2017/6/17 蜘蛛の糸5.11c

蜘蛛の糸5.11c 2017年6月17日

福田晴子

■アプローチ
小川山屋根岩2峰のダイヤモンドスラブには初夏の日が照り付けて、今日も暑くなりそうだ。
隣のセレクションでは、「体が上がらないから引っ張り上げて~」と楽しげな声が響いている。
先週からリードを始めたが、核心でのバランスの悪さに気持ちが負けて大フォールし(と言っても3m)、左足にロープバーンを負ってしまった。傷パワーパッド大サイズを2枚貼りしたが、膿が隙間からポタポタ垂れてくる。傷跡が残るだろうなあ。
先週は、チームクモイト3人組のうちS木さんが土曜日1便目であっさりRPしてしまったので、今週はM井さんと。二人ともワンテンだ。

■1便目
緊張のあまり、先週は靴紐を結わかずに登り始めた。例によって、寝不足とか、減量失敗とか、業務繁忙とか、ヌメるとか、言い訳ばかりが思いつく。Mさんにヌンチャクを掛けてもらったので、仕方なく一番手で。
下部のトラバースは、左手をハンドからサムカムに変えてからムーブが安定した。ここは、気持ちが入っていないと、つまり丁寧に足ジャムをしないと落ちる。C#0.5の後、第一ダイクにカーブナッツ#6を上から落とし込んで、第二ダイクまでは快適なフィンガー。第二ダイクはC#1を手前の赤色カムが右になるように下からセット。第二ダイクには体を左に振って右足から乗り込む。去年、池田功さんから貰ったロックス#4を第三クラックにセット。その下第一クラックの上の方にC#0.75をステムが足の邪魔にならない角度でセット。で、レスト。

■核心
核心は、第二ダイクから3つのクラックと2つのフレーク状を経てハンドクラックまで。核心中の核心は、ホンの70センチほどだ。
初め、右フェースの白い薄カチを使うムーブを試みたが、体幹を酷使するので歩留まりが悪すぎる。その後、体を左に振るムーブに修正し、先週からリードを始めた。
息を整え2~3分休むが、心拍数は上がったままだ。「行きます」とコールして。
左足ダイク上のクラック、右手やっと届く第三クラックにアンダーぎみに入れ、右足粒に乗り左足第一クラック(0.75の下)、から、左手ポケット。ポケットは浅く、指の収まりが決まらない。指の良い位置を探り抑え込んで、右足を第二クラックの上の方にしっかり入れて足ジャム。体を壁に貼り付けるように立ちこんで、怖いけど左足を切って、右手で下の白いフレーク状を取りに行く。取れた。なるべく高い位置に入れると指が入る。左足第三クラックになるべく深く入れ押し付ける。この時、どうしてもロープの中に足が入ってしまうので、ここでフォールすると逆さまになるので注意が必要。すぐに、右足をすぐ上の粒にインサイドで立ちこむ、と同時に、体を左に振り左手で上のフレーク状を逆手で取りに行き(人差し指が少しだけ掛かる)、すかさず左足をポケットに入れる。最終のナッツは足の下なので、とても怖い。先週は、ここで落ちてロープバーンだ。今日は、気持ちを強く持ち、左足をポケットに入れて、すかさず膝を外側に倒す、と、バランスが改善してハンドクラックに左手を伸ばせる。出来た。後は一旦リップをとらえ、体を左に振って蜘蛛糸のクラックがなくなるまで進み、枯れ木に合流。あれ、土曜の1便目で終わってしまった。

■ルートについて
ルート名は、芥川龍之介の小説名からとったものだが、見れば納得。ダイヤモンドスラブの上部に位置し、美しく天国を目指すダブルクラックである。右クラックの限定が「蜘蛛の糸11c」、左のハンドクラックを限定なしで登ると「枯れ木を落としたよ11a」であり、下部と上部は共通。
蜘蛛の糸は、イムジン河、バナナクラックと並ぶ小川山3大クラックと言われているが、人気マルチのセレクションに隣接し、目立ち度はナンバーワンでしょう。2016年8月30日にイムジン河を完登しているので、残るはバナナクラック。登れたらカッコイイんだけれど、ねぇ。バナナと、スーパーイムジンと、スコーピオンは人生の目標です(大風呂敷!)。
今回は、2017年5月から6月中旬まで毎週ほぼ貸し切りだった。2016年10月に枯れ木をトライしたときは3組待ちで諦めたりしたけれど、春シーズンは空いているのでおすすめ。静かで快適なクライミングを楽しめた。
実力のある人はオンサイトしてしまうルートだし、山岳会の記録にアップするには大げさとか、個人的な小さい記録と言われそうだけれど、嵓にもフリーを楽しむ衆がおるということで。
去年の枯れ木のトライからお付き合いくださったM井さん、S木さん、K村さん、O西さんに感謝します。

■ギア
下から、C#1+60スリング、ヌンチャク短、ヌンチャク長、C#0.5、カーブナッツ#6、C#1、C#0.75、ロックス#4、C#2(最後ランナウトした。核心後のハンドにC#0.5入るが入れずじまいに。)
シングルロープ50m。下降も50mで可能。
セレクションのテラスまで7m程フィックスを張っておくと、日陰で休憩できる。
ビレイ点の残置ビナは、毎週、ダーククリスタルを登る人に持っていかれてしまう。終了点は無事。
日焼け止めと、飲み物は多めに。

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