谷川岳 変形チムニー

2009/6/27
玉田、久保田  久保田 記


一年前、くらに入ってすぐに南稜と中央稜を登らせてもらった。

今年はⅣ級をやってみたいと思っていた。本当は中央カンテを登りたかったのだが、玉田さんがどうしても変形チムニーへ登りたいと言って譲らない。変形チムニーの上部は中央カンテと同じラインだし、まぁいいかと思い、変形チムニーへ登ることにした。

6月だというのに、セミの鳴き声がいまにも聞こえてきそうな、うだるような暑さだった。
全国的に30度を越える真夏日で、梅雨とは思えない見事な晴れっぷり。出合の駐車場はさぞかしクライマーで賑わっているのかと思いきや、ちらほら空きがある。とりあえずビールを飲み、明日の登攀の成功を祈った。

朝4:30に起きるつもりが、2人して寝坊する。既に他のパーティーは出発し始めていた。
準備をしている間に最後のパーティーになってしまった。やれやれ。

1P目(1P-2P) 久保田リード
階段上のフェースを登る。全く濡れていない。
2ピッチ繋げて、50mいっぱいいっぱいまで伸ばす。
カンテを左に越えてからはややランナウト。
50mいっぱいのところに、ビレイ点がある。
※ 以降かっこ内は「日本の岩場」のピッチ数

2P目(3P-4P) 玉田リード
出だしの凹角が、少しいやらしい。

3P、4Pを継続して、チムニー直下の腐ったリングボルトでビレイ。

3P目(5P) 玉田リード
メインディッシュのチムニー。
晴れているときでも濡れていて嫌らしいという悪名高きチムニーだが、今日は全くといっていいほど濡れていない。リードしていた玉田さんが絶叫していた。
なるほど、楽しい。いや、かなり楽しい。手も足もしっかりとしていて、立体なムーブが楽しめる。
しかし、濡れていたら相当嫌らしいなと思った。

4P目(6P) 久保田リード
やさしいトラバース。やや上のビレイ点まで来てしまったので、少しクライムダウンする。
ルンゼの方ではなく、右側のちっさいチムニーが見えるビレイ点へいくこと。

5P目(7P) 久保田リード
チムニー出口あたりで、支点に誘われ少し左に行き過ぎた。
チムニーに戻り、直上する。

6P目(8P) 玉田リード
かなりランナウト気味でフェースを左上、右上。

7P目(9P) 久保田リード
核心の垂壁。先行パーティーに追いつく。先行パーティーのアブミが玉田さんを直撃。
さがせば手はたくさんある。レイバック気味にフリーで越える。セカンドで登っていた谷川清掃隊隊長の玉田さんは、お助けスリングを根こそぎ回収していた。
普段は温厚な玉田さんが鬼に見えた。いったんここでピッチを切る。

8P目(9P) 久保田リード
かぶったコーナークラック。
カムでランナーとりつつ、ボルダーチックにフリーで抜ける。全く問題なし。

9P目(10P) 玉田リード
スラブ~凹角。自分の手持ちの水が尽きる。

10P目(11P) 久保田リード
烏帽子岩の直下のテラスに出る。小休憩。
のどが渇きすぎてパンものどを通らない。

11P目(12P) 玉田リード
トラバース。岩がぼろぼろしていて、やや悪い。
水のことばかりを考えていた。

12P目(-) 久保田リード
とにかく水が飲みたかったのであまり覚えていない。
草付きだったと思う。左のピナクルを目指すと下降点へ。ノーザイルで問題なし。
2回懸垂して草付きを少し歩くと南稜の終了点へたどり着く。

雪渓をわき目もふらず駆け下り、手足が凍るくらい冷たい雪解け水をがぶ飲みする。
これ、幸せなり。翌日もう一本と思っていたが、あの暑さを思うと登る気が失せてしまった。
Ⅳ級も技術的にそれほど難しいとは感じなかったし、むしろ楽しめて登れたのがうれしい。
もっとフリーを練習してクライミング技術に磨きをかけ、Ⅳ級を何本か登り、来年はⅤ級をやれたらいいなと思う。

■ コースタイム
6:00 駐車場出発
7:00 中央稜取付き
7:50 変形チムニー登攀開始
13:40 変形チムニー終了点
15:45 中央稜取付き
16:50 駐車場到着

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