1996/6/8
メンバー:下野・坂口 坂口 記
嵓に入会して6カ月。やっとの一ノ倉での「本チャン」がやって来た。しかもいきなり衝立である。そもそも無知な自分にとって衝立に行きたいなどと明確な意志もなかったのだが、小林君がことあるごとに「グイレクトカンテ、グイレクトカンテ‥」と言っていたのでいつのまにやら自分も「ダイレクトカンテ、ダイレクトカンテ・・」と思うに至っただけである。ロックの本チャンで、しかも無知の新人にこのルートを許して頂いたのは何ともうれしかった。
前に倉島・杉浦組、後ろに木元・小林組がいて、私は下野さんとザイルを組んだ。お陰で精神的にはかなり安心感があった。
ルートの2・4ピッチをリードさせてもらったのだが、4ピッチ目はアブミに慣れ過ぎたためフリーが非常につらく、先行の倉島・杉浦組もすでに終了して視界にいないためどこにトラバースしていけばよいやら途中判断つかず焦りに焦った。
完登後、北陵の下降終了から雨に降られ、やぶをこぎ衝立前沢を下り、出合にもどったのがたしか6時30頃だったと記憶している。下野さんの「残業にはならなかったね」という一言が妙にうれしく、ゲレンデの練習とは全く異なる次元の高い達成感、充実感を味わうことができた。
すでに夕闇の迫った中、ガスに包まれる出合いでは木元さんたち数人が待っていてくれ、そのまま車で指導センターに直行、夕飯の鍋は涙がでるほどうまかった。
果たして、これからもこの感動は得ることはできるのだろうか。