大井川・赤石沢

2010/9/18-20
鈴木博 坂口、羽場、桜井 桜井 記


akaisimap盆休みに赤石沢へ行ったが直前の台風通過と入渓後の雨による増水で敗退となった。私としてはまあ5年以内にもう一度行く事があるかもしれないなと思っていたのだが集会の席上で鈴木博さんから9月の3連休にリベンジしようという計画が上がった。
今年の夏は異常に暑く天気が悪かったのは盆の時だけであれから雨も降ってないし沢の水も減っているだろう。まだまだ暑いし今年はまだ9月の後半でも十分にチャンスはあるだろうということで坂口とも話した。
24日に休暇を取り4連休にして2泊3日予備日1日とするのが理想だったが皆のスケジュールが合わず18日~20日の3連休で予備日無しで日程が決まった。
結果的にこの日程がお天気の関係からベストでラストチャンスだったかも知れない。前回メンバーの1人である晴チャンはどうしても参加出来ないのが可哀想であったが代わりに4年前に単独で遡行しているガイド役になるだろう羽場さんがメンバーに加わった。

9/17(金)
前回の教訓を生かして1時間早く午後9時に小田急線鶴川駅に集合とした。東名高速を清水で降りバイパスで静岡へ、ガソリンも東京から満タンにし、コンビニの場所も確認済みである。
口坂本温泉方面の通行止めはまだ開通していないようだが学習していないナビは今回もそちらを示すが今度は間違えないよ。畑薙第一ダム駐車場には2時に到着。駐車場はこの時期も一杯である。テントで一杯やって寝る。

9/18(土)
8時の東海フォレストバスに乗る予定であったが7時に臨時バスが3台も出てしまい7時半から待っていたが一向にバスがやって来ない。結局1時間半待つ事になり出発したのは9時を回っていた。椹島から3台のバスで回しておりお客が多いと路線バスと違って時間通りに追いつかないらしい。
牛首峠でバスを降りたのは我々と4人連れの1パティであった。道路から梯子を伝い沢に降り立つが前回と比べると水量は半分位か?これなら問題なく進めるだろう。入渓は結局前回と同じ10時過ぎになってしまった。
前回何度か高巻きした箇所も水線通しに行けるし水圧の抵抗も少ないので早く歩く事が出来る。イワナ淵も問題なく通過、ニエ淵も今回は泳いで突破することにする。最初に鈴木博が泳ぎ滝まで行きダイレクトに這い上がろうとするも足場が無く敗退して戻ってくる。
次に羽場がもう少し手前から左岸に上がりトラバースで滝を登りクリアする。
後続はザックを先に送りロープに引かれていくが30mロープ1本なので引いた後戻すのに足りないことになり長いシュリンゲを2本繋いで対応した。何だかんだでここを通過するのに40分ほど掛かってしまった。
前回のビバーク地も2時間半ぐらいで通過し曲り滝、大岩も難なくクリア。ロープを使い泳いだ神の淵もへつりで突破した。
やがて取水堰堤に到着。ここのスロープも水が流れていた記憶があるが今は乾いている。スロープを這い上がり右手の垂直の壁に付けられた梯子を登る。前回登ったこの下にある梯子はいくらか傾斜が緩かったがこちらは垂直で腕が疲れる。
エスケープした斜面を右に見送り残置ロープを伝って取水口上の沢床に降りる。ここは水の流れが堰き止められているので川底まで透き通って見えてとても美しい。大岩がごろごろするようになりラジオラリア(赤岩)も巨大なのが目立つようになって来る。取水堰を越えたからか少し水量が多くなってきたように感じる。やはり前回はあそこでエスケープして正解だったのだろう。
赤石沢で最大の滝と言われる「門の滝」は写真で見るよりもでかく感じる。左のバンドを辿り途中踏み跡に導かれて2ピッチ登りそこから右にルンゼを渡ってトラバースするがこのトラバース道はあまり明瞭でない。ここは安全を期してロープを出した。
更に進むと赤石沢で一番難しいとされる15m洞窟の滝になる。ここはシュリンゲが垂れているが我々は持参したアブミを使う事にする。夕方になってきた事もあり岩の中に入ると暗いのでへッ電を出した。
洞窟はザックを外して潜り1ピッチ終了点へ今度は外側からザックを引き上げる。2ピッチ目は短いがワンポイントが難しい。
これを越すと大ガランと呼ばれるガレ場でビバークサイトも近い。先行パーティのものと思われる焚き火の煙が上がっているのが見える。
夕暮れ直前に右岸のビバークサイトに到着する。先行パーティを越して更に先のサイトに陣取った。早速暗くなる前に各自準備を始める。グッチは釣りへ、私はターフ張り、博チャンは薪集め、羽場さんは炊事に取り掛かる。
グッチが釣糸を垂らして5分もしない内に早速1匹掛かったという。うそだろうと見に行くがすぐに2匹目が掛かった、それもかなりでかい。
結局釣り初めて40分程で尺いわな3匹、20~25cm級が3匹、合計6匹釣り上げた。もっと時間があれば一体何匹連れたのだろうか?
大物2匹を刺身に後の4匹は一人1匹づつ塩焼きにした。うち1匹はメスが卵を抱えていたのでこれも醤油を垂らして食べたがうまかった。夕食は重い材料を持ち上げての寄せなべでこれも最高。もちろんビール、焼酎は充分であった。
このビバークサイトは河原状で大きな石ころも無く快適、おまけに目の前には入れ食い状態の釣堀もあるわで最高のビバークであった。
ただマニアとすればこれはビバークと呼んではいけないだろう。

8/19(日)
5時半起床7時出発とする。昨日に引き続き大きな岩がゴロゴロする場所を登って行く。赤岩ノ淵と呼ばれるところはラジオラリアが美しい。
一箇所大きな釜の上を横切る所があり水流が強く見え入るのにためらう所が有った。トップが空身でジャンプし対岸に渡ってロープを引くかと迷っている所へ後続パーティが現れ少し様子を見ていたがすいすいと渡っていってしまった。我々もそれに続くがさっきの迷いは何だったのだろうと思わされた。
赤岩の淵を過ぎると大ゴルジュである。ここで沢は右に大きく曲るが左から入ってくるシシボネ沢の更に右のガレたルンゼが巻きの登路になる。先程抜かされた先行パーティが登っているのが見えるが落石が心配なので彼等が抜けるまで見守る事にする。
このガレを少し登り右のブッシュに入っていく。潅木を頼りに泥壁を登るがいやらしい所がありロープを出す。2ピッチ右上ぎみに登りビレイを切って小ギャップを降り水平に右へトラバースして行く。踏み跡は明瞭なので迷う事無く再び沢床に降り立った。
小雪渓、大雪渓沢と過ぎて行くとエメラルドグリーンの美しい釜を持った滝に出合い左壁をシュリゲにつかまりながらトラバースし登って行く。
裏赤石沢を過ぎ百間洞沢の出合いに着く。ここで先行パーティは釣りをして今夜の夕食にするそうである。
百間洞沢に入ると倒木が多くなり美しさも少々無くなって後は早く山の家に着いてビールを飲む事だけが頭の中を支配するようになってくる。ここまで来たらもう水に濡れたくもないのだがなかなか許してくれない。1ケ所腰まで入る滝が出てくる。
百間洞沢で一番大きな15m滝は右のガレから高巻くが滝の落ち口に向かって左にトラバースする所があり濡れていて悪そうだったのでロープを使った。
やがて水も枯れてきて源頭も近くなってくるがこんな所に小屋があるのかなというような所を登っていく。最後は右に草を分けていくとロープが張られた登山道に出て山の家に到着した。
この小屋は真ん前に沢が流れていていい感じである。荷物を降ろして受付を済ませ小屋の前のテーブルでビールで乾杯。
この小屋は3階建てで我々の部屋は更にその上の屋根裏みたいな所であった。夕食までの時間にこの小部屋で焼酎で一杯やり窓の外には夕暮れ前の聖岳が浮かんでいる。こんな景色はなかなか見られないだろうなと思う至福の一時である。
順番に呼ばれ夕食となる。この小屋も今シーズンは明日の夜と明後日の朝までだそうだ。夕食のおかずは揚げたてのトンカツでご飯と共になかなか美味しかった。

8/20(月)
最終日は5時半出発とする。沢登りは終わってしまったが下山する為には長い長い道のりを縦走しなければならない。コルに上がると森林限界となり稜線を辿るのは気持ちがいい。今日は曇り気味で気温も高くなく風が吹くと寒い位だ。
百間平、馬の背を過ぎ石が敷かれた道を右上し最後はジグザグに登っていくと赤石岳避難小屋と頂上が見えた。小屋には立ち寄らず山頂を目指す。山頂からは何故か法螺を吹く音が聞こえてくる。
山頂に着くと変なおじさんが本当に法螺貝を吹いていたが「聖岳はどっちの方角ですか」と聞いてきたこの人はなんなのだろうか。風もあり寒く長居する気にもならなかったので富士山をバックに記念写真を撮ってそそくさと下山する。
小赤石岳の手前のコルから右に方角を変え下に見えている赤石小屋を目指す。富士見平は絶好の展望台で聖岳、赤石岳、荒川岳、富士山と素晴らしい。
赤石小屋を過ぎ前回飛び出した場所まではコースタイムよりは随分短く感じた。ここまで来ればもう目の前に椹島のビールがちらついてくる。
椹島には午後1時に到着する。最終バスの午後2時に出てしまうので心配であったが十分間に合った。満員のバスに揺られ畑薙第一ダムの駐車場へ向かい車に乗り換え途中白樺荘の体より湯で汗を流して帰京した。

やはりお盆の時は遡行できる水量ではなかったのか、あの時突っ込まなくてよかったのだろう。忘れ物を取りに行くつもりで新しい忘れ物を残してきたが今回、迷ったが早い内にもう一度行けて忘れ物を取ってこれて良かったと思う。

それにしてもあのイワナの大きさと量は忘れられないものになった。同じ条件ならまたいつか行きたいものである。

*前回行った8/15日の時と今回行った9/18の時の写真を比べてみました。 

hikakuiwanafuti

hikakuooiwa

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TIME

2010/9/18(土)
入渓点10:10 – 取水堰堤13:45 – 門の滝14:45 – 洞窟の滝16:15 – ビバークサイト17:00

2010/9/19(日)
B.S7:00 – 大ゴルジュ8:10 – 小雪渓沢9:50 – 大雪渓沢10:30 – 百間洞沢12:40 – 百間洞山の家16:00

2010/9/20(月)
山の家5:30 – 赤石岳8:00 – 富士見平9:40 – 赤石小屋10:20 – 椹島13:00

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