荒沢山~足拍子岳

1988/4/10
松元・岡本・小野 川崎・鈴木(光)・中川


4月10日 6:40土樽駅出発。駅から車道を下り橋を渡ったら左へ行き、ごく小さな小川を渡り、次に南カドナミ沢を渡る。今風の木造コテージがあるがこれがカドナミ尾根の取付で土樽駅の正面、ここまで7~8分である。雪の藪をたどると展望が開け越後から見る白い谷川の山座同定などに興じる。快晴、無風、サングラスが有効。春山のパラダイスだ。
9合目で不安な人は一応アイゼンを付ける。10:50荒沢山着。休憩後足拍子岳へ向かって縦走を始める。尾根が狭く切れている。腐った雪が乗っかっている。固定ザイルをセットするがリッジがカーブしたところではトレールとザイルが離れてしまって効果がうすい。3ピッチほどで困難ということで松元、岡本、小野は引き返した。そして荒沢山からの下りは積雪中でのザイルセット、操作、回収等を練習しながら行った。又、縦走パーティが見えるのでトランシーバーで随時、雪ピの状態をアドバイスした。土樽駅着、15:00。 残された川崎、鈴木、中川は迷ったがとりあえず前進を決めた。核心部と言われるキッレトは10mほどきわどく下った後、樹木を支点に15m懸垂。登り返しは樹木で確保してトップの千両役者は中川。8mの下り水平リッジから腐った雪壁の右はじ、雪ピ近くを直上する。膝でステップを押し付け、途中からダブルアックスを使い、雪崩の不安の中猛烈な奮闘だ。左上の樹木にたどり着いてピッチを終る。ザイルはぴったり40m。
この先はやや簡単だし時間もないのでコンテで行く。「もう引き返すわけにもいかんだろう」という気持ちになっていく。小さき切れた所があり右下を巻く。ここで雪ピとの境目に鈴木が沈みそうになり「オヨヨ」となった。コンテのザイルを潅木に固定してもらう。鈴木の背中ではトランシーバーは、カドナミ尾根で様子をウォッチングしている松元氏の叱咤ががなっている。応答はできないがおかげで冷静になれる。腹ばいと犬掻きで沈下を避けながら脱出したがその先のヤブのトラバースもこわかった。
稜線はいつのまにか穏やかさを増し3人は核心部は去ったことを感じた。14:00、3時間ぶりに休憩する。
“ありがたや大分名産オレンジを泣いて食うなりナイフリッジ”
コンテで足拍子へ向かう。頂上直下左が切れているがこの辺は先行トレースがある。14:50展望全方位、有るものは雪だけの山頂に立つ。天橋立のような縦走路には雪の帯がくねくねとつらなっており、ミシンの縫目と見えるのは私達の足跡だ。
今日一日会山行を見守ってくれた眼下の土樽駅舎へ向けてシリセードで下る。これが雪崩の通り道とは分かっていたが疲れたメンバーにとってシルバーシートの甘い誘惑には抗しがたいのだ。事故を起こせば弁解の余地はないのだが、沢の最下部だけ左の尾根に逃げて16:40土樽駅着。松元さん、岡本さん、小野さんお待たせしてしまいました。
「昭文社のガイドマップってあるでしょう。あれねえ足拍子の所、あれ、僕が書いたんですよぉ」(山口氏談)

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