赤岳西壁主稜

1990/12/2
メンバー:立木・鈴木(直)・長谷川・高岡・木元  立木 記


今回、冬合宿北鎌尾根パーティーは、訓練の一環として赤岳の主稜を登ることにした。只、行きたいと思うルートとして考えればもっと素晴しいルートはいくらでもある。しかし、今回は北鎌尾根のトレーニングを最優先に考え、我々パーティのチームワークづくり及び、トレーニングをかざることによる気持の高揚がねらいである。
さて、当初我々3名(立木 鈴木(直)高岡)は12月1、2日と易しいながらも継続を考えていたものの、この季節にしては異常な台風にたたられ、中央本線、中央高速、20号の断続的な通行止めによって泣く泣くあきらめる。12月1日の快晴がはっきりしていただけに残念だった。
木元を加えた4人は16:00行者小屋着。急いでテント設営後、文三郎道を偵察に向かう。しかし、一面ガスで西壁全体の様子が把握出来ず、大方の予想をつけてテントに戻る。一日損をしているので恒例の宴会も程々に済ませ、21:00には寝る。4:00起床。風が凄い。天気予報で強風注意報が出ていることを知り、もう少し明るくなるまで様子をうかがうことにする。少し風がおさまってきたところで出発することにした。夜中1人でここまで歩いて来た長谷川を加えて5名となる。
文三郎途中より赤岳沢へ下る下降点をさがす。太いダケカンバの木を使い一ピッチの懸垂で降りる。さすがに雪が少なくて赤茶けた岩がむき出しになっていて、滝が直登出来ず、左の尾根を高巻き左ルンゼに入る。約3mほどの氷瀑をのぼり、目前の滝も直登できないので右上の雪壁を右上して、反対側よりコルにでる。台風のあとで雪はしまっている。この辺りから雪はまあまあでてきて、やっとほっとする。
ルートファインディングも易しく、ルートも易しくこれと言った取得のないルートである。ただし、今回は先日の富士山の屏風尾根以上の風であった。その意味では良いトレーニングになったと思う。途中易しい岩登りと、雪壁を登るとすぐに頂上だ。今回初心者もおり、形式的にはスタカットを使ったが一般的にはコンテニアスで充分であろう。今回の登攀は正直、不完全燃焼で終ったあとの喜びは何もなかった。おそらく登攀中の緊張感があまりなかったせいであろう。南峰リッジの継続も考えてみたが、ルートじたい見た感じ、どこもおもしろそうなところがないのと、ますます風が強くなってきたのでやめることにした。
次は大同心の正面を攀じってみたいと思う。昨夜は遅くまで大同心にヘッドランプがひかり、ソロクライマーが登攀していたようだ。その気合が離れている我々に伝わってくるようだった。そんな登攀をして見たい。

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