やばかった金山沢左俣

1995/10/22~23
メンバー:宮城・他2名  宮城 記


女性的な笹穴沢が、なぜかとても男性的で凶暴かつ危険きわまりない金山沢にいつの間にか変わっていた。そうルートをまた間違えてしまったのだ。
先週のーノ倉沢を失敗してしまったから、せめて今週は楽しんででやろうと期待していたのに…・。それにめったに沢登りにはやってこない小柳さんも参加してくれたのだから。
そもそも今回も失敗が多すぎた。一番いけなかったのは明星山に行くことを楽しみにしていた平館さん、佐藤さんを裏切ってしまったこと。これはまずかった。本当にごめんなさい。
さてルートは金山沢出合までは笹穴沢のトポを参照。といってもその先の記録をとる余裕なんてまったくなく全てやばいの一言。二俣のバカデカイ滝なんて途中ランニング取るリスさえなく唯一のサピサビのボルト、ピトン1本あるのみ。その後の各大滝もまるっきりノープロで、捨て身でリード。もう情神も肉体も疲れきってしまった頃、今回の目玉商品極めつけが現われやがった。これは本当にやばかったよ。30mほとんど垂直に近い俺だ。
左側から越えるが、下部は階段状で岩質も堅く4+程度、中段で少々傾斜は緩む。ここからが核心。ふと我にかえると、今自分が乗っているのは1m角の浮き石の上ではないか。
げっ!グラグラ動くぞ。なんか下の二人がわめいている。でも超ピンチでそんなの聞いていられない。口の中に嫌な苦みが広がってきた。すく左側にほんの2~3cm程度のスタンスがあるが渡れるだろうか。このままでは落ちてしまいそうだ。早く移ろう。ここまでノーピンだし、この先も取れそうにない。下りることもてきない。落ちたら間違いなく…。
飛ぶように移った直後、すごい音と共に彼女ら二人をめがけて奴は落ちていき、そしてこっぱみじんになった。きな臭さがここまで臭ってさそうだ。幸い、怪我はなさそうだ。
早く逃げよう。ここから上もさらに悪い状態がつづく。吐き気もやってさた。最悪の草付きトラバースも登場だ。おっかねー。早くあの立ち木まで。あと5m、4m、3m、2m、やったー。安全地帯に到着。体の節々が痛い。喉はカラカラだし、胃痛、吐き気参ってしまった。
いかん後続をビレイしなくては。小柳さんはユマーリングしてきた。さすがの彼女も「悪すぎる。」と言ってびびってしまったようだ。そんな彼女に僕は餌づけをされながら今度は酒井さんを確保。もう顔には笑みさえ残っていない。だが全員無事でなにより。
そんなにやばかったなら高巻けなかったのかって?そっちの方がもっとやばそうだ。悪場も終わったかと思われたが最後にまだ一つだけでかいのが残っていた。どうにかここは高巻けそうだ。左の急草付をハンマー頼りに登る。するとどうだろう夕日に輝いたキレイな笹薮がでてきて稜線も間近。そしてたどり着いた頂は仙ノ倉山山頂。PM5:00JUST着。
本当に夜れたよ。暗闇に足を何十回と取られ、車を置いてある川古温泉にはPM9:30着。これで本当に開放されたのだ。

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