しかっただろう。

雪の詰まったルンゼはところどころ腰ラッセルだが危険はなかった。大ギャップを信州側に乗越して、ザレを下って信州側の斜面をトラバース。草付きを上がり稜線に乗ると程なくして第二高点に到着。
中ノ川乗越への下りは雪が少ないところはガレとザレで歩きにくく、雪の多いところを選んで下った。時間的に六号石室は到底無理なので、今日はここまで。雪の多い灌木帯の際を選んで整地すると、今年最後の夕日が沈むところだった。
3月には使えた岸壁の染み出しは見つからなかったので、今晩は水を作る。年越し蕎麦を頂いて、メイルで翌日の天気予報を確認すると、朝から風が強い予報。甲斐駒山頂で6:00に風速17m/sから強まり、12:00で20m/sとなっていた。予備日を入れればまだ3日あるが、さらにその翌日は悪そうなので、出来れば明日中に下山したい。朝起きて予報より風が悪そうなら熊ノ沢エスケープでも良いくらいに考えて、予備日のお酒はあまり考えずに一人宴会。

[1/1] 中ノ川乗越(05:00)-(07:57)六合石室-(10:38)甲斐駒ヶ岳山頂-(17:54)戸台
晴れ時々ガス、のち晴れ。弱風のち強風。
3時に起床。5時出発。風はまだ強まっておらず、予報より弱いか遅れているようだった。参考記録から甲斐駒山頂には12時前には到着できるだろうこと、20m/s程度の風で痩せ尾根でもなければ行動可能だろうとの判断から甲斐駒を目指す。
幸いにもトレースが残っており、これに大いに助けられた。トレースは稜線の登りから始まり、次第に山梨側をトラバースする箇所が増えてくる。赤テープはたくさん見られ、藪漕ぎもほとんどない。しかし、一人でルートファインディングとラッセルだと相当に時間が掛ったに違いない。
三ツ頭からは烏帽子岳方面からのトレースも合流してきて、もう道に迷う心配はなさそうだ。
樹林帯を抜けるとすぐに六合石室に出た。さすがに風は強くなってきた。石室の中で休憩してテムレスの下に薄手の手袋を嵌めて寒さに備える。石室からは出口と反対側から山梨側の岩場を進んだ。鋸岳のツルツル逆層と違い、花崗岩のフリクションは登り易い。
出発して5分も経たないうちに風上側の右手のテムレスが凍ってしまったので、厚手手袋とオーバー手袋に替える。雪と岩の稜線を進み、10:38に甲斐駒ヶ岳の山頂に到着。生憎ガスに包まれて何も見えない。何人かが強風の下で休憩していたが、こちらはとっとと駒津峰に向けて下山開始。
こちらは広い斜面で、トレースが無くてガスが濃かったら分かりにくそう。1時間ほど下って樹林帯に入ったところで登攀装備を解除して休憩。仙水峠から北沢峠を経て、丹渓山荘は16時頃。廃屋に泊まって翌日の朝に帰るのも魅力的だったが、ロクな食事も残っていないので戸台まで帰ることにする。
二つ目の堰堤を越えた先でへっ電となって車に戻った。

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