黒部川上ノ廊下~槍ヶ岳

1997/8/20~24
メンバー:鈴木博・伊平・常世口  伊平 記


 アプローチ

憧れの黒部川上の廊下を計画、下山は西鎌尾根から槍を回り、木元さんを訪ねることにする。8月19日夜、8時丁度の「あずさ」で大町へ。八王子から博道さんが合流し、車中は居酒屋と化し、大町ステーションホテル泊。
8月20日快晴、アルペンルートで黒四ダムまで、8時、ダムを渡って遊覧船乗り場から黒部湖左岸を歩き出す。ほぼ等高線添いの道だが、所々崩壊しており丸太で組んだ階段の登り降りが次々と出て来て面倒臭い。
11時、平の小屋到着。「平の渡し」は無料、12時の渡船で対岸に渡る所用20分。黒部湖右岸の道も丸太階段が多い、奥黒部ヒュツテには14時到着。
上ノ廊下の沢歩きはいよいよここから。本日の予定はここまでだが、時間も早いので沢に入ることにして準備をする。14時40分遡行開始。支流の東沢を下り、15分程で黒部川の本流に出る。いきなり膝から腰までの徒渉の連続。すぐ左岸に熊の沢が出合うが以外と小さい。黒部の水はさすがに冷たいがかなり濁っている、黒部2回目の博道さんも不思議がる、上流は雨か?広い川原を歩いて、下の黒ビンガのすぐ手前の右岸に格好の幕場を発見、16時天幕を張る。夜は豪勢な焚火、夜中は素晴らしい月明かり。

上ノ廊下~奥の廊下

8月21日快晴、のんびりと7時出発。川が大きく右にカーブすると正面が下の黒ビンガ。腰までの徒渉を繰り返し、下の黒ビンガ
真下の淵は2m程の激流の泳ぎとスクラム徒渉で突破する、いよいよ黒部の核心部。今日は水も澄んで川底の岩がよく見える。
ほどなく、右岸に口元のタル沢が出合い、その先は両側が切り立った流れの早い淵。右岸添いに20m泳ぐが、ザックが重く苦しい。その上はゴルジュ状の激流で、博道さんがザイルを付けて高さ2m程の大岩の上から飛び込む。ザックを渡し次々に飛び込む。日が陰ると、さすがに濡れた体が寒くガタガタと震える。この辺が第一の核心か。
左岸の大崩壊と廊下沢出合いを過ぎ、旧黒五の広大な河原はテクテクと歩くだけ。しばらくすると両側が狭まり左岸に上の黒ビンガが現われる。何回か徒渉を繰り返すが、この辺はあまり難しくなく、有名な花崗岩の滝やすだれ状の滝に見とれながら歩く。
雪渓の残っている金作谷出合いを過ぎると厳しい淵となる。左岸から右岸に流れ下りながら泳いで渡り、右岸のバンドを水線から離れないようにへつる。5m程の懸垂を交えて進み、更に泳ぎとスクラム徒渉でゴルジュを突破する、第二の核心。
右岸のこけむした滝等を見ながら腰くらいの徒渉を繰り返し、赤牛沢に向かうが結構距離がある。赤牛沢手前でまた厳しい淵になり左岸添いに20mの泳ぎ、伊平はザックを抱えてザイルで引いてもらい楽をする。さらに飛込みの連続で進む、第三の核心。赤牛沢は綺農な滝となって出合っている。
この先は少しやさしくなり、快適な岩床をへつり、右に左に徒渉しながら歩く。立石奇岩を過ぎ歩くのに飽きてくる頃、右岸にE沢。D沢。C沢と出合い、ゴルジュ状を左岸から小さく巻く。B沢出合いには、大岩にペンキで高天原からの登山道の印がある。
A沢出合いは快適な幕場で時間も16時となったので天幕を張る。この夜も豪華な黒部の星空と焚火。ここまで担いできた酒が美味い。常世田さんは焚火の脇で寝てしまった。

黒部川源頭~稜線

8月22日快晴、今日も7時出発。薬師沢出合いまでは右岸の登山道のペンキ印添いに進む。薬師沢小屋から降りてくる登山者に次々に出会う。45分程で薬師沢小屋。
薬師沢から平凡な河原をしはらく歩くとゴルジュ、へつりと徒渉で進むが、その上のつゴルジュと滝は左岸の踏み跡を高巻く。すぐに川幅いっぱいの1m程の堰堤状の滝となり、上はエメラルドグリーンのプール状で左岸に赤木沢が出合う。黒部でも有名な所だがなるほど美しい、プールの中ではしゃいで写真を撮る。すぐ上の2mのやはり堰堤状の見事な滝を越えると右岸が兎平。ここには天然のクレソンが自生している、大根の味。
ここからは、両岸は樹林帯となり、薬師岳や黒部五郎岳を望みながら高原の沢歩き。五郎沢から下降してくるパーティもいる。祖母沢、祖父沢と過ぎて、さすがに小さくなった流れを遡行していくと正面に驚羽岳がドーンと見え、いよいよ源頭部。三俣蓮華岳に向かう登山道にエスケープする予定だったが、地図上の2349m地点で左岸に出合う沢を登ったほうが近道と考えてこの沢に入る。12時10分、いよいよ黒部川ともお別れ。
13時、三俣蓮華小屋到着、本日の宿泊予定地だが早いので双六まで行くことにする。沢スタイルから縦走スタイルに変身し、14時出発。稜線歩きは久々、とたんに暑い。三俣蓮華岳までは結構な登り、途中山腹を巻くルートと分かれるが博道さん、迷わず?山頂経由コースをとる。双六岳はガスっていたので山頂は巻き双六小屋が16時15分。天幕を張るのももどかしく小屋の生ビールに走る。ウーン何とも言えない。

西鎌尾根~槍ヶ岳

8月23日、昨夜夜半から南、風が強まり、朝も小雨模様だ。のんぴりと7時45分出発、西鎌尾根を歩きだす。すぐにガスがとれ、急激に天気が回復して晴天となり暑い。
樅沢岳から千丈沢乗越と歩く、硫黄尾根と北鎌尾根が絶景だ。槍の肩までの急登をゆっくり登り、そのまま東銀尾根こ入りヒュッテ大槍こは12時に到着。
木元さんは売店で商売の真っ最中、我々の姿を見て非常に喜んでくれた。午後はヘリポートに全装備を広げて乾かし、一杯やりながらトカゲを決め込む。ヒュッテ大槍の食事はグラスワイン付の豪華版、久々の小屋泊り。この夜、木元さんは仕事を放り出して我々と大宴会、木元さんには大変お世話になりました。
8月24日。快晴、木元さんに見送られて槍沢を一気に下り、横尾では営林署の小屋番の清水さん〈昔クライミングをしていたという話し好きの親切な人で、夏の間小屋に居るそうです)にビールをご馳走になり、あとは上高地まで超特急でした。

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