1989/1/1
メンバー:松元・山口・養田・桜井 桜井 記
新しい年の八ヶ岳はフーセツで明けた。前夜の打ち合わせでは横岳西壁の石尊稜に行こうと言うことで、この日も実は五時に起きたのだが外の天気も悪く、明るくならないので雑煮の朝食をとってからまた寝てしまった。
しばらく天気の回復の様子を見ていたがいっこうに良くならないので『今日は沈澱だな』などと話していたのだが松元氏が『折角来たのだから一つぐらいピークを踏みたいな』と言うことで前日中山尾根に登ったメンバーの尻を叩いて9時過ぎに易しいと思われる赤岳南峰リッジに向かうことにする。 ガスはやや晴れたようだが雪はまだ降っている。このルートは左の北峰リッジと並んで赤岳に突き上げているリッジで北峰リッジよりは易しく、アプローチは一般道の文三郎道を登り途中からトラバースして取りつく。
文三郎道の下部樹林帯ではさほどでもなかったのだが、ここを過ぎると風も強くなりガスが濃いのでトラバースする地点も分かりずらい。さらに登っていくがとにかく八ツ特有の強い風が吹き荒れ、立って歩くのもキツイ位である。
『これじゃ南峰リッジに行ったら飛ばされてしまうな』と言うことで残念ながら諦めて文三郎道をそのまま詰め赤岳のピークを目指す。フーセツが強くまつ毛と眉毛は氷つき、眼鏡をかけている山口と桜井はそれもかけていられなかったのでややハンディであった。
なんとかピークに立つが長居することもできず証拠写真を撮ってすぐに下山にする。雪が少なかった前日とは稜線は大違いである。地蔵尾根をしばらく下るとさっきまでの風が嘘のようにおさまった。
行者小屋まで降りてまもなく空を覆っていたガスはみるみる間に晴れて青空が現れた。山口は下山し、桜井は北八ツに向かった。