奥穂高岳 南稜

2014/6/14-15
渡邉、他  記 渡邉


【行程】
2014年6月14~15日(12日夜沢渡泊)

【天候】
13日雨後曇り、夜冷えた。
14日 快晴、微風。日曜は気温高く3,000m付近も長袖1枚でOK。

【装備】
ロープ(W60m)、スリング5-6本、カラビナ6-7枚(環付2)アックス2(内ピッケル1)。
スノーバー、カム類(小さめ)、ストックは使用せず。

夏のヨーロッパアルプスに向け、訓練兼ねて残雪残る奥穂南稜を行く。
前穂沢上部の雪の状態が良ければ、急斜トラバースの予定であったが、気温上がる中、雨が続いており、雪が緩んでいる可能性あること、小屋から天狗沢を使う様忠告あったこと、また、予備日も無いことから、奥穂経由天狗沢を下った。

6月13日(金) 小雨
深夜2時沢渡(足湯駐車場)着。
他にテント一幕。小雨の中、そそくさと準備しシュラフに潜り込む。
増水の為、沢の音が大きく耳栓大活躍。

6月14日(土) 曇り時々雨。
6時半起床。
7時半(大変立派になった)沢渡バスターミナル、9時白樺荘、11時岳沢小屋。

着替えていたらオーバーパンツを忘れた事に気づく。
家で防水スプレーをかけた後、荷物に入れるのを忘れていた!恐るべし、13日の金曜日。
スパッツあるからまぁいっかなと思いながらも雨が降るのにカッパも無いのは不味いかと上高地で店をうろつくと、白樺荘の売店でミズノの雨具があったのでゲット。
なんと便利な上高地。因みに、五千尺ホテルのモンベルは雨具上着のみ。
そもそもズボン忘れるアホの面倒までは見きれんということだろう。
気を取り直して、白樺荘の脇を抜けテクテク岳沢へ。
サルがチョロチョロ、観光客がゾロゾロ、賑やかな初夏の上高地。

岳沢で氷河コンテの練習(Kさんが色々練習メニュー作成してくれたおかげで有意義な練習に)後、取付と前穂沢下山路の偵察に向かう。
雨のせいで、大滝も勢いよく落ちている。
取付きとの間は聞いた通り、シュルント大きくポッカリ。
薄い部分を落として深さを見つつ、岩へ乗り移れそうな場所を探す。
ルンゼに残雪なし、上のハイマツ帯からはトラロープ。
とりあえずルンゼ一番上(滝沢寄り)の外傾した岩&草付を上がり、トラロープ支点をチェック、強度OK! 前穂沢の上部の様子見るが「怪しい!」として、前穂沢下降を諦め、天狗沢の偵察に向かいルート確認、16時頃小屋戻り。
今週末は小屋泊というプチ贅沢。

6月15日(日)
2時半起床、3時40分出発、4時半取付。
6時トリコニー下、8時II峰上トラバース。
10時南稜の頭。
10時45分奥穂山頂発、12時半コブの頭、14時10分天狗のコル、15時50分岳沢小屋。
18時上高地。

このルートは視界無いと雪につられて進んでしまいそうな気がした。
取付から30mほど登るともたつくハイマツ帯。暫く我慢すれば広いチムニー、これを超えて扇沢側を辿る。
草付、岩床、雪渓を好きに繋ぐ。
暫くすると緩い凹角、その後滝沢側に出てそのまま進み、雪渓が切れるかなーという辺りの岩稜で扇沢側に超える。
岩稜伝いに歩き、大きなI峰の手前で右折、岩のトンネル?隙間?を抜けて扇沢側に出るとI峰直下。
雪が多い時はどうするのだろうと探すと、トンネルを通らず滝沢の谷側を巻くこともできた。
ハーケン2本ある壁下で小休止し、ロープ出す。
6時。すっかり明るい。吊尾根にうっすらトラバース跡が見える。
天気は良好。雪が締まっていればここまで滝沢を詰めても上がれるのだろうか等とKさんと話す。

渡辺リードさせて貰いI峰頂上へ快適な登り。
扇沢側に回り込んだところでピッチを切るが、その後も不安定な雪のリッジを下るので、もう1ピッチ伸ばして登り返しのハイマツ帯でロープをたたむ。
II峰は滝沢側を巻き、シュルントを跨いで滝沢上を横断、尾根に沿うように雪面を登り始める(写真)。
雪山は好きだが雪面が苦手な私、ちょっとでも岩が出てくれば雀のようにチョンチョン乗り移るが、テンポが乱れ、スピードも落ちる。
優しいKさんも遂に「もう観念して雪の上歩けば?」と一言。
ですよね、と敢え無く雪上の人に。
この雪面の登りが結構長く、もう飽きた!という辺りで南稜の頭。

山頂でゆっくり休憩、アイゼンをしまい、西穂の稜線へ。
上高地の終バスは18時なので、余裕とは言えないまでも十分時間ある。
初めての道ではないが、雪の状態が解らないので、どのくらい時間がかかるだろうか、玉田さんから「今日の核心は上高地の終バスに間に合うか」と言われたことを思い出す。
沢渡に車が有るので、最悪、坂巻温泉まで歩けばいいか、とKさんと話して元気よく歩く。
総じて飛騨側は雪が残っているが、凍結しているところはなく、うっすらトレースもあるので、慎重に行く。
信州側は残雪ないが、兎に角岩が不安定で、特にジャンダルムの手前で少し下る辺りは、ふっと乗った岩から振動が他の岩に伝播し大小の岩が一緒に「わわわっー!」と動くので、とても緊張する(一日の中でここが一番怖かった)。
コブの頭を少し西穂寄りに行った岩峰の信州側下に2畳ほどの好条件ビバークサイトがあった。
天狗のコル手前の(地図「ルンゼ内クサリ」の箇所)ルンゼは、下の方が凍結していたので懸垂。

天狗のコルでアイゼンを履き、天狗沢を下る。
2,250m付近で畳岩尾根の末端を乗越していかねばならないところ、尾根からの落石を避けようと、沢の中程の雪を繋いでいるうちに降りすぎてしまい、岳沢のブッシュに阻まれ道が無くなる。
位置確認して、60mほど登り返すと人の声が聞こえ、小屋のヘリポートが見えた。
小屋で荷物を片付けながら、前日、沢の下部まで足を伸ばして確認すべきだったね、と2人で反省。

今回は前に齋藤さんと行った二子中央稜に続く女子山行だが、やはり女子隊はならではの計画や、ルート取りなどの愉しさを実感。
御同行頂いたKさんに感謝。

201406_okuho01
滝沢・正面が大滝

201406_okuho02
取付の上部

201406_okuho03
二峰の後、稜線へ向かう斜面(滝沢上)

戻る

Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Google Bookmarks