明星の一日半

1996/10/11~12
メンバー:遠藤・山田(籠鳳)  記


急行能登上野駅、乗車と共に、サロンカーのソファーを占領し、ぐっすり寝込む。糸魚川着5分前、あわてて飛び起きて下車。そのまま接続の大糸線の長椅子にベットを移す。小滝着5時半。乗客は我れわれ2人。
運転手さんが指示する明星山への道を、バナナをくわえながら歩きだす。友人から、1時間ぐらいの徒歩と聞いている。
当初4日間、別の壁の予定が、煮つまらづに決まり、この壁ならと云うことで、日程が大巾に縮小し、1日半となる。残りは家庭サービスに、というパターンだ。子供が生まれて半年余り、無理もない。
壁はデカイと聞いている。「今日中に1本こなせるかなあ・・・・・・」。二日目は、半日ルート「左岩稜」と決めた。のどかな田畑を抜け、道に迷ったものの壁の向いの駐車場に、7時すぎには着く。テントを張りおえた頃、上のキャンプ場から降りてきた成田氏に逢う。恐ろしいリーダーに成長したらしい。
ロックスを選んで、早速壁まで駈け下る。「クインズウェイ」のクライマーがやたらと落石を落とす。その手前取り付きは明瞭。1P、2P・・・・3P目でルートがわからず、時間を費やす。トップはエイリヤンに体重をあずけている状態だ。下でビレーする私が、クライミング・Jを何度も読み上げる。(後で考えたら、間抜けな話し、このピッチの事ではなかったが、状況は非常に近かった)今日中に抜けられるか、不安になる。声がかかり落ち着く。セカンドの私は、両手でぶら下がり、足ブラブラで細い外傾バンドをこなす。こなせばおいしいホールドが一つある。このルート取りがどうだなどはともかくとして、つじつまを合わせる様進。次ぎのピッチはルート図、右の×××××のルートをとったのか?・・・・・・
6P目、右下トラバースは左壁のアンダーが使えるので問題無いが、テカーとした、滑り台の様な、一枚岩が濡れているので、感じよくない。石灰岩だけに格別だ。ガレに着くと、エイリアン1本でアンカーが取ってある。
とにかく半分ということで、お休みの場所を探がし地獄の中ザイルを引く。この時、中央バンドを上に行き過ぎ、ますますルートからはずれたと思う。一息ついていると、ザイルダウンの声がかかる、人が降りてきた。朝方のクィーンズウェイの二人だ。
ピンは全く無いし、ルートも良くわからん、降りて快適なゲレンデで、フリーやった方が、よっぽど楽しい。捨てゼリフを残して、行ってしまった。そうだなあ。このルートだって、「フリーにこだわったセンスが光るルート取り」とあるがトラバースがやたら多く、少々うんざりきている。
鷹巣ハングと、への字ハングを間違えてしまったという事は、ここからクインズウェイのルートを当分たどるだろうという確信は持った。(への字ハングの左にいた)とりあえず登れるところを行く。ホールドは、ガッチリ快適だが、立っている。おまけにピンはゼロだ。一本目のランナーの「ロックスがはずれたよ」と下から声がかかる。直接ワイヤーにビナがけしたのが原因だろう。そのすぐ上、立て続けにエイリアン1本とってあったので、「ホッ」適当に、ビレー点は有るのだ。ハング下で、また生き詰まり、これ又、適当に1P、トラパース気味だったように記憶する。3P目で、見るからに、13P目に当る、5,10aのルートに合流。バンザイ。突然ゲレンデのようなピッチが現れ、ランニングを快適に決める。突然の細かいホールドに、久々に体がふってついてくる。10aはないかもしれない。
南壁の肩まで数ピッチで終り。7時間弱というところ。う-ん。下降点の目印の大木まで降り、下降路を探すが回り込んだところで、絶壁となってしまう。しばらくの後、振出しの大木に登り、潜み後を眺める。回り込んで右上の乗り超しが正解であった。(左下ではない)。暗くなってからの初見ではちょっと難しいかも知れない。ちょっと迷いつつ、バラバラに下ったが、二人とも下の小川で同着。小滝川は目と鼻の先。冷たい川に足を着ける。
今回はフリー用のスリッパでこなした。かかとをビレイの度外していたものの、親指の爪1本犠牲となった。ラバーも少しはがれた。5,10の周りをうろうろしているのだから、もうきつい靴はやめよう。本チャン用と称する硬いソールでは、最近スラブなどで、結構怖いおもいをする。
壁から叫んで頼んであったビールが、テントにとどいている。糸魚川までお楽しみに行くという成田氏の誘いを断って、普通に寝る・・・・・寝込み寸前に、おみやげ?のカニ2匹が届く。1匹1,000円、それなりの味でした。
隣のテントがやけにうるさい。朝起きて正体はわかった。五月ルートで事故って3人去り、2人残されたらしい。「いや-いっしょに宴会やりそこねちゃた」と残念そうである。こっちはホッとする。どこに落とし穴があるか分からない。彼らは宴会と登攀が、ワンセットの体力の持ち主たちなのだから。
左岩稜取り付きに、ザイルが1本おいてある。人は見当らないから、登り始める。1、2P目今一つ気乗りがしない。3P目から、人工あり、快適なフリーあり、いろいろありで、前日よりとても無理のない、いいルートという印象を二人とも受けた。ザイルをひきずって大岩へ、そこから凹角を登り(抜け口悪いとあるがそうは思わない)例の大木へ、3時間弱昨日は、迷い始めから1時間近くか
かった。下降路も20分で下る。11時前にはテントに戻る。まじまじと対岸から壁を眺め、への字ハングと、鷹巣ハングの位置を確認する。昨日朝一にこれをやらなかったのが悔やまれる。(必見です)
フリースピリッツに取り付いている成田氏に「ガンバレヨー」と声援を送る。会話がかわせるのが、この壁のおかしなとこだ。
友人を見送り一人残る。今夜は雨と分かっていたのだが、明日ちやっかり成田氏の車に便乗するつもり。
テントに寝そべり「フリースピリッツ」のもう1パーティー(成田氏のパーティーは脱落)を眺めながら、ちぴりちびりやる。いい方向へ行くかなと思いきや、良く分からない方向に抜けてしまった。やっぱり-。
成田氏本日も糸魚川へ下るらしい?(車で15分今日は寿司屋だと言う)断る私を不思議そうに見るのだが、雨にたたかれた天幕で、ぼそぼそと本を読み続けるのが、なんともいい気分なのだ。(今回は体調悪くおつとめを終えたという感じ)翌日、海谷経由などという話しも消えて、破壊状態になった姫川を眺めながら、途中大町温泉郷により帰京。
成田氏とは、当会から藤沢山岳会に移簿した人です。
藤沢山岳会御用達のマルチシューズの御紹介。
その名はジャガーのシグマ靴の横に∑印がある。2,500円位、靴流通センター等で手に入るとか。アプローチ(テールリッジet c)ほとんど、沢、フリークッションもよく軽く、かさばらず、安く、やや難点といえば、沢のコケ付きにはいい、細かいエッジには靴ぞこが軟かいためちょっと。消耗は激しい方ですが、水に強いです。
私は早速愛用しています。∑印、∑印です、シグマ大使ではありません。

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