滝谷第4尾根~ツルム正面壁

1993/8/12
メンバー:遠藤・立木  立木 記


雨の中を、今年もダメかなと思いつつアプローチをするのもなかなか辛いものがある。正直、クラに入ってからの涸沢定着でスカッと晴れたことが一度もないのだ。
今回は滝谷と屏風右岩壁を登るつもりでいたのだが、結果的には滝谷のみとなってしまった。幸いにも12、13の両日はスカッと晴れたのである。
一発目は滝谷第4尾根~ツルム正面~右俣奥壁雲表の予定で出発。パートナーは遠ちゃん最近やっと遠ちゃんの口うるささにもなれてきた。
一尾根に行く山口、秦、両先輩を残し、ひと足先に出発する。北穂までのアプローチに約2時間、第3尾根に行く下野、山本、成田も一緒だ。前夜のヒュッテ前のフォルクローレで、はしゃぎすぎた下野1人がペースが上がらないようで、当会のリーダーのHのようであった。
やがて南峰、北峰のコルより滝谷側へC沢の左俣を下るのであるが、これが実にこわい前にも後にも人がいなければいいのだが、浮右を落とすと下の人を直撃してしまうのだ。 一時間も下っただろうか、やがて3尾根の末端、C沢の右、左の分岐点に着く。どうやら先行パーティが4パーティもいる。どうしょうかとも思ったが、こればかりはどうしょうもなく、じっと待つことにする。この先行のトップを引いているパーティがこれまたヘタくその上に遅く、落石の連発でおそれいりました。
ルートはCカンテ下までは特別問題になるところもなく、すっと行けてしまう。Cカンテ下の右下にツルムの取付へ下る懸垂ピンがある。10m位下ると取付らしいところに右、左に4m位離れて2ケ所ビレイピンがあるが左の方が正しいと思う 1P目、遠ちゃんリード、フェースのフリーから人工に移る、ハングの下で一度切る。
2P目、立木リード、頭上のハングを右から回り込みながら左へぬけるのだが、出口のひとつ上のハーケンが折れていたので、近くのリスに、きいていないハーケンを打ってタイオフして乗り移る。途中少々悪く感じるフリーを交えてテラスまで右上して行く。このピッチはフリーの比率が高い。
3P目、遠ちゃんリード、フリーで右上して右岩稜までのばすのだが、ルートが判然とせず、右上すると少々悪い。私がルートは右だと言って遠ちゃんに行かせたのだが、どうも5級はあると思う。
4P目、立木リード、右岩稜を少し登り、左へトラバースやや岩がもろい感じだが問題はない。
5P目、遠ちゃんリード、左上~右上して電光クラック左のフェースを人工主体で登って行く。ピナクルまでのばしてツルムを完登する。ツルムは古いルートであることもあるが、ほとんどがハーケンで、その上岩がもろいところもあり、4尾根からあえてツルムを登る人もそんなにいないであろうか、新しいピンはまったく無い。
ツルムの頭に着くと先行パーティがいたが、我々に先を譲ってくれると言う。だが何と上を見ると4尾根のトップを引いていたパーティがそこにまだいるではないか、あまりのショックで石を投げてやろうかと思ってしまった。
ツルムのコルヘ20m懸垂をして、フェースからチムニー状を登る。続くピッチが4尾根の核心だ。垂直のカンテ~垂直のフェース、ちょっとずるもしたが、なんとか抜ける。そこから上部は、がくっと傾斜も落ちて、縦走路まではすぐだ。トランシーバーで完登したことを告げて足早に下山にかかる。
涸沢に着いたのは8時45分であった。途中順番待ちなどでロスはあったが、長いルートはやはり気持ちが良いと思わずにいられない。

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