谷川岳 凹状岩壁

2010/6/6
土屋、長谷川、久保田  久保田 記


凹状岩壁は落石が多いと聞いていたので、出発は早くと決めていた。
しかし、皆考えることは同じなのか3時だというのに周りがゴソゴソし出す。
24時に出合を出発したときには、すでに2パーティーほどが先行していた。
今年は出合の末端まで雪渓が繋がっており、去年よりも雪が多い。

1時間ほどで衝立の基部に到着。しばらく休んだあと、ダイレクトカンテの桜井さん・武さんペアと別れ、凹状岩壁の取付きへ。
幸いにも先行Pなし。準備をして6:00登攀開始。

1P目 Ⅲ 久保田
出だしの嫌らしいトラバース。その後、フェースというかスラブ。
ピンはほとんどない。そして岩が脆い。
久しぶりの本チャンということで、ゲレンデのマルチとは違った緊張感に包まれる。

2P目 Ⅲ- 久保田
フェース。ここもほとんどピンがなし。
左手に新しそうなビレイ点があったが、中央カンテじゃないからと強がって右側のビレイ点に行ってみたわいいものの、なるほど、いい感じにビレイ点のリングボルトが腐っていた。
中央カンテ側の新しいビレイ点へ行った方がいい。

201006_oujyou01

3P目 Ⅲ+? 久保田
出だしから岩がかなり浮いている。しかもムーブも渋い。
これのどこがⅢ級なんだ・・・。泣きが入る。

ここで下の方から聞き覚えのある声が。ダイレクトカンテに向っていたはずの桜井さん・武さんペアではないか。
後から聞いてみると、3P目のピンがなくなっていて敗退したパーティーがいたというのを聞いたようで、急遽ルート変更。

4P目 Ⅳ+ 久保田
ハイライトの凹状。1ピン目からして遠い。
はるか彼方に腐った頼りなさげなリングボルトが一つ。その後も結構なランナウト。
垂直近いが、ホールド、スタンスはわりと豊富なので、浮いてる岩にさえ注意すれば結構楽しく登れる。

ここのピッチまでは落石の巣窟。ビレイしている途中、ブンッと音がして、頭の大きさくらいの岩が通り過ぎて行った。上には誰もいないので自然落石だと思われるが、さすがに青くなった。

5P目 Ⅳ 土屋
ここでトップ交代。少し緊張がほぐれる。
迷いやすいといわれているピッチ。トポには「右のカンテを越えて、右上のハングを切れ目から越える」と書いてある。
カンテは、恐らくビレイ点のすぐ右に見えるちっさいカンテのことだろう。ハングはとてもハングと呼べる代物ではない。
とにかく右奥の一番窪んでいるところに向って行けばいい。

201006_oujyou02

6P目 Ⅳ 土屋
数年前に崩壊した部分だと思われる白い綺麗な岩肌が印象的。
すぐ右に正規ルートがあり崩壊してはいない。
50mいっぱいまで伸ばして立ち木でビレイ。ビレイ点から最終ピッチのクラックが見える。

7P目 Ⅳ 土屋
最終ピッチのちょっと広いクラック。岩がしっかりして安心する。
豪快にフリーで抜ける。快適で楽しいピッチだ。11:00 終了点着。

201006_oujyou03

衝立の頭の方へ向うと、岩の右側と左側にそれぞれ懸垂支点がある。
右は恐らく中央稜への下降用。左の支点を使って数m懸垂して中央稜終了点へ。
そのまま中央稜終了点を通過し北稜の懸垂支点へ。
11:30懸垂開始。途中でアタックザックが衝立の絶壁をダイブするというハプニングもあったが、13:40頃、無事にコップスラブに降り立つ。略奪点を通過して雪渓トラバース。
今シーズンお初なのか雪渓に踏み跡はなかった。
6本爪アイゼンを持ってきていた長谷川さんがトップで雪渓にキックステップを刻む。
ロープを出したりしたこともあって、3人渡りきるのに1時間かかってしまった。
私はアイゼンなしのロックハンマーで渡った。

201006_oujyou04

その後は雪のある衝立前沢をひたすら下る。急斜面なので草を掴みながらひたすら下りる。
最後に一回懸垂して(50m1本で足りる)、本谷の雪渓に飛び移る。出合についたのは16:00。久々に疲れた。

今回下降のルートに北稜の下降を選んだのは、北稜の下降できるかどうかを確かめるつもりでもあった。
しかし、ダイレクトカンテや雲稜なら仕方ないとしても凹状岩壁ならば、あえて北稜を下るよりも中央稜を下降した方が無難だろう。

■ 行程
4:10 出合の駐車場発
6:00 凹状岩壁 登攀開始
11:00 凹状岩壁 終了点到着
11:30 北稜の下降開始
16:00 出合の駐車場着

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