八ヶ岳 中山尾根・小同心クラック

2011/12/23-25
栃木、F、A  記 栃木


クリスマスの3連休にスキーに行くつもりだったF氏だが、同行予定者の都合がつかず、代わりに八ヶ岳でも行こうと誘われた。
10月に下見した中山尾根・小同心クラックか、主稜なら行けるかと思い、立案。直前になって一緒に下見したA氏も加わることになり、結局3人で中山尾根・小同心クラックに登ることになった。
22日に二つ玉低気圧が通過するという予報で天候が心配の種だったが、なんとかなるだろうと入山した。
1日目(12/23、晴れ)
前日も予報ほどの雪は降っておらず、晴天。あずさ1号とバスを乗り継いで美濃戸口へ。これなら前夜発にしておけば小同心に登れたかも、とのA氏の発言だったが、後のまつりで、13時赤岳鉱泉到着後は予定通りアイスキャンディーで遊ぶ。暖かかったせいで氷の状態が悪く、登るそばから氷が壊れてしまう。それでも、栃木とF氏は初体験で、満足して初日を終了。F氏の希望で小屋泊まりとしていたが、すすめられるままに個室を借りて快適に過ごす。夕食はホッケと豚しゃぶと豪華な内容で、さらにクリスマスということでケーキのサービスが付いた。ワインと焼酎で軽い宴会の後、就寝。
2日目(12/24、晴れのち曇)
3:30に起床し、5:00に小屋を出て中山尾根に向かう。予報によれば午前中は晴れということで、取り付きに向かう途中も星がよく見えた。中山乗越から登山道を外れ、取り付きに向かう。しばらくはトレースが明瞭だったが、傾斜がきつくなるあたりから次第に薄くなる。雪の量は少なめ。6:10には取り付き手前に到着。まだ暗いので、準備をしながら明るくなるのを待ち、7:00登攀開始した。この日は結局栃木が全てリードした。

1ピッチ目
下部岩壁は出だしが悪く、ランナーを取ったところでホールドを持つ手がすべり、いきなり数メートル落下してしまう。A氏がうまく確保してくれたおかげで特に問題はなく、気を取り直して再トライ。オーバー手袋を取り、やや右から取り付いたところ、何とか登ることができた。凹角を抜けたところの支点でビレイ。この間、後続に杉並労山のパーティーが現れる。

2ピッチ目
下部岩壁を左にトラバース、雪の付いた斜面を登って稜上に出る。ピッチをいっぱいに伸ばしたところの潅木でビレイ。

3・4ピッチ目
秋の偵察時にはコンテで登ったところ。今回は雪が付いているため、スタカットで進む。時々岩が混じるが、大きな問題はない。潅木でビレイし、上部岩壁手前までピッチを伸ばす。上部岩壁までは歩いて移動。ここで杉並パーティーに追いつかれる。

5ピッチ目
9:15上部岩壁登攀開始。ペツルを追うライン(左)とハーケンを追うライン(右)があるが、後者は後半が厳しい。しかし、うまく左のラインを追えず、右に進んでしまう。立ち往生していると、ビレイしていたA氏から一旦下がって左へ進むよう指示が飛び、オーバー手袋を脱いで何とか登る。しかし、中段から支点までの登攀で体を乗り出すようにして登るところがあり、ここでうまくホールドを見つけられずしばし逡巡。やはりオーバー手袋を脱いで突破した。ミックス帯に移る手前の支点でビレイしたが、かなり怖い思いをしたせいで焦り、ロープさばきに四苦八苦してしまった。

6ピッチ目
ミックス帯を通過し、最後の岩場の手前まで。潅木でビレイを取る。稜線が近づいており、風が強くなってくる。杉並パーティーに先を譲ろうとしたが、「寒いから」と先に行かせてくれる。

7ピッチ目
本来、終了点までのピッチだが、岩場を左に巻かず、ルンゼ上となっているところを忠実に登るとロープの流れが極端に悪くなることが分かっていたので、あえて小ハングの手前で一度ピッチを切ることにする。この頃には徐々に曇り空に。

8ピッチ目
最終ピッチ。下見の際、ハングの乗り越えには怖い思いをしていたので、怖気づいていたが、「後悔しない?」というA氏の促しに応じ、巻かずに直登することに。ビレイ点で一服している間にここでピッチを切らない杉並パーティーに追い抜かれる。ハングの乗り越えはやはりオーバー手袋を脱いで突破。ステミングで何とか体を保持するが、意外とよいホールドがなく苦労。小ハングの上に立つ頃には手がすっかりかじかんでしまった。その後はリッジを進み、支点でビレイ。杉並パーティーがちょうどロープをしまっているところだった。日の岳頂上へは進まず、バンドをトラバースして稜線へ。杉並パーティーも含め、全員で握手した(登攀終了12:30)。

その後、地蔵尾根を下降、14:10赤岳鉱泉へ帰還したが、精神的・肉体的にかなり疲れた。この日の夕食はステーキにポトフ。翌日が荒れ模様との予報で、予定通り小同心を決行するかどうか迷ったが、最終判断は起床時の気候を見て決めることにして就寝した。
3日目(12/25、曇りのち雪)
前日取り付きで待ったので、この日は4:00起床とした。夜の間に数センチ雪が積もり、風もあったが、行けるだろうとの判断で5:40出発。大同心稜を進み、7:40小同心取り付きに到着。7:50登攀開始した。夜間の降雪のため、前日に比べるといかにも冬らしい景色。曇ってはいるものの、朝のうちはガスの切れ目に阿弥陀岳なども望めた。この日は全てA氏がリード。

1ピッチ目
フェースを左上、チムニ-を抜け、テラスにある最初の支点まで。待つのは寒いが、やはりフォローは気が楽。後続パーティーがあり、3ピッチ目までは終始あおられる。

2ピッチ目
さらにチムニ-を上がり、レッジにある支点でピッチを切る。

3ピッチ目
ルートはここで左右に別れるが、下見の際は左に行ったので、今回は右を選択。凹角を抜け、小同心の頭の手前にある支点でピッチを切る。

4ピッチ目
小同心の頭を越え、稜線に出るところまで。A氏が肩がらみでビレイ。ここからはコンテで横岳直下まで進むが、さすがに風が強く、予報通りに雪も降り出す。

最終ピッチ
横岳直下よりは手前で支点を取り、横岳頂上まで(登攀終了11:00)。

無事頂上に立ったが、寒いので硫黄岳山荘で休憩することにし、稜線を移動するが、とにかく風が強い。コルのあたりでは風速20mはあろうかという強風で、思わず耐風姿勢を取りたくなるほどだった。休憩後、硫黄岳頂上直下をトラバースし、赤岳鉱泉まで下降した(13:10着)。美濃戸口への最終下山は16:30。

反省点
・冬季のアルパインクライミングは今回が初めてだった。怖い思いもし、不十分な点も多々あったが、中山尾根をリードで登り切れたのはよい経験になったと思う。今季はこれに満足せず、なるべく多くのルートを登っておきたい。

・ロープさばき、支点の取り方など、まだまだ練習が必要であることを痛感した。マルチピッチで練習を重ねたい。

・アイゼントレーニングは日和田、広沢寺で各1回ずつ行ったが、不十分と感じた。難所で毎回手袋を外していたのでは凍傷にもなりかねない。杉並労山の方は越沢で鍛えたせいで、中山尾根も楽に感じたそうなので、見習いたい。

・後日判明したこととして、全員が顔面に軽い凍傷を負い、特にA氏は水泡になったとのことで、やや天候判断が甘かったか、もしくは防寒・防風対策に万全を期するように努めたい。

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