明星山 フリースピリッツ

2011/11/5
福田、M  福田 記


明星山といえば、ルートが長いので残業(へ電行動)やビバーグを覚悟せよとのこと。ツェルトはもちろん、水や食料、防寒着にガス缶、カイロなど備え万全で挑んだ。
記録によると、落石で指がちぎれてヘリ呼んだとか、中央バンドを落石せずに通過するのは不可能だとか。「落っ!」と聞こえたら、頭を岩の寄せた方がいいのか、それとも平面図的に最小の面積になるように起立の姿勢がいいのか思い悩んでいた。が、杞憂に終わり、結果的に無事であった。というのも、先行パーティーがいなかったため。この日、左岩稜に2~3P、フリースピリッツ2P、クイーンズウェイ1P。ベストシーズンの土曜日なのに。久保田さんによると、小川山は駐車場満杯だったらしいけれど。
Mの情報によると、フランスのパトリック・エトランジェというクライマーが、フリーソロで登り、あまりの岩の脆さに「日本人はオレを殺すのかっ」と、中央バンドで怒り狂って石をブン投げたとか。落石には厳重注意で臨むべし。

平成23年11月5日、5時起床。6時出発。渡渉点は左岩稜よりも少し下流。玉田さんに聞いたチロリアンブリッジがあったが、豚の丸焼きみたいにぶら下がって渡るんでしょうか?靴脱いで渡渉した方が確実と見た。
6時11分取付。6時25分スタート。

1P Ⅲ Mリード。草付きを、ブッシュでランナー取って登る。

2P Ⅳ- 福田リード。小垂壁でカムを決めようとしたがサイズがマッチせずにもたもた。垂壁に乗りあがるのにホールドがない。さっき決めたカムもどんな効き具合か分からないのに、ここで落ちるわけにはいかない。手の届く範囲には浮石しかないし、ええい、マントリングじゃ。ずり上がりツゲの木を掴んで生きた心地がした。この部分がワタクシ的にはフリースピリッツ中一番厳しかった。

3P Ⅴ+ Mリード。スラブというか、逆層の大岩の積み重ねという感じ。某記録によるとキャメ3番使用とあったが、久保田さんは使わなかったというので持ってこなかった。ハングを右から抜け、最後Mはランナウトしており余裕だと言うが、フォローの私はザックを背負っていることもあり振られて厳しい。傾斜がきつく、Mの得意なピッチ。

4P Ⅳ+ 福田リード。梅干し岩手前のピッチなので、迷うことなく到着。少し下るところでは、A0しながら通過。スタンスに土が乗っており滑るので神経を使う。ビレイ点は、ペツルがありハンギングビレイながら安定している。

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5P Ⅴ- Mリード。梅干し岩下のトラバース。他の記録では、岩が染み出しでぬれている写真が多いが、今日はカラカラ。「朝露で滑る」という記録もあるが、今日はそんなでもなく、コンディション良好。廣川さんのトポのとおり凹角の下で一旦切る。玉田組は5、6Pと繋げて登っている。

6P Ⅴ+ Mリード。急な凹角を直上して右にトラバース。トラバースの時、膨らんでいる白い岩を超す時に足元が見えないが、出してみるとスタンスがある。高度感やスリルを楽しむ余裕あり。

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7P Ⅴ+(5.8)福田リード。細かくて悪いという記録があるピッチ。しかしガバで、落ち着いて登れば大丈夫。ビレイ点がハーケン2枚でここでいいのか心配だが、ロープの出方で、30mのピッチということと、次のピッチがハングの切れ目の凹角を越えるということで良しとした。今回、海外通販で購入したロープマーカーで、半分と5mと10mに印をつけたので、どれだけ出たかが分かってナイスです。

8P Ⅳ+ 岩がぐずぐずでぼろぼろ。後半はⅢ級という感じで、岩がもろいのを注意しながら登れば怖いことはない。下の写真は8P前半「ハングの切れ目の凹角を登る」ところ。

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9P Ⅴ Mリード こちらもぼろぼろでとても悪いという記録があるので、Mに続けてリードしてもらう。が、支点はブッシュで取れるし、キャメ2番使えるしリングボルトもあったし8Pの方が悪い。右のクイーンズウェイを男女のパーティーが登っている(下の写真)。スズメバチが飛んできたので、フリーズしてやりすごす。

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10P Ⅱ 福田リード。クイーンズウェイと交差するので、しばし休憩して先に行ってもらう。小石が敷き詰められた緩傾斜帯の中央バンドを横切り、5m位上がったところでビレイする。ランぺが複数走っており、どれか迷うところだが、下の方。上はクイーンズウェイ。確かリングボルトあり。

11P Ⅲ Mリード。ランぺを右上する50mのピッチだが、中央バンドから少し上がってスタートしているので、ロープは40mであった。玉田さんのアドバイス通り途中から直上気味に登る。ビレイ点はペツルではなく、古びた感じだったが、フリースピリッツは古いルートだからペツルは新しいルートのものだというMの判断。結果的にそれで正解だった。

12P Ⅴ- 福田リード。迷った記録多数の魔のピッチ。しかし、迷った人はおそらく11Pで伸ばしすぎて隣のルートJADEに入ったと思われる。私は左上に登り、安定した感じで黒い垂壁目指して登り、明らかにパノラマトラバース手前でピッチを切った。私が切ったところの右下5mにはペツルがあり、そこを使った記録があるけれど、そっちはJADE、11aだ。写真はビレイ点の足元、高度感満点。

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13P Ⅳ Mリード パノラマトラバース。最初バンド上を行くが、一段降りてバンドをホールドに進む。途中ランナーは、ツゲの木で取る。ガイドブックに載っている有名な場所だけれど、ホールドも十分で、てくてく歩いていく感じ。高度感はあるものの、怖いことはなかった。

14P Ⅴ+(5.8) Mリード 先週、久保田さんがリードするところを下の道路から見ており、難しそうだ。体感10aあると玉田さんが言ってたので、Mに連続でリードしてもらう。私はザックのせい(言い訳)でA0しまくり。Mに「フリースピリッツでA0して、恥ずかしくないのかっ」ってののしられたけれど、いいの。スピリッツだけなの、フリーは。うふふ。

15P Ⅲ 福田リード。松の木のあるテラスまで伸ばして終了。

13時20分。スタートからちょうど7時間。ロープをしまって、ピンクのテープを辿って下山。駐車場14時30分。
【まとめ】
・今回は、ネットの記録を読んで十分予習をした上に、先週登った玉田久保田組に色々教えてもらったおかげで、すんなりと登ることができた。
・チャレンジアルパインのトポ通りに登れたと思う。思ったよりもろいところもなく、石が落ちてきたり落としたりすることもなかった。しかし、炊飯器大のおそらく自然落石が河原に落ちるのを目撃。直撃したら、死ぬかもしれない。取付きでも十分注意する必要があると思った。
・他の人の記録は、正しいルートを登っているとは限らないので、たくさん読んで参考にしたらよいと思う。

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