瑞牆 ベルジュエール

2012/8/5
久保田、竹元  記 竹元


ベルジュエールは、私のずっと目標としていたルート。

今年の春に調和の幻想を登って、「来年はベルジュエールを目指す!」と意気込んでいたのだけど、もっと早い時期に登れる事になってしまった。
はじめに11bのフェイスがあるのけれど、その後のピッチは5.10以下のフェイスやクラック。
フェイスよりクラックが得意な自分なのではじめのピッチがとにかく心配だったが、そこを越せればなんとか登れる気がした。
7月初旬に計画をたてたけど、雨が降ったり錫杖に行ったりしてたので何度も延期になり、結局8月に入ってしまった。
アプローチは暑くなるのが予想されたので、早めに出発。
おかげで寒いくらいの気温の中、歩く事が出来た。
末端壁からは沢沿いにガレ場をずっとつめて、ケルンがたくさんある所からもう左に壁がみえるのでそこから左に入る。
末端壁から20分くらいか?
カンテ状の取り付きからは上の様子は見られないが、なんだか難しそう。

1P(久保田)11b
ハングを右に抜けるところと、最後のスラブが核心か?
グレードに心が負けてしまい、核心前でテンションしてしまってからはボロボロ。
右にいったり左にいったり。
ボルト間隔が短いので、最後のスラブはA0しながらなんとかあがれた。

2P(竹元)10a
ハング下のスラブを左にトラバースしてから、コーナークラック沿いにスラブをあがる。
プロテクションは、さびたハーケンのみ。カムもきめられない。
全く足もプロテクションも信じられないうえに、一回テンションしたらもう何も信じられなくなって、どハマり。
抜けられないかと本気であきらめかけたけど、「あと1回やってみる」と言ってからの1回で、なんとか抜けた。
あまり警戒してなかったけど、全ピッチ中、一番苦しんだピッチ。

3P(久保田)5.7
2P目の終了点の木の右からフェイスをあがって、上の木で3P目終了点の木があるが、さらにその上のコーナークラックを上がって右のフェイスに出た先の明瞭なクラック下でピッチをきってもらう。
3P終了点で切るより、流れがよさそう。
全部で50Mくらい。

4P(竹元)5.9
きれいなすっきりしたクラック。
3からはじまって.5くらいまで、きれいに狭くなっていく。
快適そのもので、2Pでへこみきった気持ちを回復。

5P(竹元)5.9+
名物の大フレーク。
下部は6をきめられるサイズだが、これをかけたままあがってしまうと流れが悪くなってしまいそうなので、狭くなった所に3(か、4?)をきめて6は回収してあがる。
リングボルトから上は左インに体勢いれかえて、5、その後ちょっとしてレイバック。
ロープの流れに注意して、スリングはのばして、最後に抜ける時にクラックの外にロープが出るようにして登った。
クラック上にリングボルト2個の終了点らしきものがあるが、更に左に行って6Pのビレイ点の木まで。
流れは悪いけど、この方が安心。

6P(竹元)5.7
悪名高いチムニー。
ベルジュエールに行く話が出た時から、どうぞどうぞと譲り合っていたピッチだが、結局優しいパートナーに譲ってもらった。
難しい事はないのだけど、途中リングボルトにきめてからはランナウト(落ちたら死ぬレベル)ときいていたので、決死の覚悟だったが、6番を持っていったら6が2Mくらい先まで使えた。
ただ、きめられたのがすごく奥だったからか、テラスに抜けてからロープがスタックしてしまい、クライムダウンして最後にきめた赤をはずして左のクラックにロープをなおしに行った。
6番を使うと流れが悪くなるから、やはりいらなかったかも?
あると安心感が全然違うので、悩むところ。
ここから歩きで右にトラバース。
7Pの取り付きまで。

7P(久保田)10b
簡単なチムニー状をあがってから左に行って、クラックをあがる。
クラックを左上して、右にいくところまでが核心。
フォローだったので快適に登らせてもらった。
カムをきめる所を間違えると難しくなるらしい。
ここからまた歩き。
ビレイなしで行くのは少し緊張する高度感だけど、難しいことはない。

8P(久保田)10a
ハングしたクラックを抜けてから、スラブ。
最後のスラブがプロテクションとれなくて緊張しそう。
十一面の頂上は気持ちいい風が吹いて、景色も良く、とてもいい気分だった。

下降は5回。
2回目のロープをひく際に、ロープがスタックしかけて、その時にロープ引いてしまい、回収不能になりかけた。
外にでてばんばんしたら、ひけるようになったが、危なかった。
私は今までロープの回収が出来なくなった事はないが、これから先、きっとそういう場面に出くわす事はあると思う。
回収できてよかった。で済ますのでなく、こういう機会に原因とか予防法とかを再確認しておこうとおもいます。

無事に取り付きまで戻って来られたが、今回は反省点も沢山。
クラックのピッチは楽しかったが、普段やっていなかったスラブで撃沈。
後で写真の時間を見返すと、自分のリードしたピッチではすべて1時間/ピッチ近くかかっていて、久保田のリードで時間をまきもどしてもらっている。
クラックはオンサイトトライでも行く先が分かっている分ルートファインディングがまだ楽だったが、フェイスは更に難しく、マルチのオンサイトトライとなると、チョーク跡もないので相当時間がかかってしまった。
これはもう場を踏むしかないので、たくさん練習するしかない。
ロープワークも、流れを悪くしてしまったり、ダブルロープの強みを充分に生かしきれなかった感があるし、最後の懸垂下降のハプニングなんかもあったりして、まだまだだなあと思いました。

今回のルートは、私にとって背伸びをしたルートであったけど、でも反省点が沢山あったという事は、これからやるべき事が明確になったという事でもある。
まだまだやるべき事はたくさんあるし、これを忠実に、一つずつちゃんと考えながらやっていけばもっと上達できると思うとやる気がふつふつと湧いてきました。

ルート自体も、フェイスからスラブ、クラック、ワイドと、色んなバリエーションのクライミングができて、長いけれど全然飽きずに楽しいクライミングができました。
全部のピッチもそれなりに長くて、8ピッチという長さも、充実感たっぷり。
みずがきの山々の景色と、高度感を存分に味わえて、なんといっても大好きな花崗岩に一日中触れていられて、すごく幸せでした。
また、登りにいきたいな。

ギア
60m シングル、ダブル
C4 #0.5 ~ #2 x 2
C4 #0.3、#0.4、#3~#6 x1
マスターカム 紫、青、黄 x1

コースタイム
5:40 駐車場発
7:00 正面壁
7:40 ベルジュエール 登攀開始
14:20 終了点
15:40 取り付き
17:00 駐車場

下降
1 : 8P終了点から取り付きの木まで。ここから歩いて7P終了点まで。
2 : 7P終了点からまっすぐ~右(チムニーの方にはいかない)へ行くと、達摩バムの途中の取り付きにでるのでそこできる。
3 : 達摩バム取り付きの下の面に下降支点あり。ここから降りるとシロクマコルへ。
4 : 4P終了点からまっすぐ降りてバンドできる。
5 : 取り付きまで。

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