唐沢岳幕岩

1993/10/9~10
メンバー:遠藤・立木  立木 記


最近では高瀬ダムまで車が入ってくれるようになり、年々山行も楽になっていくようだ。これで40分位は短縮出来るだろう。出合からは幕岩が良く見える、紅葉シーズンなのでなかなかきれいなものだ。唐沢を詰めてゆくとかなりの数のパーティがすでに取り付いているようだ。早々大町の宿に荷をデポして取り付き点を目指すことにする。
今回のルートは山嶺第一ルートをやるつもりで来た。右稜のコルヘ上がる手間より左ヘブッシュ帯を登って行き、いわゆる大洞穴ハングの右端を目指す。丁度大洞穴の真下へ行くためにフイックスロープが残されており、そこより一段右上のテラスヘ這い上がる。一歩のふんぎりがいるだろう。そのテラスは幅も広く安定している。
さて、1P目、立木トップで取り付く、ぬれていてかなり悪く、てこずる。
今回はアプローチでめずらしく、息が上がり顔面蒼白になってしまうほどの絶不調のせいか、どうもきれが悪く、行き先に不安を感じる。15mほどで左ヘバンドをトラバースして直上するので一度切る。続いて遠ちゃんに行ってもらう。
ここも見るからにぬるぬるである。一段上のテラスヘ上がる一歩が難しそうだ。ピンも無くアブミも使えない、リスにピンも無くアブミも使えない。リスにピンを打ってトライしてみるがきかず、抜けてしまいそうだ。ルート図では4級A1となっているが、5級のバランスを要求されると思う。たしかにガイドブックにも1P目は以外と悪いと書いてあるが、こんな状態では、完登できない可能性もあると思い、遠ちやんと相談してすばやく畠山ルートヘ変更する事にした。特に今回は敗退でなく絶対にどこか登りたかったのだ。
11時撤退開始、畠山取り付き13時、何とか日没までには、中央バンドまで行かなくてはならない。
1P目の3級はノーザイルでゆく。2P目、立木トップほとんどノーピンでテラスにつく、3P目、遠ちやんトップ前傾気味のフェースを人工で登って行く、滝の落ち口が、少々ピンがきいておらずいやらしい、ハングをこえたところで少々不安定なビレイとなる。
4P目立木トップ、5級のフリーだ。凹角なのでぬれている。なんとなくハングの真上で5級のフリーというのはいやなもので少々緊張する。凹角を抜けるとフリクション、バッチリのスラブを右上して行くとすベリ台テラスヘつく。右を見るとメガネハングがよく見える。
広島ルートあたりも実はハング等でさえぎられているものの、ハングとハングの問のスラブはそんなに傾斜もなくかわいていれば素晴らしいフリークライミングかも知れないなんて思ってしまった。
5P目、遠ちやんトップ、三寸テラスに向いジェードルを右上して行く。素晴らしいと思った。ピンも少なく余分なものはまったくない。冬に登られていないからだろうか?。きれいなスラブのジェードル。左へ登ると三寸スラブだ。日が影って来たのであせり出す。続くピッチ、立木トップ、上のブッシュからしみ出してくる水でビショビショだ。フリーのピッチだがオールフリーはきぴしいと思う。
残置ピンを使ってアブミに乗る。この上より上部ハング帯がよく見えるようだ。左上して行くとS字ルートの方へ行ってしまうので、ここからは直上ぎみにルートをとる。遠ちやんトップ。遠ちやんが大広間テラスヘつくころすでに真暗になってしまった。ヘッドランプをつけてフォローする。ついて見ると左の上になにかテラスがありそうだというので上がって見ると本当の大広間テラスであった。
今晩は素晴らしいビバークが出来そうだ。右上では広島ルートのパーティが上部ハング帯で残業中のようだ。
翌朝8P目は大広間テラスより左上するクラックを登って倒木のあるテラスヘ着く。真上のジェードルの右壁をフリーと人工をまじえて覚って行く。9、10Pはこんな感じである。
11、12Pは直上するような形でスラブ帯をのぼってハング下を右へ回り込む様に抜けると日差しも明るくなり終了点が近い事を感じさせる。最終ピッチの露岩から細い木の樹林帯をぬけると終了点である。
終了点からは水平に踏跡が続いており右へ右へと行くと途中で行きづまるので、その手前を左上へ上がってゆく。樹林の中の踏跡をしばらく行くと西壁ルンゼに出るので、そのままルンゼを下ってゆく。しばらく下ると右のブッシュヘ入ってゆく踏跡があるのでそれを下ると右稜の頭の懸垂点に出る。
今回畠山ルートは素晴らしいと思った。それはフリーの要素の高いミックスルートであり、4級前後がずっと続く非常に楽しいルートだと思う。次は広島ルートとS字ルートを登って見たいと思っている。

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