2014/8/23-24
高坂、大沼、中村 記 中村
高坂さんからのお誘いを受け、上越人気の沢、万太郎本谷の予定であったが、上越国境あたりに雷雨予想のため、大菩薩の銘渓誉れ高い小室川谷に転進した。
22日の夜、高坂さん宅に集合し丹波の道の駅を目指した。
翌23日の深夜1時30分に着いたが、テント4張りすでにみなさん就寝模様、静かに宴会をしてこちらも就寝。
朝ごはんを各自とって三条新橋まで移動、ゲート前に駐車しててくてく歩き始める。
天気は曇りでなんとか持ちそうな雰囲気。
「小室向」と書かれたところから泉水谷に降りていき橋を渡ったところで沢装備の支度をして7時30分入渓。
初めてのため平水かどうかわからないが、先週の葛根田に比べれば明らかに少ない。
快調な遡行が約束されたような気がした。
最初にでてきた7m滝は左岸を巻き気味に登り懸垂で下りた。
しばらく平凡な渓相が続き、「S字峡」最初の6mを右岸から小さく巻いて懸垂で落ち口に。
「S字峡」は字のごとく短いながらS字状にゴルジュが続く美しいところだ。
ゴルジュを抜けると左から松尾沢を合わせる。
簡単な小滝をいくつか越えていくと8m滝が豪快に落ちている。
左壁に残置がありそこを登るようだ。
安全確保のため高坂さんがトップロープを懸けている間に大沼さんが釜で釣りをするが先行も竿を入れたのか釣果なし。
この滝を越えると「小室の淵」である。15mほどの長い淵の先に3mほどの滝が懸っている。
高坂さんが「泳ぎますか?」と聞いてきたが、「いえ、巻きます」と即答、右岸を巻いた。
じきに右から中ノ沢を合わせ、テン場を探しながら先に進む。人気の沢だけあってところどころによさそうなところがある。
釜を持った滝の手前の左岸高台に今宵の寝床を確保した(12時15分)。
早速タープを張り、宴会準備に取り掛かる。薪集めに釣りと、沢登りのサイト地行動は忙しい。
焚火は高坂さんにお任せし、私と大沼さんは食糧調達係に。
先行に荒らされてしまったのか、大沼さんがヤマメ1匹のみ。私は中ノ沢の出合で1匹ばらしてしまった。
貴重な一匹は遠火であぶって骨酒にして味わった。
炎を見つめながらの中年3人組、アルコールがまわって早々とダウン。
焚火の周りで横になっている2人を残してタープの下に引き上げた。
夏とはいえ沢筋の朝は冷え込んだ。寒さで目を覚ますと高坂さんが釣りに行くところであった。
焚火に薪をくべながら待っていると20cm位のいい型のヤマメを釣って高坂さんが戻ってきた。
朝食はあっさりと塩焼きと素麺のみ。
8時テン場を後にし、すぐの釜を持った滝を左から越え、しばらく行くと大きな釜の豪快な10m滝である。
直登は難しく、右岸の枝沢から小さく巻いた。
この沢は釣り師も多く入渓するため、巻道はしっかりしているし、残置も多い。
巻き終わるとすぐにこの沢のハイライト4段40mのナメ滝だ。
きれいに4段に分かれて落ちる美しい滝で、遠目には4段とも簡単に登れそうだが、簡単なのは下の2段のみ。
3段目は左岸を巻き気味に越え、4段目は左岸のヌルヌルスラブを慎重に登る。
4段目にはフィックスと残置スリング有り。事故がおきたこともあるそうなので、ロープを出してビレイした。
落ち口付近のぬめりがひどく、アクアステルスのもっとも苦手とする状況で、何とか残置を頼りに越すことができた。
美しい渓相が続くが、索道の残骸か、ワイヤーロープや朽ち果てたウインチが転がっている。
昔の山仕事の名残であるが残念だ。
天候は時々薄日がさすほどで暑くもなく、寒くもなく快適だ。
10m、8m、連続して懸る滝は左岸を、2段10m滝は左壁を登る。
適度な大きさの適度な難しさの滝が続き飽きることがない。
少し行くと右から蛇抜沢が入る。地図、高度計、コンパスを確認して左に入った。
沢は源流域に入ったが、多段12m滝を懸けるなど楽しませてくれる。
水流もかなり上部まで続き、忠実に沢筋を詰めていくと踏み跡に導かれて藪漕ぎなく縦走路に出た(12時15分)。
樹林帯と笹原のコントラストが美しい「The大菩薩」の風景に心が和む。
吹き渡る風もやさしく気持ちがよい。
大菩薩嶺を越え、丸川峠経由で泉水谷林道をひたすら歩く。
歩くこと3時間半。16時に三条新橋に着いた。
人気の小室川谷は適度に滝やコルジュを擁し楽しめる沢だ。
東京近郊でも山深さを感じさせる山域で一泊二日、遡行に釣り、焚火と十二分に楽しむことができた週末だった。
同行いただいた高坂さん、大沼さん有難うございました。