2016/8/20 イムジン河5.11c/d RPの記録

福田晴子

2016年8月20日(土)10:00
雨が降ってきた。ウエザーニュースはハズレ、気象協会の予報が中った。台風が3つ来ているのだった。
1便目は、核心部第三クラックのサムロックまで取れたけれど効きが甘く、右足をダイクに乗せたものの立ち込めずに落ちた。ワンテンとなってからもう4日目。妄想ではもう20回RPしている。今日どうしても登りたいけど、雨が降ってきた。今日も練習で終わるかもしれない。
2便目、取り付きはハングの下なので直接雨はかからないけれど、霧状の吹き込みがあり体が濡れる。あまり気合が入らないので「じゃあやってみまーす」と練習モードでスタート。下部1/3は、自動化しているので問題なし。
核心部(中間部1/3)。ダイクに乗ったら右足をハンドクラックに縦に入れて、ロックス#4を手の届く限り一番高い部分に入れる。その下にロックス#3。顔より上に右指4本が第二関節までクラックに入る。「行きまーす」と声を掛け、左足クラック上のとんがり、右足フェースの米粒に乗せ、左手をやっと届く第一クラックに順手。ここは小指がやっと引っかかるが荷重すると痛くなるのですぐに右手(人差し指が凹みに入る)をダイクに伸ばす。

P8140130
左足をクラックの収まるところに丁寧に置いて、(右足は切れてしまう)主に左手で引き付け、右手第二クラックに順手で入れる。なるべく奥に入れる。
左足は上げずにそのまま(上げると滑って足が切れてしまう)左手を逆手でサムロック。1便目で失敗したところだ。位置が低すぎたのだ。さっきより1.5センチ上に入れると、バッチリ決まる。右手も決まっている。左足をクラックの適当なところに上げて右足をダイクに乗せ、右に重心を移す。しっかり引き付けて、右手をハンドクラックに伸ばす。取った。しかも、疲れていない。
あとは、C#2を二つと、大フレークの下にエイリアンの緑と黄色を決めて、クライムダウンはせずに(レストの為クライムダウンの予定だった)突っ込んだ。最後の1/3は、おそらくみな同じように登っていると思う。疲れていなければ大丈夫。いつものように、レイバックでああやってこうやって、ガバフレークをブン掴んでテラスに乗り込む。
終わった。写真を撮って、いつものようにスーパーイムジンの終了点まで四つん這いで登る。とりあえず終わってほっとした。うれしい気持ちはあとからじわじわ湧いてきた。

P8200139

■RPするまで
イムジン河は、廻り目平の駐車場から見える岩塔お殿様岩に1982年8月に池田功さんにより開かれたクラックルートである。ガメラさんの本では、「今登ってもたまげるほど難しい小川山の代表クラック」と書かれている。ヨセミテに行く前に、登っておきたいルートという話も。
7月3日、初登者池田功さんがお知り合いを接待クライミングするということで、お手伝いを仰せつかった。お客様4人を連れて、隣の大貧民ルート(5.7)2P登り懸垂で降りつつスーパーイムジンにトップロープを掛け、その日は1度だけトライした。美しいフィンガークラック。ダイクで3分割すると、中間部1/3が全くどう登ったらいいやらわからないブランクセクション、ここが核心部だった。杉野保さんHPによると「ムーブはフェイス的で、ジャミングに不慣れな人も登りやすい」というけれど、核心はクラックなのでどうでしょうか。
トップロープ3日目に核心部を突破したのでリードトライを開始した。しかし噂通りカムのセットがうまくいかない。クラックの内側がガタガタしているので、テスティングするとパカッと開いてしまう。きれいに決まったように見えても、フォールしたらパカッと開いて外れるかもと思うと、体が縮こまってしまう。カムは諦め、池田さんからもらったロックスを使う。これで何度かフォールするうちロックスに慣れてきた。
イムジン河は、東面なので午前中はこの季節暑くてのぼれない。正午ごろから岩が陰るので、午前中は近場の最高ルーフなどで時間をつぶし午後2時頃からトライした。いつもほとんど貸し切りだった。兼原慶太さんとか、安江斉さん(多分)など強い人が訪れては、ささっと登っては去っていった。
8月6日には、リードでワンテンとなった。しかし限界越えのため1トライすると体がヨレて、2便目は1便目より登れなくなってしまう。特に核心部の左ピンキー(小指)が痛くなってしまい、引き付けられない。足が決まっていないからだ。
山岳ガイド佐藤祐介さんのアドバイスにより、靴はミウラーウーマンからモカシムに変えた。フィンガークラックはつま先が薄い靴が良い。1ミリでも奥に差し込んで、足首を回転するイメージでこじ入れて立ちこむのだという。

■感想、反省、次に向けて
フィンガークラックなので、指の太さにより登りやすさが違ってくる。一般的には細い指で、掌が薄い女性が有利と言われている。私は核心部で効く場所を発見できたので、有利だったと思う。ちなみに久保田彩ちゃんは、中間部のフィンガークラックはいつもノーミスで、核心は上1/3のフレーク部分だったとか。人それぞれなのだなあ。
今回の登り方は、YouTubeの赤いTシャツの人と類似のムーブになった。が、私が使った米粒スタンスを使っている人はいないみたいだ。指が決まるとか、手が届くとか人それぞれなので、動画を見ても上手い人や体格の異なる人の登りは参考にならない。
私のこれまでのクラック最高グレードは春うらら1P目11bなので、グレード更新となった。が、今回はグレードに関係なくいつかは登りたいルートだったので純粋に嬉しい。同じクラスでは蜘蛛の糸とトワイライトは登りたい。
次の目標は、とにかく何でも良いのでフェースの12aを登りたい。ロクスノ66号「12を目指せ」の通りに実践しようと思う。作戦名はアンジー計画(イラストレーターの江崎さんが命名)。みなさま、ビレイ、ゲキレイ、よろしくお願いします。

■プロテクション(下から順に)
エイリアン グレー
ロックス#2+長ヌン(なくてもよい)
リンクカム 赤
X4 #0.2 (なくてもよい)
ロックス#3
ロックス#4
C4 #2
C4 #2
エイリアン 緑
エイリアン 黄色

Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Google Bookmarks