2017/3/20 稲子岳南壁左カンテ

2017/3/20
 メンバー:WK


319日(日):朝東京発。連休中ということもあり、中央道は渋滞気味。須玉インター近くのスーパーで飲食物を買い込み、稲子温泉駐車場へ。登山道ゲート前にある稲子温泉駐車場はそれほど大きなものではなくほぼ満車状態であった。13時半頃しらびそ小屋隣のキャンプ地に到着(駐車場から小屋までゆっくり歩いて2時間弱)。テン泊は一人一泊700円を小屋で支払う。水は小屋に容器を持参すればいくらでももらえる。テン泊者用の戸外のトイレは男子小用、女子用が一つずつで、女子用は和式。

 テント設営後、取り付きまで偵察に出かける。日本登山大系によると、「みどり池から中山峠への道をたどりしばらく行くと、右手に稲子岳南壁から押し出した大きなガレが近づくところがある。南壁へはこのガレをまっすぐ上がると近い、、」とあるのだが、雪が積もっているせいか、ガレは見当たらず、ネットで見た過去の記録の情報を頼りに稲子岳の方向へラッセル。途中、踏み跡に出くわし、以後は踏み跡をたどる(実は登山道の下部からこの踏み跡は付いており、登山大系のガレを想定していた我々は通り過ぎてしまっていた)。しばし樹林帯歩きの後、きつい急登となる。ここはガレ場のようだが、雪が付いているので歩きやすい。急登を詰め、南壁の基部少し手前で左にトラバース。取り付き近くの木の枝にはいくつか赤テープが付いていた(近くまで行かないとよくわからない)。取り付きのリングと赤いハーケンを確認してテン場に戻る。

 連休二日目、テン場は大混雑ではないかと思いきや、我々の他は小学生の親子連れ一組だけでほぼ貸切状態。夜はモツ煮込み、扁炉鍋、鮎の干物。鮎の干物を炙ったらテント内に煙が充満し危うく窒息するところだった。夜半から風が強くなるも我々のテントは樹林にほどよく囲まれていて影響なし。

 320日(月)

4時起床の予定が事情により5時起床となる。多分順番待ちはないだろうということでのんびり準備し、出発は7時。取り付きまでは1時間弱。この頃には心配していた風も弱まる。

 1P目:取り付き目印の赤いハーケンから先を狭いクラックにアイゼンをかけ登る。ここを越してしまえば後は普通。登山大系では、1P目30mとされているが、30mも登らない所に残置スリングのビレイポイントがあったので、ここでピッチを切った。

 2P目:階段状で特に問題なし。すぐにビレイ点に着いてしまったのでピッチを切ったが、通常の1P目思われる。

3P目:途中、ペツルが打たれている凹角のノッペリした壁が少し登りにくい。よく見ると左側にアイゼンの先をかけられるところがあり、そこに立ち込むとガバをつかめる。その上少し登ったところに残置スリングのビレイポイントあり。浮石多数で注意が必要。

 4P目:正面フェースの左側クラックと右側チムニー、両方とも上れそうであるが迷わずチムニーを選択し登り始める。上部がかなりガレており、左に1mほどトラバースし、クラック上部に出た。その後は階段状で、ペルツアンカー2個のビレイ点に到着。ちょっと短いがピッチを切る。

 5P目:階段状で、上部は頂上直下の壁下をトラバース。これまでのように残置スリングのビレイポイントはなく、リングとハーケンを使った(この少し奥に新しいボルトが打たれていたが、気付かなかった)。

 6P目:テラスより上を見上げるも、残置支点が見当たらず、ウロウロする。左に20mほどトラバースすればルンゼ状のルートがあり覗いてみると支点は無いものの登れそうであるのでとりあえずトライ。傾斜はそれほど無いが、斜面が硬く凍っており、ピッケルも刺さりが悪い。アイゼンで蹴りこみ登るも支点が取れない。岩の隙間やピナクル等で支点を取り、少し登ると山頂に着いてしまった。帰ってきて調べると多分間違いルート。何処を登れば良かったのだろうか。 

終了点付近からは天狗岳が一望。風も無くほぼ快晴。しばらく誰も来ていないのであろうか、下降する踏み跡はない。緑色の細いロープに沿って降りていくと雪の付いた樹林帯となる。方向を確認しながら進むと薄い踏み跡のようなものを発見。それを追っていくと徐々にはっきりとした踏み跡となり、最後は登山道と交差。終了点からテン場までは1時間ほどで到着。残り物のほうとうと肉をたいらげて軽量化の後下山開始。稲子温泉駐車場到着は14時過ぎ。

 連休最終日ということもあり、帰りの中央道は25キロ超のうんざりする渋滞。都内まで4時間以上要したが、東名の40キロ超、関越の30キロ超の渋滞に比べたらまだましか。

 20日朝は出発時にしらびそ小屋前で写真を撮っていた小屋泊のお姉さん方以外、テン場に戻るまで誰にも会わず、貸切状態。ゆったりのんびり楽しいクライミングであった。

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