八ヶ岳 裏同心ルンゼ

2012/1/1-2
山本武、栃木、A  記 栃木


12月の集会でたけさんから、松元さんが毎年正月を赤岳鉱泉で過ごすので、一緒に行きませんか、とお誘い頂いた。ついでに裏同心でも登りましょう、との一言にすっかりその気になり、思わずアイスバイルとスクリューを購入してしまったが、たけさんとしてはもう少し気軽なルートを考えておられたようだ。翌週も八ヶ岳に入る予定になっていて、いくらか気が引けるところもあったが、せっかくのチャンスだったので強引にお願いしてしまった。

1日目(1/1、曇)
A氏とは年末から他の都岳連の同窓生も含め白馬にスキーに行っていたので、その足での転戦となった。前日にたけさんから電話で連絡を頂き、連絡を取り合って10:30頃美濃戸口で松元さん、たけさんの他、都岳連の篠原さん、ベルグ所属の女性お二人と合流。前もってたけさんからビールのボッカ依頼があり、「たくさんでなくていいよ」とのことだったので、ロング缶1ダースにとどめて運搬。雪は極めて少なかった。篠原さんの調子がすぐれないようだったので、結局栃木とA氏は先へ行くことになり、1時頃鉱泉に先着した。1時間あまり待つと後続も到着し、たけさんに勧められるままにアイスキャンディーでクライミングの練習。途中からたけさんも加わり、松元さんからも寒い中コーチして頂けた。一人3本ほど登ったところで終了。4時過ぎから個室にこもり宴会開始。宴会中も、松元さんからアイスクライミングの技術やロープワークについて講義があり、A氏と二人で拝聴する。夕食はステーキに蟹も加わった豪華な内容で食べるのが大変。食後はさらに泊まり合わせた遠藤晴行さん、嵓OBの本郷さんなどと一緒に宴会が続き、貴重な話を伺う。消灯後もしばらく飲んだ後、就寝。

2日目(1/2、雪)
6:30に起床し、朝食。雪が舞う空模様で、稜線は風が強そう。松元さん一行は硫黄に登る予定だったが、他の方々が天気を見て登らず下山することを希望、我々3人とはそこでお別れ。松元さんから最終アドバイスを頂いた後、見送りを受けながら8時に出発となった。我々の希望通り裏同心へと歩みを進めたが、勘違いして分岐を進み過ぎたり、ジョーゴ沢に入ってしまったりしながら9時にF1取り付きに到着。A氏リードにて登攀開始となった。

F1 左岸から取り付き、凹角に沿って登攀。A氏は途中数箇所にスクリューで支点を取った後、滝上の潅木でビレイ。

F2・F3 はじめの滝は氷が薄く、裏を水が流れているのが聞こえてくる。A氏が懸命にスクリューを打ち込む場所を探すが、氷が薄いためどこに入れても先が突き抜けてしまうようだ。ヒヤヒヤしながら登攀。その後もナメ滝がしばらく続き、F2の途中にあるペツルで一旦ビレイ。F3はF2と連続して越えてしまう。10m程度だが固く凍っており、バイルをしっかり刺すと快適に登れた。

F4 次第に降雪が強まる中、ナメ状のF4を問題なく越えていくと、ルンゼの奥に立派な氷瀑が見えてくる。

F5 これがF5で、本日の核心部。左はかなり立った10mくらいの氷で、右側の方が5m程度と短く簡単そう。2ヶ所ほどスクリューを打ち込み、A氏が越えて行った後をフォローする。右岸にあるペツルでビレイ、12時にF5を終了。

その後は、左岸の氷化したガリーを登るか、涸棚となっているF6までルンゼを詰めて大同心基部を右上するのが正規ルートとのことだが、今回は両者の間の雪面を右上。途中の潅木でビレイしながら登っていく。しかし、これがなかなか大変で、稜線に近づくにつれビレイも取れなくなり、2時間近くかかって13:55ようやく大同心稜上に到達。ここでロープを解き、先週登ったばかりの大同心稜を下降。14:40に鉱泉到着、荷物をまとめて15:15に出発すると、17:00には何とか美濃戸口へ下山できた。

感想・反省など
・初めてのアルパイン・アイスのルートで、貴重な体験をさせて頂いた。「冬の沢登り」という印象を持ったが、考えてみると当たり前だ。

・アイスクライミングはアイスキャンディを今回を含めても2回登っただけでルートに出てしまえ、幸運であった。今後、どの程度アイスに取り組めるか分からないが、アルパインルートに氷が出てきても問題なく登れるくらいにはなっておきたい。

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