八ケ岳 横岳西壁 中山尾根

1992/3/7~8
メンバー:秦・宇賀田・小宮・山本・佐藤・遠藤  宇賀田 記


朝9時、美濃戸口の駐車場でテントをたたみ、赤岳鉱泉に向かった。赤岳鉱泉10時着 前夜遅かった為か寝不足がたたり休憩が多く多少時間がかかった。
鉱泉のテント場にテントを張り荷物を整理、休みもそこそこ出発11時。
樹林帯の中をもくもくと登る。トレースはあるが かなりの急登であった壊れかかった電気掃除器のようなゼイゼイと声が奏さんの口から漏れる。相当疲労困憊しているようだ。「口のまわりに『サルオガセ』が付いているぞ、いやそれは髭かあ!」軽いジョークをとばす。
岩壁基部に12時15分着。先行パーティー2名あり。30分程順番待ちとなる。
いよいよ1ピッチ目、小宮君がリードしロープを固定、他の人はプルージックで登る。凹角はもろいが難しくはない。ルート図によると「凹角より左ヘリッジを回り込む」となっているが、実際は凹角から上ヘクラックを登る。この後、雪稜を200m程息を切らせて登る。
いよいよこのルート中の核心である上部岩壁だ。しかし見た目ではそれ程困難なピッチでもなさそうだ。誰かがリードを希望する人がいなければ私が買って出ようかと思った程だ。しかしここは若い佐藤さんにまかす。快適にロープを伸ばす。下から「どうだい?」と尋ねると「どうということありませんよ」ほんとか?」ホッとする。ここはあの山口氏をしてアブミを使ったという場所だ。
実際ラストをフォローした山本さんと私は,当然AOということになった。この時点で時計はもう3時をだいぶ回っていた。
このあと両側がスッパリ切れたナイフリッジをピナクル目指して登る。雪の付きが不安定て神経を使う。後を振り向くとハッとするほどの高度感を味わうピナクルから大きくトラバースし縦走路に5時にとび出した。
やはり稜線は風が強かった。秩父山地の上に大きなレンズ雲が浮かんでいる。明日の天気を気にしながら地蔵尾根を下る。テントヘは6時15分着。まだ明るいうちに着いた。
ほてった体で、冷えたワインをゴクリと飲みほし顔を上げると横岳西壁のシルエットがくっきり浮かび上がっていた。天候に恵まれ冬壁を完登出来た感激があらためて胸にこみ上げてきた。

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