1991/5/4
メンバー：尾原・長谷川 長谷川 記
春合宿二日目は、前日の荒天が嘘のような素晴らしいクライミング日和となったが、ベースからT4までは一面の新雪におおわれ、冬山のような風景である。T4尾根の取りつきについた頃には、1ルンゼの方向から何度か雪崩の音が聴こえていた。
T4尾根には前日尾原さんが登って、ザイルをフィックスしておいたのでそれをユマーリングで登ることになったのが、初めてのユマーリングで全く要領をえず、大幅に時間をロスしてしまった。T4では雲稜を登る予定の西川さん、本郷さんが待っていてほぼ同じに登り始める。
T4から、垂壁に一直線にボルトラダーが続いている。尾原さんリードで一ピッチ目を登るが、ピンが遠いところも多く、以後のピッチも尾原さんのリードにまかせることになる。大テラスの後の3ピッチ目は尾原さんも時間をかけ慎重に登る。
後続すると、確かにピンは遠いがセカンドなので、ランニング用のシュリンゲ等を積極的に使用させてもらい登り続ける。4ピッチ目のハング気味の壁を尾原さんが登り切ったところで、雲稜パーティと約束していた下山の時間になってはいたのだが、後続すると、終了点はもうすぐ目の前なので最後の一ピッチだけリードさせてもらい終了点についた。
帰りは大テラスに置いておいたザックを忘れて、登り返したりしたためまたまた時間をロスしてしまい、T4尾根を降りるころにはもう真っ暗であった。暗闇の中何度の懸垂下降をまじえながら、T4を降り切ったところで尾原さんと握手。この蒼稜ルート、尾原さんという強力なパートナーに登らせてもらったという感じでどうも自分で登ったという感じがしなかったのだが、この時初めて屏風を一本登れてよかったなあという気持ちになった。
