ピラミッドフェース~第4尾根主稜

1989/7/22~23
メンバー:桜井・立木 桜井 記


7/22

AM5:50、一足先に我々は広河原の駐車場を後にする。途中、Dガリー奥壁パーティの松野、鈴木が追いつくが、もう一人のパートナーの川崎が後続と一緒にいるので彼ら二人は待っているとのことで二俣で別れ我々2人は大樺沢の雪渓からC沢の左側の尾根につけられた踏跡を辿り、ピラミッド・フェースの取付に向かう。
取付のすぐ下が急な雪渓となっていて、運動靴では不安であり、ここですぐ後から来ていたピッケルを待った5人パーティーに追い越されてしまった。ところがそのパーティーは先に取り付いたものの、トップが仲々登れず時間がかかっている。
しばらく見ていたが、何時になるか分からないので、隣のDガリー大滝を2ピッチ登り、草付きバンドを右へトラバースしてピラミッド・フェースの3ピッチ目のレッヂに達する。
下には4尾根へ変更した川崎と別れた松野パーティがDガリー大滝を登り出したのが見える。
桜井リードで3ピッチ目より登り出す。フェースを右上、下から見ると逆層ぎみでつるつるであるがフリークションが効いて硬いスラブで快適である。 4ピッチ目、立木リード。頭上をハングに押えられ、横断バンドでピッチを切る。5ピッチ目はバンドを左へトラバースしてハングの間を歩いて登る。 6ピッチ目は最初の核心部で凹角から逆層ぎみのフェースを登り、Ⅴ級のクラックに突き当る。残置は多い方なのでプロテクションは安心出来る。レイバックで登り途中からはジャミングを決めてフリーで登る。
7ピッチ目、立木リード。本番でのリードもだいぶ馴れてきた様だ。8ピッチ目、桜井リード。ハングを左へトラバースして何段かになったハングをかわしていく。この様にこのルートは逆層のハング帯を右へ左へかわしながら延びているので、ガスなどで視界が悪いとルートファインディングが難しい。
9ピッチ目、安定したバンドの上のレッヂから左上のクラックを登り、垂直の凹角。ここは第2の核心部である。8ピッチ目を登っている時に降り出した雨で岩が濡れていやらしい。力も尽きてきていたのでシュリンゲをつかんでAOで這い上がる。
このピッチを立木がフォローしている時、4尾根からかなり大きな落石があり、その一つが立木さんのすぐ近くをかすめていった。最後のピッチを登り4尾根の2ピッチ目に抜けたのが3:00だった。
松元パーティーに交信をして4尾根からピークに抜けることを伝えて、登り続ける。取付での順番待ち以外は先行パーティーもいなかったのだが、ここでDガリーの取付にいた4尾根を登る他パーティーと一緒になってしまい以降、順番待ちをさせられる。4one桜井リードで登り出し以降のピッチはつるべで登る。Dガリー奥壁が見える所まで登ると、その取付に松野、鈴木パーティーの赤いツェルトが見えたので大声で呼んでみるが出てこない。きっともう寝ているのだろう。
4尾根終了点に着いたのが6:20で見下ろすと1尾根の取付にツェルトを張っているパーティーが確認出来た。トランシーバーで交信をした後、ピークを踏んで肩ノ小屋のテント場に着いたのが7:30だった。

7/23

標高3000mで、シェラフカバーでのビバークはやはり寒い。夜中に何度か目覚め夜明けを向かえる。 まだ暗いうちから日の出を見ようと山頂に向かう人たちの声をシュラフカバーの中で聞きながら、前夜一番最後にここに着いて、今朝は一番遅くツェルトをたたむ。
この位置からだと交信出来ない様で他パーティーの様子がつかめない。10時頃山頂に登り、下から上がって来るパーテイーを待っているとDガリーパーティーが上がってきた。その後しばらく待っていたが、天気も良くないので肩ノ小屋まで下り待ちつづける。結局、1尾根パーティーが着いたのが3時頃で、この日はほとんど何もしなかった。

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