1990/5/3～4
メンバー：松元・山口・桜井・秦・川崎・字賀田・小宮・本郷・長谷川・村林 山口 記
＜先ずは反省から＞
1会員として第3者的立場に立って見れば、連日のあの雨天なのだから、何も実行出来なかったのは、仕方ない事と思う。
半面、リーダーの立場から見ると、立木、鈴木（博）の八ツ峰パーティー以外、行動らしい行動を何もしなかったと言うよりさせなかった事は、やはり残念であり、後悔の気持で一杯である。
天候の悪い事は初めから判っていた事であった。ただ、1日の晴れ間を期待していたのである。しかし、その1日の晴れ間も望めないかも知れない事は予想出来ていたのだからそれなりの事を何か計画しておくべきだったのではないか。・・・・
合宿が終わってから「せめて剣岳の頂上に立ちたかった」と言う若い会員の意見には、その意欲に報いてやる事の出来なかった自分の不甲斐なさを痛感させられているのである。
＜行動概要＞
5月2日夜
上野駅「大パンダ」前に集合。
新幹線を利用、「長岡」乗り換えで「魚津」まで行き、待合室で仮眠を取る。一方八ツ峰パーティーの立木、鈴木（博）の2名はそのまま「富山」へ。
この待合室には変ったオッサンが居てやたら話し掛けてくるは、装備類を覗き見るはで、松元さんや女性達は気になって眠れなかったとの事である。
5月3日（木）
早朝「上市」まで行くため、富山地鉄のホームに行くと、ここでも別の変なオッサンが我々の回りをうろついて来て、気持が悪い事といったらない。上市駅に降りたらこのオッサンがホームにつっ立っていて我々の事をジッと眺めている。何だ何だと思って魚津出身の尾原にこの状況を聞いて見ると、魚津人は親切なので我々が無事に「上市」に行けるかどうか心配で思わず追って来たのではないかとの事である。
上市から馬場島まではタクシー4台に分乗して行く。田舎のタクシーと馬鹿にしたものではなく、これがなかなか荒っぽい運転であった。途中で江本さんのシュラフが落ちていたが、運良く後続のタクシーに拾われたから良かった様なものの悲惨だったのは桜井さんである。ザックごと放り出された上、そのまま可成の距離を引きずられてしまった為、ザックは勿論、ザイルまでズタズタになってしまった。
兎も角、タクシー会社との補償交渉は下山時に行う事にした。
馬場島から「取り入れダム」までは、道路を約1時間、廻りの景色を見ても雪の少ない事が良く判り、池ノ谷ゴルジュの通行が可能かどうか不安になって来る。
「取り入れダム」からは、一般コースは通らず、自萩川をつめる。脳天までシビレル様な冷たい流れの渡渉1回、ザイルを使用してのヘツリ1回で池ノ谷出合に付く。「取り入れダム」から約2時間であった。
先行パーティーが池ノ谷を下降してきて、ゴルジュの通行不可能な事を知らされた。またも小窓尾根の乗越しである。
登りのみ約1時間半。雪が少ない為、夏道がほとんど出ており、全員バテる事なく登る事が出来た。
いつもながら、乗越しからの景色は良い。池ノ谷剣尾根の岩壁群が一望のもとに見渡せるが、初めての人にはどこが何やら説明しても判らなかったかも知れない。
この日の予定は池ノ谷二俣までであったが、時間的・体力的に無理と諦めた。では、テントを池ノ谷雪渓に張るか、乗越に張るかで少し迷ったが、ブロック雪崩の危険を考えて、風当りが少々きついがこの乗越しに張る事にした。
天候悪化の兆しから風が生暖かい為、テントの外で食事を取る事が出来た。メニューはレトルトのカレーである。このカレーが最後に一袋残っていたので4・5人で分けて食べてしまったところ、これが小泉さんの分であった。人数分用意していたのに可笑しいとは思っていたが後の祭りである。
遠慮は美徳と書う社会通念が、山の中では通用しないと事を小泉さんは身を持って経験したわけである。夜間から雨と強風。フライ替りにテントにかぶせた工事用ビニールシートが風にあおられてバタバタとうるさいのと、飛ばされそうなので外へ出て補強をした。天気が悪いわりには富山の町の夜景が美しかった。
5月4日（金）
朝も早いうちは、まだ雨も降っていなかったが、それも時間の問題という状態であった。ラジオの天気予報は大雨を告げていた。
当初、沈殿のつもりであったが、、テントの中に入っているのも勿体ないからと、三ノ窓まで行って見る事にして、状況が良ければジャンダルムだけでも登って来る事にした。ただ山口1人はこの日入山して来る鈴木（直）を池ノ谷出合まで迎えに行く事にした。もっとも出発前に雨が降り出して来たため、二俣までしか行けずに引き返して来た。メンバーは松元・桜井・秦・川崎・字賀田・小宮・本郷・長谷川・村林であった。
