一ノ倉沢衝立岩ダイレクトカンテ

1995/5/27
メンバー:山本(裕)・村上  山本 記


前の週に天狗岩で人工の練習をしてエライ調子がよかった。今回ちょうどパートナーにも恵まれたので、やっと衝立デビューということになった。
今朝は谷川も珍しく晴れた。ロープウエー入り口でゲートが閉まっているので、(本日9:00から開放になったそうだ)新緑の中を出台まで歩く。午前中は雲ひとつなく、こんな天気のいい一ノ倉は初めてだ。雪渓がテールリッジの下部を半分も覆っているし岩も乾いているのでアプローチが非常に楽だ。
話に聞いていたとおりアンザイレンテラスまでのトラバースは怖い。足場が岩屑だらけで、バランスを崩したり、ちょっと滑ったりするだけでアウトだろう。
先行パーティーが2ピッチ目を半分終らしているころに村上さんリードで登りはじめる(9:30)。真上のテラスに上がるのにかなり右に回り込みながら行く。1ピッチ目のテラスに上がっても先行パーティーのセカンドが2ピッチ目を終らないので、そこで1時間ほど待つ。先行があまりに遅いので村上さんが怒ってしまって、「追い付いたら会の名前とか聞いといて!」というが、持っているうちに自分もこのピッチをスムーズに行けるかどうか自信がなくなってくる。
先行のリードが3ピッチ目についたようなので2ピッチ目に取り掛かる。カンテを下からのぞいてみると長いなーと気が重くなる。ハーケン、リングボルト、ペツル、タイオフありボロい残置シュリングあり、バラエティに富んだ支点がならんでいる。余分な支点がたくさん打ってあるので、どれにアブミをかけていいか考えてしまう。支点を一個とばすと遠すぎたり、段々不精になって、フィフィをかけたまま次の支点にアブミを進めたり、立ち込みもしないのに次のピンが届かないとモガいたり。余分な力と時間をかけ過ぎて2ピッチ目をリードするのに1時間10分もかかってしまった。下でビレイしている村上さんから溜息とあくびが間こえる。いやー申し訳ないな。    2ピッチ目のビレイ点は、安定しているが高度感があってすごいところだ。3ピッチ目は村上さんリードで快調に進む。カンテの垂壁をさらに登り、右にトラバースを始めてやがて視界から消えた。
3ピッチ目のビレイ点は、カンテを右に巻いてすぐの所に1ヶ所とさらに15mほどトラバースしたところにもう一つある。村上さんは奥の方に進んでくれて、3ピッチ目は40m近いピッチになった。
そこから終了点の立ち木は本当に目と鼻の先で、やっと元気が出てくる。4ピッ目は怖いピッチだと聞いていたが、おそるおそる取り付いてみるとピンもしっかりしてして高度感もそんなになく、安心して前に進めた(終了15:30)。
初めての衝立とはいえあまりにも時間をかけ過ぎてしまった。技術的にはたいして難しいとは思わなかったが、ルートの途中で腕がパンプするなどで力尽きてしまうことを極度に恐れたために、フィフィでぶら下がって休んでばかりいた。結局たいして腕にもこなかったのだからもう少し思い切っていくべきだったと後悔している。

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