一ノ倉沢中央稜

1990/5/13
メンバー:鈴木(博)・小宮・鈴木(直)   鈴木(直) 記


初めて入る一の倉である。昨年の秋の私が入って初めての会山行で麓から見上げた岩峰を思い出し心がはやる。
前夜登山センターに着いて酒を少々、寝たのは2時頃だった。翌朝、5時に起きる。快晴だ。眠い目を擦りながら出合いまでなぜ車が入れないのか、ぶつぶつ文句をたれつつ歩く。ただ、新緑を眺めながら歩くのも久しぷりで気持ちよい。
テールリッジを越えていよいよ取り付きだ。右には松野・尾原組、左には立木・本郷組が既に取り付いているのが見える。
当方は博道さんのリードで進む。3本目、小宮君の要望に従って(?)、草付のやさしいコースを避け、左の難しいコースを取る。
4本目、博道さんからリードを勧められ、やって見る事にする。さて、取り付くか・・・と思ったが足がズリズリ滑って一歩も登れない。やむを得ずハーケンについた残置のシュリンゲに両足を突っ込み、A05分程岩にしがみついたあげく何とかのっこす。やれやれと思ったのも束の間、開き直って今度もAOで行くぞ、と思ったがこれまた一歩も登れず。どうしようかと思ったが、ハーケンが適当な間隔で続いていそうなのであぶみを出す事にする。先週、越沢バットレスで初めて使って以来2度目の使用だ。あぶみの場合時間がかかっても体力を消耗しない分気が楽である。
ここを何とかきり抜け右にトラバース。本来のルートである草付の稜線に出てビレイポイントに着いた時には喉がカラカラであった。
その次は小宮君が2本続けてリード。そして博道さんが代って先に進むが、どうやら核心は終わった様だ。3人だとどうしても時間のロスが大きいが、幸いにも好天気で、待っている時間の日向ぼっこも気持ちよい。
奏さん、村林さんが南稜にいるのが見える。2時頃衝立の頭にようやく到着。昼食をすませる。
さて、下りに入る。中央稜の懸垂下降。私はゲレンデの感覚しかないので、あっという間にテールリッジまで行けるものと思っていたが、そうはうまく行かない。
結局、取り付き点まで降り立ったのは登り始めから約12時間後の7:30、5時間もかかった事になる。3人ということもあるが、下りの時間をいかに短縮するかという課題を残した山行であった。結局、一緒に入った合計4パーティーのうち一番遅いという、当初予想しない結果になってしまった。
後、最後のテールリッジヘの懸垂下降で、(早く用を足したい!)という一念からあせって雑な降り方をしてしまい、頭大の石を落としてしまった。これが運悪く小宮君のザックを直撃。本人に当たらなくて胸を撫で下ろす思い出あったが、最後まで気を抜かず余裕を持った行動を取らねば、と肝に命じた。

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