2012/9/8
福田、他 記 福田
去年錫杖の左方カンテを登って懸垂で降りるときに見た「注文」は、当時クラックの経験が皆無だった自分たちには、あまり縁のないルートに思えた。しかし、小川山や太刀岡山の左稜線での特訓で多少カムの使い方に慣れたこともあり、今回挑戦してみることにした。
アプローチ
晴れ。今回は日帰りの予定なので荷が軽い。涼しいこともあり二時間程度で取付きに着いた。しかし昨夜の雨で見上げる壁はかなり濡れている。7月に嵓のみんなと来た時と同様に取付き敗退の予感が。Mは「Ｔウォールにでも行きますか」などと言っている。またこんなところまで来て、冗談じゃない。
先着の二人組が登り始めたので、その様子を見つつスタートすることにした。
1P 9時、Mリードでスタート。
階段状で容易のはずだが、しっかりと濡れているので、スピードは上がらない。中間支点もカムだけ。慣れないためかMは黄色エイリアンが抜けなくなってしまったと言っている。このエイリアンはセカンドも取り外せず、懸垂時にMが9キロニュートンのバカぢからで引っこ抜いてくれた。ありがとう。テラスまで２０m程度。
2P 福田リード。
廣川さんの本には左上するクラックからランぺとあるが、そのラインではなく、左に少しトラバースしてから最後直上するライン。こちらが正式らしい。左上するクラックに沿って登るが、ジャミングが決めづらい。かといって左側のフェースもスタンスがあまりなく、登りにくい。レイバックを織り交ぜながら、カムをずらしつつ二つきめて突破する。ビレー点には、長座布団のような平らな岩の左側クラックから必死に這い上がる。20m程度。
3P Mリード。
核心のピッチだ。写真でよく見る出だしのハングは、左側のコーナーのクラックから取付く。コーナーの最上部にキャメロットの3番を決めたあと、ハングの根元に4番を食い込ませる。そしてМはなんのためらいもなくキャメロットをわしづかみにして、さらにハングの右端のフレークをつかんで、登って行った。ハングのクラックはフィストより大きくて決まらないし、ここだけは私もA0してしまう。竹元さんによるとフェースのスタンスを拾って登るって書いてあったけれど、濡れていて使う気がしない。ハングを越えた後のコーナークラックは幅が広く、大きめのカムが有効のようだ。レイバックでえっほえっほ登っていたが、「左にスタンスがあるよー」と言われ、なるほどそんなに頑張らなくても楽に登れる。ビレー点手前に１か所だけハンドジャムバチ利きのところがある。せっかくテーピングを巻いたのでジャミングで登るけれど、ホールドもある。登っていて楽しいピッチだ。15m程度。
4P 福田リード。
出だしのテラスは狭い。最初のハングで、玉田さんから借りたキャメロット5番を使用する。ハングを越えた後は、ずっと幅の広めのクラックが続くので5番をずらしながらと、小さいのを決められるところに決めて進む。3ピッチ目もそうだったが、ジャミングする場所はほとんどない。クラックにかけた右側の手足と左のフェースのホールドを使って登って行く。最後の右トラバースはちゃんとステップがあるので問題はないが、スローパーだしプロテクションを取れないので怖いところ。セカンドのビレーの時「そんなに張らないで、登りづらいよ」と言われる。あまりに注文の多い料理店なので、登りやすいようにゆるゆるにしてやったらトラバースは怖かったみたい、ゴメンナサイ。15m程度。
5P Mリード。
出だしから15m程度は傾斜の緩いクラックを登る。ここも幅が広めなので大きめのカムを使う。若干足のジャミングを使用。その後は、延々と草付きを登る。Mが草付きに入ったころ突然ノートパソコンくらいの落石が降ってきて、取付きの河原まで落下し炸裂した。とっさに岩にへばりついたけれど、直撃したら死んでいたよ。Mは気が付かなかったと言うので、自然落石かな。40m程度。このピッチで「注文」は終了。到着は12時20分。
左方カンテと合流し、さらにもう1ピッチ登ると景色のよい場所に出るようだが、雨が来そうだったため早々に懸垂で下降する。
懸垂は3回。4P目終了点と1P目終了点で切って取付きに降りた。
3P目の出だしでA0してしまったけれど、あとはフリーで登れて満足。難しすぎず、簡単すぎず、ちょうど楽しめるグレードだった。どしゃぶりの「龍の子太郎」で特訓した成果があったかな。カムの扱いも場数を踏んで、すこし慣れてきた。せっかく海外通販で買い揃えたので、またクラックのルートにチャレンジしたい。
日程
5：50 槍見温泉駐車場
8：00 取付き
9：00 1Pスタート
12：20 5P終了
13：00 取付き
15：30 槍見温泉駐車場
ギア
キャメロット＃0.3、＃0.4、＃0.5～＃4×2、＃5
※＃5は2つあると安心
エイリアン１セット
50mダブルロープ
