2014/4/19-20
高坂、田中 記 田中
白馬主稜、2014年の目標の一つ。
なぜ行きたかったか?某チャレンジアルパインクライミングに、楽しそうな雪稜の雰囲気で載せられていたからである。
結果は10aかと思って取り付いてみたら、12aだったくらいの乖離でした(自分が余りにも未熟、という意味)。
さらに残念だったことが、どれが何峰なのかがよくわからなかった。
2014/4/19(土)
行きは梓川SAでテント泊、素晴らしい東屋がありました。
翌、5:40に二股から歩き始め、無雪の舗装路を行き6:55に猿倉荘着。
二股の入口
猿倉~白馬尻
二股の駐車場には先着が2台。
しかもスキーヤーであり、入山者が予想よりもだいぶ少なく、ちょっと動揺する。(みんな悪天予報で取り付きをやめたのか?)
なにはともあれ準備を整え出発するが、だらだらと舗装路を歩くのは正直つらい。
昨年の4月前半は、ここから雪があったそうな。
7:05に猿倉荘を出発し、脛ラッセルで、8:20に白馬尻らしき場所に到着。
猿倉荘からは、微かに踏み跡も見えるが、すぐにわからなくなる&歩幅が広い。
今思うと、下山のトレースだったのだろう。
脛上あたりのラッセルでも、続くと疲れるものである。
右手に川を見ながら進み、白馬尻についた頃、視界はガスガスで60m先がわからない。
白馬尻小屋も解体されており、取り付きも合っているか自信がないが、地図読みで意見を一致させる。
大きく雪崩込んでいる沢が白馬沢のようだ。ワカンはもう使うことがないので、取り付きらへんの木にくくりつけて残置決定。
8:35に取り付きを出発し、13:00に8峰あたりに到着。
8峰のだいぶ手前?
8峰あたり?
取り付きからうっっっすらしたトレースらしきものをたどるが、視界不良ですぐに見失ってしまい、ラッセルを強いられた。
雪面はところどころ割れており、それを回避しつつ安全な場所を登ってゆく。
傾斜が緩くなっても、場所によっては膝まで潜るので、トップを交代しながら歩を進める。このときはまだまだ元気。
2時間ほど歩いたところで傾斜が急になり、ストックをピッケルに持ち替えた。
急傾斜で雪面が割ると急に厳しくなる。
まさにアルパインクライミングという木登りで乗り切ると、顕著なリッジとなった。
このあたりで正面に岩壁が見え、急に視界良好になった。下界は雲海の下のようだ。
13:00に8峰周辺、16:10に6峰らしきところで幕営。
雪が緩んできた。雪稜は初めての私にとって、緩んだリッジは怖い。
高坂さん、お先にお願いします。私、トレースをたどるので精一杯です。と思う場所が9割近くだった。
急な雪面で初めてロープを出して登り出すが、高坂さんはどエライ場所を切り開いてゆく。
ランナーもバッチリ取られ、そこを登ってゆくしかない状況に…。木
を掴み、木に乗り込み、少し折りながら(木さんごめんなさい)なんとか突破する。
この様子では、リードじゃ行けないな。本では楽しい雪稜を登ってゆく風に見えたのに、これはどういうことだ!
途中で1パーティーに抜かされ、高坂さんのラッセル天国もここまで。
田中は精神の疲労でヘトヘト。更にまさかのアイゼン故障(アンチスノープレートが外れる)。心も故障寸前。
何度も、立ったリッジのアップダウンを繰り返し、なんとかテントを張れる場所を整地した。
頑張って持ち上げた350缶×2は美味しく頂くことができた。
春雨丼とたくさんのツマミでお腹いっぱいになり寝付きも良かった。
2014/4/20(日)
6:15に出発し、10:00に2峰についた。
テン場からの朝
5峰あたりから見下ろす
起床は3時の予定、時計を見ると4:30。あー、よく寝た。
急いで起き出し、朝ごはんをかき込む。外は明るく、風もないようだ。快晴だ!
だがしかし、雪山はそんなに甘いものでもない。
歩き出して5歩もゆけば、また立派なリッジ。30cmズレたら終わりの気持ちを、朝から味わう。
ボーっとしてるだけに恐怖心も少し薄いのだが。
しかし何といっても今日は先行がいる。
しかも前を歩く高坂さんが、トレースを更に深くしながら登ってくれる。バケツトレースとはこのことかと実感。
※今日のトップパーティーはすごい勢いで雪稜を切り開いている。最後の雪庇越え含め、雪稜の経験レベルが違った。
バケツでも時間とともに緩んでくるので、怖い場所では、ロープを上から降ろしてもらったりしていた。
しかし天気がいい。暖かすぎて少し眠いくらいだ。
10:38に最後の雪壁に取り付き、20分くらいで雪庇を抜けて2人とも山頂へ。
最後の雪壁を登る高坂さん
最後の雪壁にある確保支点は、雪をかぶっていて使えない。
スタンディングアックスビレイするものの、止める自信はない。
「もしトップが滑落したら、目の前の穴に飛び込もう」などと考えている間にサクサク抜けてしまわれた。
なるほど階段が出来上がっている。
恐怖心を感じるようなことは無かった。
雪庇を抜けると、本当に山頂に出た。突然真っ白!雪庇の下は晴れてたのに!
1日目の途中からずっと前を歩いてくださった高坂さんと握手し、そそくさと帰り支度。
山頂でお互いに記念撮影した。
山頂
あまりにも真っ白の世界で、道を確かめながら頂上山荘まで下る。
もう道迷いはない。あとは大雪渓を下るだけ。
雪崩てくれるなよ、と、めっちゃ祈る。
下山
尻セードで下れる部分はそう多くなかった。雪が柔らかすぎてブレーキになる。
途中、何気なく振り向くと、ストックが20m上に転がっていた。危うく残置するところでした。
えっちらおっちら歩き、取り付きに戻ってワカンを回収。登攀具とビーコンを解除しさあ帰るぞ。
取り付きから大雪渓
あれ?
ストックと並列で付いていた、クォークが・・・無い。。
バッグの下?天面?さては手に持ってる?言葉が出ない。だって、、3万円もしたんだから。
どこにも無い。。やってしまったああ!!
さよなら3万円、、さよならアイスクライミング、、
帰りは温泉、餃子が半額の中華料理屋の、高坂さんおもてなしコースに頼る。
学んだことは、雪稜の支点の不安さ、自分の体力のなさ、ベルクロの弱さ(忌々しい)。
まだまだ学ぶことは多そうです。
また一人で雪山にもいかないとなあ。
ちなみにクォークは拾ってくださった方がいました。名前書いておいて良かった。
童人トマの風の田邉様、ありがとうございました。