濁川本谷 “氷の天国”に騙されるな!

1996/1/13~14
メンバー:桜井・木元・宮城  宮城 記


楽しさグレード=☆☆

小淵沢STからタクシーで濁川本谷林道終点めざして入ったが運チャンがへたくそで沢を2度渡ったところで下ろされてしまった。使えない小淵沢タクシーだ。
さて歩こうかと言うとき、目の前にダンロップのテントがあるではないか!松野さん、中村さん達だ。彼らは日向沢に変更し日帰りにするようだ。彼らと分かれ先を急ぐ。
途中笹ノ沢の滑滝氷瀑が素晴らしい。30分強歩いて大堰堤に辿り着く。充分乗用車でも可能だ。
さてここからいよいよルートに入る。大堰堤は左岸から高巻く。ゴーロを右岸、もしくは左岸から高巻きやっとアイスクライミングが可能の滝が現れた。トポでは10m&2mがそれである。
ここよりアイスギアを装着し3程度の滝をダブルアックスで超えていく。とくにローブは必要ないだろう。するとじきに二俣が現われ右岸に歩を進める。
左俣は鞍掛沢で上部にはバカデカイ壁が本当にあるがいかにも脆そうだ。さて右達はトポによれば大崩壊の為、右岸から高巻くようになっているがどう見ても忠実につめていった方が楽そうだ。大岩の間をくぐり抜けると、15~6mの氷瀑がでてきてアンザイレンし宮城がアイススクリューを1本ぶち込んで超える。所々水氷だ。
ここよりさらに傾斜のきついゴーロを進んでい〈。途中熊の足跡を発見したりしてまずまずだ。変化のない面白味の無いところだ。だがちょっと見方を変えれば側壁には氷柱が折々ぶらさがっていて“ジェフ・ロウ”や“アレックス・ロウ”も真っ青rのミックスアイスが出がきることだろう。僕のTRYしたしいジャンルの一つだ。
急登がひと段落したころ、ゴルジュっほくないゴルジュに突入する。損相変わらずダラダラのカッタルイ登りで時々ラッセルもやってきやがる。トポによる氷床なんて上にたっぷり雪が付いていて、メチャクチャつまらねェー!桜井さん、木元さんも「氷の天国に騙された、帰ったらありのままの事実を公表しなくてはならないな!」と呆れ返っている。ここまできてしまうと本当に沢登りの域だな。まあそれでもワイワイとやりながら進むと斜瀑60m(高差40m)が現われまずまず楽しい。
ルンゼが近くなったら4段20m滝と30m俺がでてきてまあまあ楽しい。氷の上にはべっとり雪が付いておりそれを落としながらのダブルアックスとなった。クレードは4くらいに感じノーロープでは少々おっかなかった。ここは出口でも苦労させられ登った人はきっとベルグラの張った岩を使わなけれは越せないだろう。左岸から高巻くことも可能。
時計を見るともう3時過ぎだ。そろそろテント場を確保しなければならない。僕達3人は予想以上の不快さにえらくコタエテシマッテ出口やや上の大岩の陰に雪を整地してここに張ることにした。
とても快適なビバーク地であった。その夜は少々多めの酒を飲みながら、濁川本谷の悪口を言ったり、またまたエッチ話に盛り上がったりして楽しい夜を過ごした。10時消灯。nigorisawa

1/14、8時間半の睡眠をとって朝6時半起床。ゆっくりしすぎて後続に抜かれてしまった。まあ、ラッセルを代わってもらうことにしよう。
8時45分出発。出だしから傾斜の強い氷瀑だ。15m&20mである。ねていて桜井さんのロープ結ぼうコールは却下された。が20mは75度くらいありここは結ぶことにする。
なんと幸せなんだろう宮城がスクリューを1本埋めめリードすることを許可された。だがとんでもない水氷で全身ビショビショだ。グレードは3+程度。後続のビレイはスクリュー、スナーグx1でOK。桜井さん、木元さんも喜んでいる。結局この部分が今回のMVPである。
するとどうだろう、目の前にトポで見たことのある垂直の20m滝が現れた。イメージとしては大同心大滝を思ってくれ。とてもじゃないけど僕のレベルではしばら〈は登れないだろう。だって大同心大滝だってフォローのくせに2テンションもしてしまうのだから。
僕達3名は迷いもせず、氷壁(幅40m、高40m、長60m)から高巻き簡単に落ち口にでることができた。ここから先はトポによれば少々の氷瀑が出てくるはずなのだが、単なるき歩きに終始し急登をしはらくすると稜線に合流する。この間は意外と短く短時間で抜けることができるだろう。なんてあっけないFINISHなのだろうか!
さて下山にかかった僕達は先行パーティーのトレースに助けられて順調に進んでいたのだけれども、途中からバッチリマーキングがありトポに書かれているほど迷うことはないだろう。
だが、スムーズに下っていたのに途中からある沢に入ってしまい、3人とも何も心配せず歩いていった。そしたらこれは尾白川下流域のガンガノ沢であることがあとで分かった。忠実に沢を下降していくととてもデカイ滝にぶちあたり、しょうがないからものすごい笹藪から巻き取り付きにでる。するとどうだろう、次の滝の落ち口と思われる地点に固定ロープらしきものがかかっているではないか! そばに寄って見るとそれはどうもアイスクライミンクをやっている人のトップローブらしい。とにかく下りなくては話にならぬので結果的にそのロープをかりて取り付きまで懸垂をさせてもらった。
わぁおーっ。なんてデカく素晴らしい氷瀑なのだろうか。まずはロープをかしてくれた3人パーティーに感謝をし、少々世間話をする。といっても濁川本谷にはだまされたということを話しただけなのだが。紅茶を一口ずつごちそうになりとても悪い高巻きを下って尾白川林賞に出ることができた。ここはスリップしたら最悪なので行った時は気をつけよう。
あとは単純な長い林道歩きに専念すればよし。
僕達は運良く日向山登山客を迎えに来ていたタクシーによってもう一台呼んでもらう事ができて楽に小淵沢stに着くことができた。
最後にアイスクライミングの最高の時期に行ったにもかかわらず状態があまり良くなかったというのがとても残念であった。“氷の天国”には完璧に騙されてしまったのだ。

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