2014/3/8-9
鈴木、大沼、斎藤、N 記 N
3月8、9日の週末に八ヶ岳合宿に行って参りました。
(私のカメラのバッテリーが寒さのためあがってしまい、写真をとることができなかった点はご容赦願います。)
今回の合宿では、週末の二日間で、1月の合宿の際に雪が多くて登れなかった阿弥陀岳北稜をリベンジするとともに、赤岳南峰リッジにのぼり、赤岳から横岳を通って硫黄岳までの縦走をこなすのが当初の目標であった。
前週には、雨の中、丹沢 広沢寺でのアイゼントレをこなし、万全の体制で臨んだ。
結果的に、初日、またもや雪のため、北稜取り付きまでのラッセルで時間を要し、敗退の悪夢がよみがえったものの、二日目は、天候と仲間に恵まれ、懸案の北稜を片づけ、南峰リッジにものぼることができた。
時間の関係で、硫黄までの縦走はお預けになったものの、満足のいく内容だった。
ご指導いただいた博道さんに感謝したい。
【メンバー】
博道さん(CL)、大沼さん、齊藤さん、N(記)
【行程】
2014/3/8(土)
前夜22時 新宿駅西口集合 - 1時 小淵沢道の駅 乾杯後就寝
5時半 起床 - 6時 美濃戸口 7時出発 - 11時 行者小屋 テント設営・ランチ- 12時半 阿弥陀岳北稜偵察 - 15時 北稜稜線上までラッセル - 15時半 行者小屋 宴会・夕食 18時半就寝
2014/3/9(日)
3時10分起床 - 5時10分出発 - 7時 阿弥陀北稜第1岩峰取付 - 8時 登攀開始 - 9時 阿弥陀岳 9時半 - 文三郎尾根分岐 - 9時40分 南峰リッジ取付 - 10時20分 赤岳山頂 10時40分 下山開始 - 11時半 行者小屋 テント撤収・大休憩 13時 出発 - 14時40分 美濃戸口 - 帰京
【山行記録】
2014/3/8(土)
前夜新宿西口に集合し、大沼車にて、中央高速を小淵沢へ。
途中工事のため車線規制があり渋滞があったが1時前には道の駅に到着。
軽く乾杯した後、就寝。
翌朝は5時半に起床して、準備もそこそこに6時には道の駅を出発。
今回は少人数パーティだったこともあり、行動はスムーズ。
美濃戸口にて共同装備をわけて、7時過ぎに出発。
小屋番の方によると前日にも20cm弱の積雪があったようで、雪は大目。
いつもの道を美濃戸までゆるゆると登る。
美濃戸からは南沢を行者小屋に向かう。
途中、博道さんが駐車場に忘れ物を取りに戻るハプニングがあったものの、11時頃にはテン場に到着。
南沢はだらだらとした登りが長く、美濃戸口からとはいえ4時間近くかかってしまったことは反省。
テン場はまだ閑散としており、好きな場所にテントを張ることができた。
小屋前の平らな場所を選んで、念入りに整地していると、そけに大荷物を背負った玉田さんが登場。
ボッカトレとのこと。
薄くもりで風も冷たく、外でじっとしていると凍える寒さ。
まだ時間も早かったので、重い腰を上げて、玉田さんとともに阿弥陀岳北稜の偵察に出かける。
文三郎尾根の登山道をしばらく登り、途中から、右に折れて、中岳沢に入る。
分岐からのトレースはすぐになくなってしまい、そこから先はひざぐらいまでのラッセルとなる。
本来であれば早めに樹林帯から稜線にあがるのだが、比較的雪が安定していたため、沢を詰めて、北稜の取り付きが随分近くなったところで、稜線に直登することにした。
これが失敗で、稜線まで深いところでは胸下ぐらいの深い雪の斜面を木の枝をつかみながら攀じ登ること羽目に。
沢を上っている最中、正面の阿弥陀岳から中岳の稜線を仰ぎ見ると、雲が激しく流れ、その背後の空が七色に変化する様子が伺われ、まるで異次元空間にでも迷い込んだようななんとも不思議な感覚を覚えた。
雪と格闘すること1時間強。
ようやく稜線まで登りきったところで時間切れ終了となったが、お陰で北稜の取り付きまであと少しの所までトレースを付けることができた。
テン場に帰ると博道さんが到着しており、宴会へと流れる。
都岳連の雪山教室に講師として参加し、行者小屋に宿泊していた山本さんよりハムの差し入れをいただき、それを肴にビールで乾杯。
その後の夕食は、くらNo1シェフの大沼さんによる「すき焼きなべ」で、霜降り肉、新鮮な野菜、生卵に〆のうどんと、赤岳鉱泉のステーキ定食に勝るとも劣らない絶品料理を腹一杯堪能した。
その日の晩は疲れていたことと、翌朝は3時起きの早出ということもあり、少し早目の6時半に就寝。
せっかくテントを訪ねていただいた桜井さん、山本さんには申しわけないことをしてしまった。
2014/3/9(日)
朝3時に起床する予定が10分の寝坊。
ラーメンで手早く朝飯をすませ、出発の準備を整える。
朝まで熟睡できたことで、体力は回復。
夜明け前の空には星もよく見え、好天の予感。風もなく言うことなし。
ヘッドランプを点灯し、昨日苦労して付けたトレースをたどり、北稜の取り付きへと向かう。
雪もよく締まっており、稜線までの雪壁も短時間で登ることができた。
取り付きに向かう最後の斜面も雪が安定しており、ほとんど危なげなく、下部第一岩峰の取り付きに到着。
ペツルでビレイをとり、アンザイレン。
ここからは、N-齊藤さん、博道さん-大沼さんのペアで登る。
(1ピッチ目) Nリード
第一岩峰は、左手の少し上がったところが登りやすそうだったが、正面から直登することにする。
ホールドも豊富で、なんということはない壁であるが、自分にとっては実質的にはじめての冬の本チャンルートのリードであり、昨シーズンの石尊稜、赤岳主稜(いずれもセカンド)での墜落の苦い思い出が脳裏をよぎる。
足をばたつかせながら予想以上に苦戦してなんとか無事に岩壁を乗り越え、その先の雪壁も慎重に登って、第二岩峰の下部にあるペツルでビレイをとった。
(2ピッチ目) Nリード
ようやく落ち着きを取り戻し、第二岩峰はあっさりとクリアー。
ナイフリッジは高度感があり恐ろしかったが、バランスを取って渡る。
雪壁を一段上がった足場が安定しているところまでのぼり、アックスでビレイをとって、後続を待つ。
3ピッチ目はロープを付けたまま齊藤さんに登ってもらい、緩やかな斜面をほんの10数メートルほど行ったところが阿弥陀岳の山頂。
雪が多く、お地蔵さんも体全体が雪に埋もれていた。
博道さんと大沼さんの到着を待って山頂を後にする。
もと来た道を少し戻り、そこから中岳のコルに向かって急な斜面を下降。
雪が多かったため歩きづらかったが、ほどなくコルに到着。
ここで小休憩をとり水分と食料を補給。
中岳を越えて、赤岳に向かう登り坂をゆっくりとのぼって文三郎尾根との合流地点まで進む。
ここからは、赤岳の主稜を登るパーティの姿も遠望することができた。
我々もどうするか考えていたところ、主稜と文三郎尾根の間の南峰リッジの取り付きと思われる箇所に薄らとしたトレースを発見。
人間は現金なもので、これに気を良くして、博道さんと私がこの日二本目の南峰リッジにチャレンジすることとする。
自分達がいた場所から少し下がってから、斜め左上に雪壁をトラバースして、南峰リッジの左稜沿いのトレースに合流する。
南峰リッジの左右の岩場にはエビのしっぽがびっしりと張り付いて真っ白になっていたが、その間のルンゼには雪がしっかりとついており、ピッケルとアイゼンの歯がよくかかった。
先行者のトレースも雪壁をたどっており、われわれも急な雪壁を三点確保で一歩一歩注意しながら登る。
途中、一か所、雪が薄くなって、ルンゼのガレた岩がでている凹角にぶつかったが、距離も短く、ホールドもあったので、慎重にアイゼンをかけて登る。
そこから上も急な雪壁が続くが、ルートファインディングしながら、一番高い場所を目指してひたすら登っていくと、まもなく登山客の姿が見え、赤岳の南峰に飛び出した。
取り付きわずか30分強しかたっていない。
雪の恩恵を最大限に享受したクライミングであった。
博道さんも「こんな状態にはなるのは1年でもほんの数日に過ぎないのではないか」とおっしゃっておられた。
赤岳の山頂にて、文三郎尾根から登ってきた齊藤さんと大沼さんの到着を待って、下山することにする。
帰りは地蔵尾根を下る。
稜線上は風が強かったが、少し降りると日差しが暖かく、春山を思わせる穏やかな日和となった。
テントをたたんで荷造りを行い、一息つく。
都岳連の講師をされている岩丸さんからいただいたパイナップルの缶詰に舌づつみをうった。
帰りは南沢を美濃戸口まで1時間40分で一気に下山したが、雪山教室で硫黄岳を引率された桜井さんと山本さんにはタッチの差でお会いすることが出来ず残念であった。
樅の湯で合宿の汗を流し、途中、定例の境川のパーキングで夕食。
ほとんど渋滞に会うこともなく帰京することができた。