北岳バットレス ピラミッドフェース

2013/7/26-28
福田、待井、前田、A  記 待井


北岳バットレスに始めて行ったのはもう25年くらい前かなあ。

大学卒業後、社会人山岳会に入っていたワンゲル部の同期と一緒に四尾根を登ったが、口うるさい彼に最終ピッチ終了点で「うるせえんだ。この野郎」と怒鳴りつけ、その後一言も口をきかずに下山した。
それから何回登ったかよく憶えていないが、そんな「思いはるかな(注)」北岳にまた行ってきた。

7月26日
朝6時過ぎに車で東京を出発。芦安の駐車場に9時ごろに到着した。
50分発の乗り合いタクシーに乗って一時間弱で広河原へ。
短パンにタイツの流行のスタイルの人たちが大勢いる。前田さんの山ガール姿も素敵だった。
御池小屋には3時前には到着し、ゆっくり食事の用意をして酒を飲んでいたら6時半ころには雷雨になった。
テントにもぐりこんで早々に就寝。

7月27日
3時起床4時少し過ぎに出発。
明るくなりかけていて、二又を過ぎたらもうヘッドライトはいらなかった。
大樺沢からはいつもの出合が滝になっている沢より30メートルくらい上のガレ沢をつめた。
ここで高度約2500メートル。時間にして出発から一時間と少し経過していた。
このガレ沢は途中大岩の脇を左にまく箇所があるくらいで、最後の雪渓の横断も10メートルくらい。
ほとんどがガレ場登りで取り付きの直下まで行ける。
先行の待井・福田組と前田・A組に分かれて6時45分スタート。
天気は曇りときどき晴れ。陽が射すと少し暑いくらいだった。

ビラミッドフェース
以下待井・福田組の記録。

1ピッチ目(福田リード)
傾斜のゆるいフェースをほぼ直上。30メートルで灌木の上のビレイ点に到着。

2ピッチ目(待井リード)
灌木の中を左トラバース。25メートル。

3ピッチ目(福田リード)
フェースをほぼ直上、約15メートル。灌木の左でピッチをきる。

4ピッチ目(待井リード)
やや左のフェースから直上。
35メートルでハング下の横断バンド地点。
ここは石がごろごろと堆積しており、ロープが触れただけで落石が起きる。

5ピッチ目(福田・待井リード)
ハング下を左へ歩きのトラバース。
その後右上してハングの上に出るところを、トップの福田さんは勢い余ってそのまま左に歩き続け、下部フランケルート核心の10bくらいのフェースも登ってしまったので、ロワーダウンで降りてきていただいた。
折り返して、正規の五ピッチ目の終了点まで歩いて行った。

6ピッチ目(福田リード)
ここは傾斜の強いフェースだが、最後のクラック状の部分がかぶっていて楽しい。
カムC4#1も使える。35メートルくらい。

7ピッチ目(待井リード)
右寄りに登っていったらカンテ状の部分に出てしまった。
以前登ったときの記憶にない場所だが、ハング気味な上にガバで快適だったのでそのまま登っていった。約40メートル。

8ピッチ目(福田・待井リード)
階段状を登っていったら、案の定四尾根1ピッチ目の取り付きテラスに到着。
ここから茂みの中を左下へクライムダウンし、ピラミッドフェースの九ピッチ目の取り付きに復帰した。計約25メートル。

9ピッチ目(福田リード)
ピラミッドフェースのハイライトのコーナークラック。
スラブ状から、見た目より傾斜のきついコーナーを登る。
福田さん楽しんでいたようだ。カムC4#1を使用。約25メートル。

10ピッチ目
コーナーの上を四尾根二ピッチ目との合流地点まで右上する。25メートル。

この時点ですでに12時。
予定のDガリー奥壁に行くには時間的に少し厳しい。このまま四尾根を最後まで登ることとする。

四尾根
11ピッチ目(四尾根2ピッチ目)(福田リード)
傾斜のゆるいフェースからピラミッドフェースの頭の右脇のビレイ点まで。25メートル。

12ピッチ目(四尾根3ピッチ目)(待井リード)
白いガバだらけのゆるいフェースをリッジまで。45メートル。

13ピッチ目(四尾根4ピッチ目)(福田リード)
リッジの上を五級の白いフェースを越え、馬の背状を登り懸垂点まで。45メートル。
福田さんが格好良かったので写真を何枚も撮ったがすべてピンボケだった。申し訳ない。

懸垂は旧マッチ箱のコルに約7メートルで下りたが、その下約5メートルにビレイ点が設置してあり、懸垂の着地点としてはそちらへ行ったほうが素直でよいかもしれない。

14ピッチ目(四尾根5ピッチ目)(待井リード)
カンテ状のゆるいフェースを半分崩壊した枯れ木のテラスまで。45メートル。

15ピッチ目(四尾根6ピッチ目)(福田リード)
枯れ木テラス上の崩壊跡のヘリを掴んで左トラバース。15メートル。

16ピッチ目(四尾根7ピッチ目)(待井リード)
崩壊後の新しいルートである、がたがたで傾斜の強いルンゼを約10メートル登ってはい松の終了点まで。20メートル。
15時到着。前田・A組もほぼ順調に終了。

合計16ピッチも登ったんだ。
腕も疲れたが、足もそれ以上に疲れた。
植物学の福田先生から高山植物の講義を聞きながら、頂上経由で御池小屋まで。
テントには日暮れ前の18時50分ころよれよれになって到着。
山登りする体力ももう少しつけないとなあ。
Aさんにはビールおごってもらった。ごちそうさまでした。

ピラミッドフェースは広い斜面を登るところが多いので、特に三ピッチ目以降は、あまり細かくルートどりを考える必要はなく、登りたいところを登ればいいような気がした。
5ピッチ目のハング下を左トラバースするところも直接ハングを登ってしまえば落石が少なくなるかも。

7月28日
大樺沢から広河原へ下山。

(注)
「思いはるかな」・・・北岳をテーマにした専修大学山岳部の部歌の冒頭の一節だそうです。
登攀中歌っていたら音痴さが福田さんにうけていた。
希望で歌詞を下につけました。正調はどなたかに教えてもらってください。

1.思いはるかな 北岳の
いこいの峰に つどいたる
我らが友よ 高らかに
いざや歌わん
お- リード・ハイマート

2.あの峰この谷 あのフエース
若き血潮の 高なりに
かたく握りし ジッへルの
ザイルにたくす
お- リード・ハイマート

3.吹雪に暮れる 日も過ぎて
仰ぐ青さよ 我が心
今ぞめざすは バットレス
鳴れよハーケン
お- リード・ハイマート

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