一ノ倉沢 烏帽子奥壁ダイレクト・ルート

1988/10/2
中川・桜井・松野


天気は回復に向かっているが、ここ数日の雨で壁のコンディションは不安だ。
3時起床、ヘッドランプを点けて4時に出会いを出発する。テールリッジの途中で明るくなってきた。取り付は南稜フランケの鎌型ハングの右端、桜井リードで7時過ぎ登はん開始。予想通り濡れていてかなり悪い。カンテ状を越えて右上にトラバース。残置ピンも少なくルートファインディングが難しい。
2ピッチ目、中川リード。草付の多いスラブを左上してハング下迄右へトラバース。このトラバースも外傾している上濡れていてかなり悪い。
3ピッチ目、中川リード。ハング下を右上して5級フェースを登る。ハング下からフェースに移る所では滝の様に水が落ちていた。フェースもピンが少なくトップはプレッシャーが大きい。
4ピッチ目、南フラと別れ右上の凹角は登らず右へトラバースして変形チムニー上のレッジへ。
5ピッチ目、松野リート。変チルートの左のリッジを登り左上。この上のレッジには3人立てそうにないのでラストの桜井は少し下で待つ。
6ピッチ目、中川リード。A1のアブミの掛け変え、間隔が少し遠い。
7ピッチ目、桜井リード。チムニーを少し登って右側のリッジに移る。2つ目のチムニ一はバックアンドフットの内面登はん。この頃からガスが出て来て視界が悪くなる。
7ピッチ目を登る松野をビレイしながら8ピッチ目を中川リードで登り出す。凹角から傾斜の落ちたフェースで3級とはいえ手強い。
9ピッチ目、2級のルンゼを中川ビレイで桜井、松野の順でローブを引いていく。最後の凹角は登らず左へトラバースして南稜ヘエスケープして登はん終了、4時。
濡れたロープは滑りが悪く南稜の懸垂では何度か回収が困難になり時間がかかった。濃いガスと夕闇の中鎌型ハングの下に降り立ったのは6時を回っていた。ヘッドランプを頼りに奥壁を回り込むが雨とガスで手探りの様にしてトラバースしていく。
中央稜の取り付きが分かり辛く苦労したが、以降は懸垂を交えながらテールリッジを下降する。
出合いに辿り着いたのは10時を過ぎていた。

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