1997/2/23
メンバー:鈴木直・宮城・伊平 伊平 記
一の倉沢の滝沢リッジと一・二中間リッジを狙って、鈴木直・宮城組、木元・常世田・伊平組のメンバーで金曜夜東京出発。途中渋川付近からの降雪とスキー客の大渋滞に巻き込まれ、木元組の指導センター到着はなんと午前6時30分。しかも最悪の吹雪。都岳連の講習で来ていた山口さんに「これじゃあ、西黒尾根だって無理だよ」とあっさり言われ、湯テルメに直行してしまったのでした。温泉の中で相談した結果、予備日として月曜まで休暇を取っていた鈴木直、宮城、伊平の3人で八ヶ岳に転進することとなった次第です。
東京に戻り土曜夜、宮城宅を仕切り直しの出発。赤岳山荘の駐車場者が午前0時30分、そのまま満月の夜道を歩いて、赤岳鉱泉着が午前2時30分、金曜夜以来ろくに寝ていないので7時まで寝ることとする。
日曜朝、谷川岳とは打って変わって快晴、8時30分出発。当初は裏同心ルンゼ~大同心南稜~ドームと計画していたのですが、裏同心ルンゼは全く踏み跡がなくラッセルが予想されたので、あっさりと大同心稜に変更。10時30分、南稜に取り付く。
1P目、伊平リードで簡単なⅡ級程度のフェースを35m。先行の2人パーティがいる。
2P目、一応南稜の核心部。冬壁初リードの伊平はトラバースから直上に移るところで迷っていると、ビレーしていた宮城さんからすかさず適切なアドバイス。ビンはあまり無く、岩からスリングでランナーを取ることが多い。傾斜が強く緊張するが、要所にあるガバに助けられて、35mで先行パーティに追いつく。フェースからリッジに出たところで、ハーケン2本のビレー点だが1本はぐらぐら、岩で補強してビレーする。
3P目、ドーム基部に向かって、ガレと草付きの急斜面をトラバース、20m。南稜のルートは一応ここで終了。11時30分。
ドーム基部のテラスで、先行パーティがドームに取り付くのを、のんぴり見学。ビレーしていたおばさんと話すと和歌山の労山とのこと、中高年パーティでのんぴりムード。そのうち、この労山パーティのトップが15m位人工で登ったところで疲れたとかで止まってしまい、セルフを取って大休憩。さらに、少し頑張っては、またもや休憩。しまいには我々に先に行けと言う。待っていたら何時になるか分からないので先に行くこととする。
4P目、ドームは雲稜ルートと合流してⅣ級A1。12時30分、宮城さんリードで取り付く。垂直のフェースをフリーで5m程登り、ハーケンを人工で10m直上、労山パーティのザイルが邪魔になるがランナーは共有する、ここに労山のトップがいる。さらに、人工とフリーで5mほど登り、かすかなバンドに出る。ルートは、右に少しトラバースしてカンテ状を人工で直上するのだが、宮城さんは直上のピンが見つからないようで、トラバースを5mほど行き過ぎてしまう。ここの経験のある鈴木直さんのアドバイスで戻るがかなり微妙な感じ(後で聞いたら「落ちるかと思った」とのこと)。ルートに戻ってカンテ状を10m人工で直上し、ドームの頭に抜ける。コールが来て、伊平、玲木直の順に取り付くが、寒風の中、高度感たっぶりのドーム最上部の垂壁を、残置のスリングや3mm細引き、ハーケンの重ね打ち等をあぶみの掛け替えで登るのは、本チャンならではの迫力。
伊平も何とか登り切り、ドームの頭でがっちり握手をして終了。2時10分。大同心稜を駆け降りて3時30分にはビ-ルで乾杯。夕方テント場の日が陰る頃、大同心を見上げれば、ドームにはまだ労山パーティが張り付いていました。