黒部丸山東壁 緑ルート

1997/10/10~11
メンバー:伊平・常世田  伊平 記


10月9日夜、扇沢の駐車場で仮眠。10月10日は体育の日の連休とあって大混雑。のんぴりしていたら朝1番のトロリーバスには満員で乗れず、次の8:00のバスで黒四ダムに上がる。爽やかな秋晴れ立山は雪をかぶっている。
内蔵助谷出合で下の廊下と別れ内蔵助谷右岸の登山道を少し登り、1ルンゼ押出しを丸山東壁に向けて詰める。1ルンゼを少し登った左岸にベースを設営。
本日中に下部を登りホテル丸山でビバーク、翌日上部を登る計画で11時緑の取付着。
単独、京都労山、YCCの先行3パーティ、我々の後にも相模労山が来たので、なんと緑は5パーティとなる。隣のアイアンマンにもYCCの別パーティがいる。
11時45分登攀開始。1P目、常世田リード。浅い凹角をフリーで10m程登り、A1混じりでやや右から回り込むようにT1に上がる30m。
2P目・伊平リード。草付混じりのボルトラダーを直上。35mで安定したT2。
3P目、常世田リード。真上に見える三日月ハング下までA1、25m。あぶみビレーとなる。ここは、ハング上まで伸ばしてもビレー点がある。日が陰り急に寒くなる。
4P目、伊平リード。1m半程の三日月ハングを越えて垂壁のボルトラダーを直上、僅かなレッジでピッチを切る、25m京都労山のベースが遅く、YCCパーティは追い越して行ってしまい、我々もピッチの切り方の違いから京都労山パーティの中間にトップが入る形となってしまった。
5P目、常世田リード。花崗岩の大岩壁に真っ直ぐ連打されたボルトラダーを直上、レッジでビレー、35m。ボルトは古いが安定している。
6P目、伊平リード。A1で5m程登り、レッジをフリー混じりで右にトラバース、草付混じりのボロい被り気味の岩をハーケンのA1で越す。この上にビレー点があるが、ここは京都労山を追い越し、その上の露岩から左の急なブッシュを15m伸ばして、下部岩壁の終了点まで一気に行く、45m。順番待ちもあり、終了は17時45分。
ホテル丸山には、先行のYCCの松平さん達が居たが快く場所を詰めてくれて合同のビバーク。YCCは上部岩壁のルート開拓をしていて、ここに物資をデボしていた。
10月11日、3時頃からみぞれ模様となり寒い。明るくなって雨に変わり天気は絶望的。ルート開拓のYCCは雨など関係なく飛び出していく。我々も7時行動を開始し行けるところまで行くことにする。
7P目、伊平リード。上部岩壁の取付きは中央バンド左端の凹角右側壁で、つららの様に垂れ下った岩のハーケンからRCC型ボルトのラインを登り、大ハング左端に向かい左上して行く、トポではハング上まで1ピッチとなっているが、大ハング直下で一旦
切り、あぶみビレー、35m。
大ハングは5m程の2段になった張り出しで高度感満点だが、ボルトのラインもしっかりしており開題はなさそう。しかし雨は止まず、あられまでバラバラと降ってくる始末で、ハング上に出ると濡れていて非常に悪そうなので、残り3Pだが無理はしないことにして撤退を決め、緑を6Pの懸垂で下降する。
最後の大ハングをトライできなかったのは心残りだが、緑は岩も支点も安定しており人工登挙の楽しめる1本でした。

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