横岳西壁中山尾根

1988/12/31
メンバー:山口・養田・桜井 桜井 記


横岳西壁の中でも大同心、小同心を除くと最も手強いとされる中山尾根であるが天気と壁の状態に恵まれて比較的容易に登ることが出来た。
行者小屋を7時に出発、中山乗越に向かうがなぜか地蔵尾根のトレースを追ってしまい左手にルンゼを挟んで中山尾根が見えてきた、左下には中山乗越も見える。やむなく登ってきた道を引き返す。乗越からは西壁に向かって樹林の中のトレースを追う。
積雪の多い尾根でラッセルを強いられることもあるとガイドには有るのだが今年は雪が少ない様である。やがて樹林が終わり第一岩壁に突さ当たる。 雪も氷も殆ど付いておらず黒々とした壁はフラットソールの方が良い位だ。
正面右側より山口リードにて登りだす。クラックにそって左上して20mほどで左から回り込みピッチを切る。2本のロープで養田、桜井と続けて登る。
ここから潅木混じりの雪稜を150m程辿ると第二岩壁に達する。20m程右にトラバースして凹角を登る。トップの山口は多少苦戦してアブミを取り出しクリヤーする。この頃から後続パーティが見え出したが追いつく様子もなくトップの我々は比較的のんびりと登れた。
続くピッチは桜井リード、左へトラバースして直上。傾斜が緩むとすぐ岩稜が現れ、遠くから見るとどうやって登るのかと思う程立っているが、近付くと結構ホールドもある。再び山口リードでアイゼンを外して取り付く。
続くピッチは桜井リード、易しくすぐに傾斜も落ちビレイしていると稜線を歩く人の姿も見える。頭上には最後のトサカ岩も望まれるが稜線に向かってかなりはっきりとした踏跡があり(この踏み跡も稜線も殆ど雪が付いていない)これを辿って登攀終了とする。
下りの地蔵尾根をシリセードを交えて一気に降りる。行者小尾に着いたのが丁度1時で定時の交信をするが応答が無い。テントに戻るとその交信相手である松元氏が中を整理して待っていた。
合流してからまだ暗闇も早いので三文峰ルンゼへ行こうということになった。帰りにここを登り返すのはしんどいなと言いながら中山乗越から赤岳鉱泉側に一気に下る。
途中から三叉峰ルンゼよりも地蔵尾根から見えた日ノ岳ルンゼの大滝に行こうと言うことになりしばらくそのトレースを追ったが途中で中山尾根に登っており大滝に続くトレースはなくかなりのラッセルを強いられそうなのであきらめて再び三叉峰ルンゼを目指す。
取り付きのF1から氷が未発達で途中で切れておりこれを登るのもかなりやばそうだ。せっかく来たのだからと桜井が取り付くがかぶりぎみでいやらしい。薄い氷をだましながらなんとかクリヤー。時間もあまりないので残置ピンで懸垂して下りる。
中山乗越までの急登をあえぎながら登り(今日の核心部だ)ベースに戻る。大晦日の晩は松元氏が連れてきた2ひきの蟹を食べて祝った。中山尾根では健闘した山口氏もこの蟹食い合戦では敗退した様だ。

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