北岳バットレスビラミッドフェース~第四尾根~中央稜

1997/7/19~20
メンバー:伊平・常世田・三浦(第四尾根まで)   伊平 記


海の目の三連休、北岳に行こう!考えることは皆同じで、金曜の夜の広河原の駐車場はもう満車。午前0時に着いて、そのまま白根御池小屋まで大樺沢の登山道を歩く。
白根御池小屋には、先発の三浦さん達がすでに天幕を張っていたので、その脇に天幕を張りシュラフカバーで寝るが、寒~い。
翌朝は絶好の天気。伊平。常世田組はビラミッドフェース~第四尾根~中央稜の継続で1ビバークを予定しているので、ゆっくりと6時40分出発。大樺沢二俣からは大勢の登山者を追い抜くように登ってアプローチの右から入る2本目の沢を目指す。1本目
の沢はすぐに出合うが、2本目の沢はかなり上で飛はし過ぎてバテる。ここから沢の右岸にある踏み跡をたどるが、途中二俣があり、ここで向かって左の沢の右岸に渡らないとCガリーに出ないのでご注意を!。我々はここで右の沢の方に入ってbガリーに出てしまい、援傾斜締に残っていた雪渓をトラバースするはめになった。

ビラミッドフェース

ビラミッドフェースの取付きは有名な十字クラックのすぐ左側でdガリーとの例の浅い凹角。取付きには先行した三浦。山本組がいて、もう1組待っており、既に取付いている組もいるので、待時間が長いなと覚悟を決め、横になって睡眠不足を解消する。
9時30分やっと順番が来て登攀開始。
1P目、常世田リード。凹角を手が切れそうな鋭い岩角を掴んでスタンスの無いスラブ状の壁をスメアリングで登り、きれいなクラックをレイバック風に3m、dガリーとの境のリッジ脇の凹角から革付フェースに出てビレー、40m、Ⅳはある。
2P目、伊平リード。草付バンドを横移動するだけ、10m。
3P目常世田リード。スラブ状のフェースを右上し、濡れた凹角から草付きバンドに上がってビレー、35m。
4P目、伊平リード。ルート図では横断バンドを越してハング下のビレー点まで直線的に登っているが、横断バンドのあたりが大きく崩壊してルートが消滅している。細かいフェースを左に出てまた右に戻るように登って横断バンドに達し、ハング下の僅かな幅の浮き石だらけのバンドを左にトラバースしてビレー、25m、ボロくて悪い。ここで、山本さんは山下。清水さんの組に入って第四尾根に移動し、三浦さんが横断バンドから伊平。常世田の組に入る。
5P目、伊平リード。ハングの間のガレたバンドを右上し、バンド上でピッチを切らずにそのままフェースを直上し、核心のクラックの手前でビレー、30m。
6P目伊平リード。本ルートの第一の核心。Vの凹角奥のクラックを、ジャミングとレイバックで行く。核心のわりにはピンがボロいので、エイリアン1/2とキャメロット0.75でランナーを補強する。テラスにはい上がりビレー、15m。結構腕にくる。
7P目常世田リード。ビレー点すぐ上がツルっとしたスラブで難しい。1ポイントハーケンをスタンスのAOで越し、その上の逆層のスラブを岩角を横に引いてホールドとしながら左上しハング左脇下でビレー、30m。
8P目常世田リード。凹角からフェースを直上、バンドでビレー、30m。
9P目三浦リード。本ルートの第二の核心。細かいフェースを左上し、傾斜の強いVのクラックをジャミングを交えて登る。よく探せはホールドがある、ェイリアン1/2でiランナーを補強する。クラックのすぐ上でビレー、25m。
10P目伊平リード。凹角から右上して第四尾根2P目の白い岩下のテラスに合流してビラミッドフェースは終了、30m。
各ピッチごとに順番待ちで、15時30分。

弟四尾根

3P目、伊平リード。合流したのが第四尾根白い岩下のテラスとおぼしき所だがよく分からない。草付きのリッジを直上20m。
4P目、伊平リード。白い岩のクラックを快適に直上、第一のコルでビレー25m。ルート図上の3P目40mを区切ってしまったようだ。
5P目、伊平リード。第一のコルから第二のコルを越えてマッチ箱のピナクルまで一気にザイルを延ばす。快適なリッジで途中のVの小垂壁は全く簡単、45m。
ピナクルから10m懸垂で降りると大きな凹角状で上下2箇所のビレー点があるが、上は先行パーティが使用中で下のビレ点を使う。次のピッチが一本ではいかない。
6P目、伊平リード。凹角からフェースに出て一旦区切る、25m。
7P目、伊平リード。フェースからリッジを登り、枯れ木テラスでビレー、20m。目の前に中央稜がよく見える。
8P目、伊平リード。リッジから草付きの露岩を50m一杯ザイルを延し、お花畑下で終了、18時ちょうど。すぐ上の平坦な所で伊平。常世田はビバークとすることにし、三浦さんは、山本組と合流して頂上経由で下山に向かう。

中央稜(ノーマルルート)

ツェルトにシュラフカバーだけでは、3000mのビバークはやはり寒~い。7時行動開始。第四尾根の枯れ木テラスまでクライムダウンと1Pの腰垂で降り、枯れ木テラスからCガリーに2Pの懸垂下降。Cガリーは岩がボロボロで懸垂のロープ操作だけでも大きな落石が発生するので、先に降りたらすぐに安全圏に移動が必要。Cガリーの奥には雪渓が残っており、どん詰まりより少し手前の左側壁、雪渓のすぐ縁の岩にハーケンの取付きがある。8時30分登攀開始。
1P目、常世田リード。浅い凹角を直上し、第一ハング下のスタンスの無いスラブ状を左にトラバースするが、ここが結構微妙でⅣ+、ルンゼ下でビレー120m。
2P目、伊平リード。スタンス、ホールドの豊富なルンゼを直上25m。ビレー点はいくつかあるが、3P目のルートが直線になりビレー点からよく見えるように、下にあった2本のハーケンにバガブーを打ち足してビレーする。
3P目、常世田リード。第二ハング、第三ハングを越えるこのルートの核心。第二ハングの切れ目を目指して右上する。第二ハングは切れ目の所に良いシュリングが垂れているが今にも切れそうで触らないほうが無難。一段上のバンドに立ち込み、頭上に飛び
出している岩を掴めばフリーで越せる。ハーケンは要所にある。さらに。第三ハングに向かって被り気味のフェースを直上し頭上の大ハング下を右のリッジにトラバースする。
このトラバースのところで直上して第三ハングを直登するラインがあり、頭上にはシュリンゲの下降点が見えるのでルートに迷うが、ここは右にトラバースするのがノーマルルートの正規なラインである。しかし、このトラバースがスタンスの無い微妙なフェースで体が空中に飛び出すので高度感満点。リッジに出てビレー、40m。
4P目、伊平リード。高度感はあるが簡単なリッジを直上、35m。
5P目、常世田リード。傾斜の落ちたリッジから凹角を登り中央稜の頭で終了50m。
ちょうど11時、Cガリーの源頭をはさんで頂上がすぐ目の前、登山者がこちらを見ている。中央稜は結構ピンもあり、思ったほど悪くなかった。
頂上までは踏み跡をリッジ伝いだが、遠回りしているので頂上に突き上げている簡単なガレ場を登ったら5分で頂上に出てしまった。肩の小屋から草すべり経由で白根御池小屋まで1時間で駆け降りて待望のビールとした。

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