夏合宿報告(穂高岳・屏風岩東壁)

1994/8/12~15
メンバー:下野・村上・中丸  下野 記


今年の夏合宿は非常に期待していた。去年は雨に4日間たたられて、1本も行けずじまいだったので、今年は春先から、雨よ降るなと祈り続けてきた.体調も万全、パートナーの中丸さんとの息も、時間をかけて合わせてきた。さて、どうなることやら!

8月12日
入山日。今年の夏は本当に暑いためか、あてにしていた1ルンゼの水が完全に渇れていて、ベースをT4尾根基部周辺に予定していた我々は、水の荷上げをしなければならないハメになってしまった。あー面倒。でも天気は良さそう。

13日
体力のあるうちに、シンドそうなルートからやっつけてしまおうと、初日は緑に取付く事にした。
3:00起床、4:00T4尾根取付の一番乗りであったが、昨日午後、上でビバーク予定のパーティを目にしているので、最初にルートに取付けるとは限らない。心配していたが、先行は鵬翔パーティだけでひと安心。
1ピッチ目は、鵬翔ルートと同じ草付を左上していく。するとボルト1本だけの、しっかりしてはいるがちょっと嫌なテラス。
その後、2段テラスを経由して3ピッチで大テラス。ここは本当に大きいテラスで、ボルトラダーが何本もあるので緑ルートがわかりにくい。歩いていける一番左端の、1段下ったところが正解。そこから2ピッチ登ったところでしっかりしたテラスに着き、その上がガイド通りの青白ハングの右端の核心部である。
この部分を気にしながら、春先からゲレンデ通いをしていたのだが、壁に足が着く上にピンが遠くないのであっさり通過。それよりも次のピッチが核心といえば核心で、ルートがわからない。ハングを越えたら左上するんだヨと、何人かの先輩に聞いていたが、やはりディレッティシマの方に迷い込んでしまったらしい。
3人でジロジロ見たが、良くわからない。ルート図には青白ハングの上はA2とだけ書いてあるが、フリーが結構混じるらしい。結局、一坪テラスには着けずに、そのままディレッティシマを直上。最後はなかなか素敵なテラスの終了点となった。ちょっと残念。

14日
今日は雲稜。昨日、尾原氏と水野さんが水を荷上げしてくれて(ついでにビールも)、嵓は都合5人となった。パーティは尾原、村上、水野と下野、中丸。今日も天気は良さそう。
アプローチが近いということは素晴らしいもので、朝もたもたしていても、T4尾根取付2番手。ただ、身体が寝起きで動きがいまひとつ。落石に気をつけながらやっとこさT4尾根終了。
人気ルートの雲稜なので、後続の尾原パーティを待たずに取付く。1ピッチ目のビレイ点から上を見上げると、先行が一生懸命、フリーで2ピッチ目をがんばっている。自分が言うのも変だが、結構もたもたしている。何でアブミで行けるところをフリーで行きたがるのかと、ビレイしながら俺は考えてしまったものだ。
そんなこんなで、快適に、快調に、楽しみながら扇岩テラスまでたどり着き、ここでしばらく順番待ち。
ここは広くて、何より日陰なので、待つことが全然苦にならない。上を見上げれば、それは見事なシュリンゲラダー。それはそれはカラフルで美しく、左のペツルのフリーラインがかすんで見える。こういう、人間の手あかのついたようなルートが俺は好きだ。
3mmのシェリンゲに気を使いながらこのピッチを終えると、ルートは右上気味にトラバースして東壁ルンゼに入る。
さらにフリクションのよくきく快適なスラブ(変なルンゼではない)を2ピッチ程で終了点となった。最後のピッチはルート図には3級40mとあるがちょっと違うので注意。それと終了点は良くない。
それにしても天気は良いし、正面には蝶ヶ岳だろうか、ロケーションも最高で、中丸氏と強く握手を交わして、夏合宿は幕を閉じた。

来年行く人の為の上高地情報

1、例年、山から降りた後、坂巻温泉で汗を流してきたが、上高地周辺に少なくとも3つの温泉場を発見。今回はその一つ、「上高地温泉ホテル」を利用した。
歩いて15分程。入浴料600円。石鹸、シャンプー、シャワー付。何よりも湯がとてもきれい。もちろん露天風呂もある。坂巻まで行く手間を考えたら大きな違い。利用を勧める。
2、行きに深夜の直行バスを利用する人は多いが、帰りは成行の人が少なくないと思う。今回バスターミナルで詳しく聞いたら、例年バスはかなり余裕があるそうで、狭い点を除けば、安いし、手間もかからないし、6時間ほどで新宿まで帰れるしといい事づくめなので、こちらも利用を勧めたい。

※最後の日は、どうしても下山日として1日つぶれてしまうが、余裕をもって温泉で汗を流しながらビールを飲んで、直行バスで寝て帰れば、いい夏の思い出になると思いませんか?

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