谷川岳幽ノ沢 中央壁正面ルート

2002/8/31
メンバー:坂口・横澤  横澤 記


土曜日にたまたま空きができたので、坂口さんにどこか本ちゃんに行きたいと相談すると、「幽ノ沢」ということで話がまとまった。前夜、練馬高野台に22時30分に集合し、坂口カーで水上を目指す。空いている高速を飛ばし、約2時間で一ノ倉沢出合に到着。お酒もほどほどに早く寝る。

5時30分 起床。朝、ガソゴソと周囲から聞こえるガチャの鳴る音で目を覚ます。見渡すととクライマーの出発ラッシュであった。我々ものんびりと起き出し支度をする。
6時10分 一ノ倉沢出発。
6時40分 幽ノ沢出合。
8時00分 下部岩壁登攀開始。決して暑すぎない高曇りの、最高のコンディション。下部岩壁のスラブを、トウフ岩右下のビレイ点目指して登る。ノーロープだが結構斜度があり怖い。滑ったら一発でアウトだろう。かといって、ビレイ点やランニングが取れるわけではない。一歩一歩慎重に登るしかない。やがて、トウフ岩の右下にしっかりとしたビレイ点を発見。緊張からか、このスラブは長く感じた。

1P 坂口 ザイルを結んで登攀開始。立木を目指して、草付(バケツ)を直上。濡れた草がいやらしく、不安定なランニングビレイしか取れない。立木のちょっと左に立派なビレイ点あり。
2P 横澤 簡単なスラブ。ただし、前半はピンがなく要注意。スラブからルンゼを少し登ったところにビレイ点あり。
3P 坂口 そのままルンゼを直上。ハングに頭を押さえられたところで右へトラバース。トラバースは岩が脆くいやーな感じ。ビレイ点は結構右にあるが、手前で細かく切る。そのままつるべで横澤が正規ビレイ点を目指したが、またしても一歩手前で切ってしまう。このピッチはかなり右奥まで進むという感じで行ったほうがいい。
4P 横澤 右上気味にハングの間の弱点を目指す。ハング越えの核心をフリーで抜けるつもりで行くが、怖くてA0してしまう。やれやれ。ハングをノっ越すと簡単なフェース。フェースを少し上がったところで、右か左か迷う。トポを読み直して覚悟決め、笹藪目指して左上する。立派なビレイ点発見。(ここを右上するルートもあるが、左へ行くよりも難しい(らしい))
5P 坂口 ビレイ点の右端からランナウト気味にカンテを越えて、長いスラブルートへ突入。ザイルの流れを考えて適当なところでピッチを切る。このピッチ以降ピンが少なくなる。
6P 横澤 スラブを直上。少ないピンを見つけて、ランニングをセットしながらビレイ点へ。
7P 坂口 スラブを直上。ひたすら登る。
8P 横澤 スラブを直上・・・と、ビレイ点がない。適当なリングボルトとあわせてハーケンでビレイ点を作ろうとしたが、そのリスもない。その上、無理やりハーケンを打ちこんでいるときに、岩にはじかれナイフブレードを落とす。甲高い金属音を立ててハーケンが転がっていった。やれやれ。無理やり打った「片方のハーケンがほとんど効いていない」支点でビレイ。
9P 坂口 スラブから左のフェースへ。湿った外傾ホールドがいやらしく、見た目より難しい。
10P 横澤 スラブから岩混じりの草付を直上。45mいっぱいで発見したリングボルトと立木でビレイ支点作成。このピッチはルートミス。正解はもっと下部から右へ回り込みバケツを登る。
11P 坂口 岩混じりの草付を登る。ルートミスのおかげでかなりイヤーなピッチとなる。途中にあったハーケン2本に、ルートミスした先人の記憶をたどる。ハイマツ帯を抜けるとテラスに到着。テラスの右下には、きれいなバケツが見えた。こちらが正解かぁ。と、脱力感いっぱい。
12P さらにそこから、ザイルを結んだまま木登りをしたところで、正面壁の頭に到着。

13時00分 正面壁の頭。タイムは4時間30分。ほっとしておにぎりを食べる。ここからノーロープで慎重にルートファインディングをおこない、堅炭尾根を目指す。ルートは良く踏まれておりわかりやすい。
13時30分 堅炭尾根着。5年程前にビバークをした場所や石楠花尾根の思い出に浸る坂口さんの背中を眺めながら、のんびりと下る。
15時30分 芝倉沢着
16時30分 一ノ倉沢出合着。

今回は天気がよく、快適なクライミングが楽しめた。「幽ノ沢」=いわゆる「悪い岩場」を想像していた僕にとって、想像していたよりも岩が硬く、ピンも思ったよりもあり、何よりも明るい雰囲気の幽ノ沢に、いいイメージを持った。しかし、岩が濡れると、とんでもない悪相を呈すと思われ、雨や天気の悪い日は止めたほうがよいだろう。特にノーロープでの下部岩壁は、思ったよりも滑って怖い。
これで、幽ノ沢にも登ってみたいルートが何本かできた。こうやって少しずつモチベーションを高めていけることが、アルパインのいいことろなのかも知れない。

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