北岳バットレス第4尾根

2015/9/4~9/6
田中、他  記 田中


出し忘れていた記録ですが,デスクトップに置いとくのも邪魔なもので・・・。

日本3大クラシックルート

さて,何を思い浮かべる人が多いのだろう。
おそらく槍ケ岳北鎌尾根,前穂高岳北尾根は挙がると思う。

滝谷4尾根,屏風岩雲稜ルート,谷川岳衝立岩雲稜ルート,チンネ,剱岳源次郎尾根ほか思い当たる節は多い。
その中でも今回のパートナーは北岳バットレス第4尾根を3つ目(といっては失礼だが)に挙げていた。

「4尾根だけならたぶん登れちゃうから,ピラミッドフェースから継続しよう」なんて思っていたが,壁に跳ね返されてこの記録をいそいそと書いている。

以下はピラミッドフェース敗退の記録である。

◆9月4日 晴れ→霧
11:20 広河原
14:00 白根御池小屋

白根御池小屋までの記録は登山道なので省略することにする。
アプローチの確認に向かう。高度の影響か,歩みが明らかに鈍る。
大樺沢を詰めてC・D沢間の尾根をルートにすると決めた。

battoresu01人のいる尾根がC・D沢間の尾根

尾根には赤旗が立てられていてちょっと引いた。やりすぎでしょ。
尾根の草付にロープと一部のギアをデポ。

◆9月5日 晴れ(と霧)
03:30 白根御池小屋発
04:40 C・D沢間の尾根
05:20 取り付き着
06:00 1P目開始
09:21 6P目
11:51 13P目(白い岩のクラック)
12:30 15P目(マッチ箱)
15:08 北岳山頂
17:15 白根御池小屋

4尾根に向かうという小屋発6人が3時に出発,同じく3人も出発。
バットレス全体では今日の3P目になったようだ。ハーネスは取付きで装着することにした。
C・D沢間の尾根はなかなかの急登でしんどかった。
取付き付近は,6人ほどであればハーネスを履いたりできるほどの平坦に近い場所がある。
ピラミッドフェース取付きはリングボルト2本に残置スリングがかかっている所と決めつけた。

1P目(N) 45m・Ⅲ級
11時半の方向に進む。
リードは45mを中間支点2本だけで行った。恐怖って,知ってる・・・?

なぜか凹角,ハング右下の木の根っこでハンギングビレイしており,たぶんルートが違うので修正。
正規ルートはアンサウンド(使ってみたかった)な泥草付きを登った茂みの中に隠れたテラスの木の根っこ(スリング10本くらい垂れてた)。
ピラミッドフェースというかっこいいルートにこんなピッチが含まれるとは予想できない。

2P目(N) 30m・Ⅳ級
9時の方向に15m進んでピッチを切れば良かった。
実際は9時の方向に10mトラバースして,15m直上してハング下まで。
1P目からそうだったが,濡れ濡れでスラブを登れるような状態ではなかった。(リードはフリーで突破。マジか)
このピッチに1時間半費やす。

3P目(田中) 30m・Ⅱ級
3時の方向へ踏み跡に従って進み,Cガリーの手前まで。
横断バンドが上に見えたが,濡れ濡れの壁で取り付く気になれない。
4尾根を登ろうということになり,ビレイ点からなぜか右にトラバースする踏み跡があったので,灌木帯に突入してみた。
どこに出るかはロシアンルーレット。ジャカジャカジャカ,ジャ~ン!
十字クラックの上,Cガリー右岸に出た。

4P目(N) 20m・Ⅱ級
12時の方向に踏み跡に従って進み,左側から横断バンド(普通に歩ける)が合流するところまで。
歩いて4尾根の横断バンド終了点に合流。

※注意:ここからはいろんなルートが取れると思うので,あまり役に立たないかも。備忘録。

5P目(田中) 15m・簡単
12時の方向に見えるクラックを迂回して,右側の草付き10mを登る。
(このピッチに関しては,クラックを登った方がよかった)
左に砂地のテラスが見えたので吸い込まれ,リングボルト2本の終了点へ。前述クラックの真上に出た。

6P目(N) 25m・Ⅳ級
12時の方向のクラックを15 m登り,ハング下を右へ10mトラバースして灌木で終了。
ハーケンは最初の方に1本だけ。クラックはジャミングするより内部のカチを探すべし。

battoresu02クラック初リード?

7P目(田中) 18m・Ⅲ+級
12時の方向のフェース(ちょっとクラックあり)8mを登る。木から左へ10mトラバースしてリング3本の終了点へ。
フェースびしょぬれで結構しびれた。右へ歩いて巻けたかも?

8P目(N) 20m・Ⅳ級
リッジの様相を成している12時のフェースを10m,正面のリッジは登らず,なぜか右の小ルンゼへ入り8m登る。
「登れそうに見えたから」らしいが,小ルンゼが結構悪かった。

9P目(田中) 15m・Ⅲ+級
左側へトラバース気味に登り,リッジへ戻る。

10P目(N) 20m・Ⅱ級
緩いフェースを登り,トポで紹介され始める大テラスへ。

11P目(田中) 40m・Ⅳ+級
最初のクラックはほんとにツルッとしてて怖い。
リッジ寄りの終了点(ハーケン1,カム1)で切る。

12P目(N) 35m・Ⅲ級
リッジ寄りのスラブフェースを20m登り,右側へテラスのある終了点まで歩く。

13P目(田中) 40m・Ⅲ級
「白い岩のクラック」があるピッチだが,うーん。
立派なクラックではなく,「なんか割れてる」ぐらいのもの。

battoresu03明瞭なクラックは無い

14P目(N) 25m・V級
リッジを進み,三角形の垂壁・3mの垂壁と紹介されるフェースを登る。
正面突破は結構悪い(Ⅵ級くらい?)が,途中から右に出ると少し楽。

15P目(田中) 20m・Ⅲ級
マッチ箱の懸垂支点までリッジ歩き。
コルのテラス(ただの足場)まで懸垂する。
落ち着いて歩けたりする場所かと思うとガッカリする。3大ガッカリ名所に推薦したい。

battoresu04写真スポット

16P目(田中) 40m・Ⅳ級
目の前のスラブを15m登り,クラック途中のハーケン連打地帯へ。
スラブが結構ムズイ。

17P目(N) 40m・Ⅳ級
リッジ上を枯れ木まで登り,城塞下までトラバースする。
離陸してすぐの垂壁チックになるところの乗り越しがちょっとテクニカル。

18P目(田中) 15m・??級
OWを登り,傾斜の緩んだ灌木まで。
ここで初めてのA0。次回来ることがあってもA0だな,ってくらい悪かった。
Y○CのM氏は「普通に行けた」とのこと。ワイド芸人だからだ。

19P目(N) 30m
ロープを解いて歩いてもよかったが,ビバークサイトが出てくるところまでは確保するのが安心。

おわり。
4尾根が完全に崩壊する前に登れてよかったです。
なんかすっきりしないなあ。

戻る

 

Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Google Bookmarks