海金剛 スーパーレイン

2013/3/20
福田、待井  記 待井


海金剛は奇岩の景勝地が点在する伊豆半島西海岸の南にある大きな岩塔である。

温暖な気候のため、秋から春にかけてマルチピッチの対象として多くの人が登りに来る。そのいくつかあるルートの中でも「スーパーレイン」はクラックを中心とした一番人気のルートとなっている。
一昨年あたりからクラックを始めて、小川山や城ヶ崎のクラック、錫状岳「注文の多い料理店」など初級ルートを登ってきたが、10台のグレードのピッチが連続するスーパーレインにどれだけ通用するだろうか。正直不安なものの、やってみなければわからない。このところ成長著しい、いつもの福田姉さんととりついてみた。
前日夕方に東京を車で出て、途中買い物や食事をしつつ約5時間、21時半頃に松崎町の道の駅に着いた。
当日は朝5時半に起床。車に乗って20分くらいで雲見オートキャンプ場に到着。駐車料金500円。

アプローチ
車道を少し下りつつ戻って、54の番号がついた電柱の脇から向かって左側の踏み跡に入る。そこからはほぼ水平の踏み跡を20分程度たどり、フィックスのある斜面を海岸へ約15メートル懸垂。海岸沿いの岩の上を7~80メートル歩いて、取り付き地点へと踏み跡を登っていく。アプローチは計40分くらいか。
渋滞を心配して早めに来たが、取り付きには他に誰もいない。
7時40分開始。

1ピッチ(5.7~5.8)
福田トップ。樹林の中からスタートし、20メートルほどコーナーのクラックをたどってから、スラブの右トラバース。トラバース開始地点の左側コーナー部分の細いクラックに新調したナッツをきめていた。ナッツは初の使用。スラブはいつものことだが手足の置き所がはっきりせず怖い。トラバース後のブッシュに入る地点に立ち木のビレー点がある。

2ピッチ
樹林の中の歩き。15メートルほど。

3ピッチ(5.9~10a)
待井トップ。出だしは5メートルくらいのハンドクラック。その後スラブになる。登りやすそうなところを求めて左へトラバース気味に登って行ったら、いつの間にかこのピッチの終了点に着いてしまった。中間支点は松の木でとっていったが、もうひとつあるはずの10aのクラックを割愛してしまっていた。申し訳ない。ビレー点はテラスにある松の木。

4ピッチ(5.10a~10b)
福田トップ。今回のクライマックスでしょう。姉さんは、右上するフィンガー~ハンドクラックから、バランスの良くないアンダーフレークを慎重に越えて行った。そして直上していくフィストからさらに広いクラックも余裕でこなし、ほぼ30メートルを見事、一気に登ってしまった。オンサイトだ。10aか10bなのに。限界グレードなのに。圧巻。
セカンドは、転落して、斜上するロープに大きく振られる想像で、冷や汗とともに登ることとなった。ここもビレー点は松の木。

5ピッチ(5.10a~10b)
待井トップ。先人クラックと言われるところ。フィンガークラックで2箇所の垂直部分を越えていく。が、カムが抜けてしまう悪い想像に負けてしまっている。垂壁部分でそれぞれテンションをかけ、カムをこれでもかとばかりにクラックの奥へときっちりとはめ込んで登ることにした。このため、後でセカンドから、抜きにくくてテンションかけそうになったじゃないの、と苦情があった。もちろんノーテンで登ってきたのだが。クラックを超えると容易な階段状である。ビレー点は6ピッチ開始部のクラックにカムでつくった。

6ピッチ(5.9)
福田トップ。これも出だしのバランスの良くないクラックから。クラックの上部はハングを越えていく。調子の出てきた姉さんは「快適、快適」とおっしゃりつつ登る。手のつけられない状態である。
ビレー点はボルトとハーケンで設置してある。

7ピッチ(5.8)
待井トップ。最後のピッチとなる。出だしのクラックの一手一足とその上のハングが問題と言えば問題。あとはスラブ。左側の階段状を登ったが、直上するコーナーの細いクラックをたどるのが「正式」か。セカンドはきっちりと「正式」コースを登ってきた。このコーナーの開始部にはルート全体を通して唯一のランニング用残置ハーケンがあった。
頂上にある終了点には11時40分着。ボルトと岩にシュリンゲをまわしてビレー点が作られている。
頂上は、気持ちの良い風が吹き抜け、眼下の濃い青色の海に囲まれた感じで、周囲の岩峰の眺望もすばらしい。

umikonngou

懸垂
ロープの引っ掛かりを避けるため、短めに登りのピッチごとに区切っていった。それぞれに残置カラビナがある。約一時間で取り付きに戻った。その途中に誰と行き違うこともなく、結局本日の海金剛はわれわれ二人のみであった。
ほぼノーテンションで登りきった姉さんは「程よい難しさ」だったとのことだが、自分はリードのピッチでテンションをかけたし、コースの取り違えもあったし「スーパーレイン」を登ったことにはならないだろう。
これからもクラック登りの経験を積んで、特にフィンガーサイズの苦手意識を払拭して再挑戦してみたいと思う。

使用ギア
キャメ 0.3~3番2本ずつ。4と5番1本ずつ。
エイリアン 青~グレー
ナッツ 小さめのもの1個
ダブルロープ 50メートル×2

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