北岳バットレス上・下フランケ

1991/7/21
メンバー:山口・高岡/立木・長谷川  長谷川 記


前日、7月20日は雨にたたられ、全員で下部岩壁まで行ったものの、引き返し二股でビバークすることになった。そして翌21日も朝はどんよりとした曇り空で、さきゆきの心配はあったものの出発することになった。多少メンバーの変更があり、山口=高岡、立木=長谷川のパーティ編成で、上・下フランケに取りつくことになった。
先行パーティがいることもあり、またその日のうちに東京に戻らなければならないという時間的制約もあって、スピードアップを心がけ立木=長谷川パーティは五尾根支稜より登り始めるが、そのためか下部フランケの取りつきがよくわからず、結局3ピッチ目から取りついたことになる。
この頃から天気も回復し始め、さわやかな日和の中でのクライミングが楽しめたのは幸運であった。下部フランケは岩も安定しており、フェースから、ハング気味の凹角、そしてまた凹角というように続き、なかなか変化に富んだ楽しいルートであった。荷物をもたなかったせいもあり、下部フランケはあっという間こ抜けてしまった。
そこで、山口さん達とも相談して、一時はDガリー奥壁に取りつこうかという話しが出たのであるが、結局上部フランケに続けることにする。
上部フランケ1ピッチ目は、立木さんリードでハング気味の凹角を超える。そこそこ難しいと同時に登っていて楽しいピッチである。その後、凹角状からスラブを抜け、上部フランケもあっけなく抜けてしまった。
マッチ箱の下では4尾根を登ってきた桜井さん達がすでに待っており、ピラミッドフェースの方からもすぐに登り終わるという声が聞こえてくる。この日、バットレスに取りついた嵓のメンバーは全員、快調に登りきったようである。
朝の打合せでは登れるところまで登って、途中でもおりてこようかという予定だったし、また天気もこんな急速に回復するとは思っていなかった。それが予想に反して、素晴しいコンディションの中、広々と明るいバットレスの中でクライミングがすることができ、思わぬ拾い物をして、ずい分得をした、というようないい気分で下山することができた。

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