1990/5/13、27~28
メンバー:松野・尾原 松野 記
今年初めての登攀として、衝立岩雲稜第一ルートを登る事に決めて、ルート図集を見ている時に本庄山の会ルートが目にとまった。 「ほとんど登られていない」この一言で行きたくなった。やはりゴルジュ突破会の発想である。人の行かない場所に行きたくなる。。以下その登攀記録である。
第1回目 5月13日(日)
6:00に出合いを出発。7:00頃に中央稜基部に着く。
衝立バンドをトラバースしてアンザイレンテラスを目指すが、時期が早い為かステップがなく、ロープが必要と思うほど悪かった。やっとのことでアンザイレンテラスに着き8:00に登攀開始。
1P目 松野リードで取り付く。この凹角は3回目なので軽くクリア。
2P目 尾原リードで雲稜ルートの凹角を直上しそのまま木の生えているテラスを目指す。途中から本庄ルートのオリジナルラインになるがピトンは安定している。
3P目 松野リードで行くが、出だしからピンが遠い。しかも1/3しか入っていない物はあるは、今にも抜けそうな物はあるはで本気になって戦う。
悪い悪いを連発しながら15m程登るとピンが無くなってしまった。迷ったあげく左方にピンを見つけフリーでトラバースをするが、難しく落ちる寸前でピンに届いた。気が付いたらA字ルートに入っていた。
仕方なく尾原に登って来て貰うが、正規ルートに尾原がボルトを打とうとしたらフレンズが抜けて落ちるし、トラバース中にも落ちるし、「もうやめた」で下降した。
しかし、気分は上々、何か勉強になった気がした。「あまり登られていないルートはグレードが高い」という教訓を知らされた。
第2回目 5月27日(日)
1回目の失敗から今回は2人でピトンを20本あまり、ボルトを5本、タイオフ用のシュリンゲを多数持って出発。
1P目 尾原リードで軽くクリア。
2P目 また尾原リードで軽くクリア。途中アングルピトンを1本打ち足す。
3P目 松野リードで前回の場所まで登り、ピトンを3ポイント打つと正規ルートにつながった。いよいよ核心の三段ハングであるが、1m位の張り出しが続くが、ボルトの間隔は短く簡単であった。凄い高度感に満足しながらレッジヘ付く。早速ビレイシートを出して尾原に来て貰う。後続する尾原も順調に登って来る。
4P目 尾原リードでネジレハングを越すが、ピンが悪いらしく苦労している。ハングの出口でピンが抜け落ちる。2m位で止まった。その後抜けたピンを3本打ち石楠花テラスヘ着く。
時間的にここでビバークしようかと考えたが、案外狭いので他の場所にする事に決め、もう1ピッチ登る事にする。
5P目 松野リードでA字ルートの左のボルトラインを登る。難しいA1であった。雲稜ルートの上でビバーク。
6P目 松野リードでA字ルートに合流してL字ハングを越える。出口のピンは遠く、最上段に乗ってやっと届く。ピンを2本打ってアンカーを補強する。
レッジ手前で尾原がピトン抜けで落ちる(この人よくおちるなあー・・)
7P目 尾原リードで行くが、10m程でブッシュ帯に入る。
8P目 松野リードで衝立の頭へ着く。
今回の登攀で勉強になる事がたくさんあった。
1.あまり知られていないルートはピッチグレードだけで判断するべきではない。総合グレードははるかに難しい。
2.参考所要時間はまったく当てにならない。(当然ビバークの準備もする)
3.ピトン類は多数持って行くこと。
またトップのビレイは全てボディから行なった。(ビレイポイントのピンもいつ抜けるか判らない為)アンカーの支点には特に気を使い。多い時には5ケ所位のピンを連結した。
最後に(嵓)の皆さんへ、本庄山の会ルートは整備されました。続登を期待する。