赤石沢Aフランケ・偵察山行 (白綾会~赤蜘珠ルート)

1995/10/9~12
メンバー:木元・宮城 宮城 記


佐藤さんが逝ってしまってはや3ヶ月がたった。なんて時が過ぎるのは早いのだろう。彼が僕達に残してくれたもの、おしえてくれたものたくさんあったなぁ!人生について・将来の目標・最新の技術など…・。特に技術については質問すると「まってました」とばかりに親切に教えてくれたものさ。よし、今度は僕達が彼のMEMORYを何かの形で残していこう。追悼集を出すことになった。当然、仲間一人一人の原稿が大切だ。
だが私とは一度もローブを結んだことがない僕みたいなものが記すとしたら、正直いって飲みに行ったときの意見交換などしかない。あと出来ることとしたらなんだう?
そうだ!彼も生きていたら後々はそうしたであろう新ルート開拓、これがある。
8/5、御両親が見えたときの集会時に皆に話をもちかけたらそれぞれ乗る気になってくれていろいろな案がでた。場所はどこがいいだろう、ゲレンデもいいがやはりAフランケだろう。しかもアメリカン・エイドでやってみようではないか。とはいっても簡単に拓けるはずはないぞ。それに開拓の余地はまだあるのか?
まあとにかく彼が夢中になったAフランケとは何ぞや。そしてどこに魅力があるのか、いろいろじっくりみてきた。それではそろそろ本題に入ううか。
10/9 PM11:30、新宿アルプス広場交番前に木元さんと合流。急行アルプスはとても混み合っていたがうまく座席を見つけ一安心。適当に酒を飲んでまもなくして本日の宿・甲府に到着。二人とも仕事疲れで明日も早いことだし、さて寝ましょうか。

10/10 AM6:30報ぎ甲府の宿を出発。日野事で即タクシーを呼び竹字駒ヶ岳神社へ。(¥4750なり) AフランケにはAM8:00出発。重荷に耐えながら七丈小屋にはPM13:00頃到着。幸い御主人のコマツさん?はまだ居られるようだ。
先日の挨拶をすると「どうぞ、中にはいってお茶でも。」そして「お茶よりもこっちがいいでしょう。」といってビールを持って来てくれた。迷いもせずすぐに飲み干してしまう。結局2本いただき、しかも「今番飲んでください。」とワンカッブ2本までつけてくれた。本当にご馳走様でした。また帰りに寄ります。(1時間程おじゃましてしまった。)
すっかりへロヘロになった僕達は、なんて貧弱なのか八合目の岩小屋に着くのがやっとで、ここをB.Cとする。(PM16:00)
まだ時間もあるので今後の為に右ルンゼの確認に下る。この前の台風のせいかジャバジャバ流れ出ている。夜はたき火をしながら佐藤さんの話をサカナに酒を飲む。
10/11 AM5:00前木元さんに起こしてもらう。快晴だ。AM6:30出発。
やや迷いながらも基部には1時間程で着いた。素晴らしい天気なので全てが見える。そしてナント赤蜘蛛ルート取り付きで佐藤さんのへルメット発。表に「さとうひさお」の文字。間違いない。誰かが拾って置いてくれたのだろう。バンドは切れていない。かぶっていなかったのかな?でも見つかって良かった。拾ってくれた人ありがとう。
これは幸先いいぞ。とにかくキョロキョロしながら登りましょう。
ルートは白稜会を選んだ。理由は上部空白部分を横切っているため把握するにはいいルートではないかという立木さんのアドバイスがあったから・・。AM7:10START。
1P目:木元リード、どうやら貸し切りのようだ。バンドに一段上がってピトンにアブミを掛ける。小ハングを最上段に乗って超える。素情らしいラダーだが全てが最上段に乗っての掛け換え。朝一の重労働で体がおもうようにきかず厳しい。木元さんは「決して近くないな」と奮闘している。20m程でS.V。
2P目:宮城リード、垂直のボルトラダー。単純だけど快適。約20mで従来のB.Pに到着。
3P目:木元リード、除々に体が慣れてきたのか木元さんのペースが上がって来た。
4P目:宮城リード、単調なラダーから草付きとやや変化に富んでいる。ロープが足りなくなったため大テラス手前の小テラスでピッチをきる。
5P目:木元リード、5m弱大テラスにたどり着く。白稜会上部からの落石がなかなか恐ろしい。左フェースには残された佐藤さんのメインローブがさみしそうに風に揺られている。
6 P目:宮城リード、自然落石がひどい為、木元さんと話し合った結果上部は赤蜘蛛ルートに変更。このルートからでも偵察は充分可能だ。出だしでキャメロット#0.75とエイリアン#3/8をぶち込んで快適なカンテ状を攀じる。
7P目:木元リード、ぁぉ!なんてきれいなクラックなのだろう。クラックの中には残置フレンズ×2・ロックス×2がそれぞれあり、そしてなんといってもすっかり撤去されたと思っていたアルミサッシがまだ1本だけだが残っているではないか!おかしいものだ。木元さんはキャメロット#1を途中に決めて「ビレイ解除」
8P目:宮城リード、カンテを超えるあたりのボルト2本分が少々遠く木元さんから松野さん公認のクリプフィフィフィを借りて楽に越えることができた。つくづく初登者の労力驚く。枯れ木のあるテラスでビレイ。
9P目:木元リード、ブッシュの目立つ岩場を攀じり、ビバーク跡のある所でビレイ。実質ここで終了。特に問題なくそのまま宮城が1ピッチロープをのばし、Aフランケの頭の岩小屋に到着した。そしてここには相変わらずH本が残置されており疲れた体には少々刺激が強すぎる。 登攀時間・・7時間

果たしてルートを拓く余地はあったろうか? どうも見てるだけでは判断が難しい。う~ん、赤蜘蛛ルート大テラスの左方向にスーパーシンクラックの前傾壁があるけど、どうだろう?とにかくもう少し検討しなくてはと木元さんとうなづく。
今回攀じったルートはAフランケの中では一番易しいルートと紹介されているが実際そう思う。ボルト・ラダーがメインの非常に安定した快適なルートだった。そして感じた事、ルート開拓、なかなか厳しい。ワンブッシュで出来ればいいが満足なものに仕上がるだろうか?少々不安を感じる。そこでどうだろう、もう少しみんなでアメリカン・エイドを練習し納得してから挑んでみようではないか!

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