荒沢山~足拍子岳

2015/3/28~29
桜井(L)、中村、N(記)


(28日)土樽12:30~荒沢山15:30
(29日)荒沢山6:15~足拍子岳本峰9:30~南峰10:00~土樽駅13:00

GWの雪山アルパインに備えて、荒沢山から足拍子岳までの雪稜歩きに出掛けてきた。今シーズンは山スキーがメインであったこともあり、基本のアイゼン歩行からおぼつかない。私にとってはいろいろと課題の多い、ちょっとしょっぱい山行となったが、当日は天候にも恵まれ、一足早い春山を心ゆくまで楽しんだ。荒沢山~足拍子岳は、「岳人100ルート」にも選ばれる、短いながらも雪山アルパインが凝縮された名ルートであり、ぜひ来シーズンもリベンジをかけて挑戦したい。

○3月28日(土)
東京を早朝出発し鈍行に揺られ土樽駅に到着したのはもう正午を回っていた。駅舎で荷分けをして外に出ると、今回縦走する荒沢山、足拍子岳、そしてその間をつなぐ尾根を一望することができ、テンションがあがる。土樽の裏山的存在というのも頷ける。
魚野川の橋を渡って雪原に足を踏み入れる。2、3日前に雪が降ったらしく、膝下ぐらいのゆるんだ雪をつぼ足でカドナミ尾根に向かって進む。先行者と思われるスノーシューとスキーのトレースがあった。
尾根の末端ははっきりとしなかったが、谷を一本越えて急な雪の斜面を少し上がると明瞭な尾根に上がることができた。あとはひたすら山頂に向かって登るだけだが、今回はあまり軽量化を考えていなかったのと、午後のくさった雪に苦戦。途中、半分ぐらい登ったところで上から下りてきたスノーシューを履いた5人ぐらいの集団と擦れ違う。
高度を増すにつれて細尾根となり、ところどころしゃくなげ漕ぎとなるが、取り付きから約3時間で荒沢山直下のジャンクションに到着。ほどよい平坦地があり、そこを本日のテン場とする。荷物をおろして荒沢山のピークを往復。テン場は360度の眺望が開け、当日は風もなく、春の暖かい日差しが降り注ぎ、まだ雪深い上州の山々を思う存分眺めることができた。arasawa01
夕刻には山々が赤く染まり、明日の好天が約束された。早々に酒盛りに移り、明日の本番に備えて早めに就寝。

○3月29日(日)
翌日は、4時に起床。明るくなるのを待ってテントを撤収し、足拍子岳に至る尾根に向かう。早朝の雪はよく締まっておりアイゼンがよく効いた。いつのものかはわからなかったが、明瞭なトレースが残っていた。
少し行くと直ぐに細い岩のリッジが現われ、初っ端から緊張する。全装備を背負ったまま両サイドがスパッと切れ落ちた岩の上でアイゼンを履いてバランスを取らなければならず閉口した。恐々と通過し、雪庇の張り出した雪稜を進む。前日に遠くから眺めていた時と比べ、実際の尾根は細くアップダウンも大きい。木につかまってのクライムダウンや傾斜の強い雪壁もあり、終始緊張が絶えない。

arasawa02雪面も日が高くなるにつれ、徐々にぐさぐさの悪雪に変わり、ところどころ見えない穴に足をとられる。途中、ホソドのコルで立ち木を支点に1ピッチの懸垂下降。その後、もう一箇所ロープを出してようやく足拍子岳の鞍部に到着。 最後は急な雪の斜面を山頂に向かってひたすら登る。南尾根に向かうリッジと交差したところが少し傾斜が緩んでおり、そこを歩いていると、いきなり大きな音とともに足元が崩れ落ちた。ちょうど傾斜が変わったところの雪が溶けてスノーブリッジになっていたのを中村さんと私が同時に通過し、重さに耐えられずに崩壊したのだ。幸い2メートルほど落下しただけで済んだものの、よく見ればわかったはずであり、反省すること仕切りであった。 なんとか穴から脱出し、そこからはザックを置いて、空身で足拍子岳本峰のピークに向かう。灌木が生えているものの、薄く雪がついただけの急な斜面であったため、念のためロープを出して桜井さんにリードしていただく。しかしながら1ピッチ登ったところから先の雪の斜面に、大きな断裂ができている。ついさっきスノーブリッジ崩壊を目の当たりにし臆病になっていたこともあり、山頂部分に乗っかった雪もいつ落ちてもおかしくない状況のように感じられ、「あえてここで突っ込まなくてもよいではないか」との結論に至り、30メートルほど上のピークを諦め、そこからクライムダウンすることにする。
arasawa03本峰を越えてから南峰までも急なリッジが続き、更に緩くなった悪雪に苦しめられた。何回も穴に落ち込み体力を消耗。すると今度は、左足のアイゼンがないことに気付く。穴に嵌って無理やり足を抜いた際に脱げてしまったようだ。引き返して探してみるも、雪に埋まったアイゼンを探すことは容易ではなく、已む無く右足のアイゼンだけで下山することにする。途中、ゆる雪の斜面で足元が定まらず、数十メートルずるずるとずり落ち(滑落?)し、ヒヤッとする場面もあり、さらに反省。
足拍子岳からは南尾根を下りるのが一般的であるが、どういうわけか支尾根に迷い込んでしまった。途中、何回か行き詰り、懸垂下降、となりの尾根へのトラバースを繰り返し、ようやく駐車場まで戻る。山頂に向かって南尾根から一本左の尾根を下りてきてしまったようだ。

午後になって急速に雲が広がり、土樽駅に着いて駅舎で休んでいると間一髪、雨が降り始めた。かくもしょっぱい山行であったが、幸い怪我もなく無事下山することが出来た。いつもながらリーダーの桜井さんに感謝である。今回の山行の反省をしてGWに備えたい。

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