2009/6/6-7
鈴木、渡辺/山本武、塚内/玉田、長谷川/久保田、羽場/坂口、渡辺/横澤、土屋
渡辺 記
天気予報は曇り時々雨で降水確率80%、みなかみ町のピンポイント予報は午後3時に雨の予報。なので、いつ延期の連絡があるかと待っていたが、集合し、出合に着き、飲んで寝て起きて、午前4時40分出発することとなった。降水確率50%以上なら中止って聞いてたのに、小雨でも登るのかなあ…。
山岳会の谷川集中山行である。集中とは6月に集中して谷川に入る事なのか、メンバーが集中する事なのか、両方なのか。6月6日土曜日は中央稜に羽場、玉田、長谷川、久保田、南稜に鈴木、山本武、塚内、渡辺の合計8名が入った。
6時20分、南稜テラスに着くとは先行が2組、いずれも3人組で我々の前のパーティーは日本語の達者な外人さんが入っており、ガイド山行のようだ。武さんと塚内さんが先に登り、私は博道さんとでセカンドでのスタート。1時間も待ったので体が冷えてしまいフリースを着た。南稜は岩が硬く安定していると書いてあるが、濡れていると滑る。1P目のチムニーは出だしがかぶっており、チョックストーンに博道さんが掛けたスリングを外すと、ホールドはあるものの、スタンスがない。ステミングで登るのだろうけれどつるつるして足がかからない。腕力があればチョックストーンを頼りに鉄棒みたいに登っちゃうのだろうけれど。右のフェイスの方がちょっと良さそうなので試みたが叶わなかったけれど、ピンピンにテンション掛けてもらっていたので、20センチくらい体が上がった状態でチムニーに戻る事ができ、おかげでなんとかよじ登る事ができた。聞けばチョックストーンのスリングはアブミにして登れという事だったわけで、本チャンは何でもありという事だそうです。分かりました。
2Pは、命によりリードする事になり、乾いていればさぞ快適なフェイスクライミングであろうに、少しでも外傾しているスタンスはツルツル滑って確信が持てない。でも、乗らないと進めないから一か八か、祈る思いで立ちこんで次のホールドを取る。ヌンチャクを掛けクリップ。2週間前、新人の私の為に武さん羽場さん長谷川さんが、三つ峠で強化合宿をしてくれた。その3人の気持ちに応える為に、時間がかかっても事故なく確実に登らなければならない。ビレイ点に着いてセカンドのビレイも教えてもらった手順通りなんとか出来た。
草付きを歩いて登り、4P目終わったところで、霧雨が本降りになった。武さんの前のパーティーが時間がかかって渋滞しているということもあり、4Pで下降する事になった。
烏帽子スラブのトラバースは懸垂で降りた。テールリッジには玉田さんが青いロープをフィックス(奉納)し、古いロープは回収されていた。さっそくそのロープを使い、岳連の講習で習ったカラビナ半マスト懸垂で安全に下降する事が出来たが、翌日坂口さんにフィックスで懸垂はダメだと言われた。以後気をつけます。
私が雨具を着ると雨が止み、雨具を脱ぐと降り出すというジンクスがかつてあったが、出合についてみると雨は止み日が射してきた。4P敗退の落ち武者を出合で待っていたのは、カメラやら双眼鏡をのぞいている20人ほどの観光客である。目を合わせないようにそそくさと通過し、荷解きをした。まだ午後1時20分だ。2時には中央稜チームの4人が下山し、買い出しの後、4時から反省会である。羽場さんが4ピッチで降りたのは敗退だと言えば、武さんが英断であると譲らない。中央稜を終了点まで登っていないんじゃそっちこそ敗退だ、うちらと同じだ。などと、熱い反省会はいつまでも続くかに思われたが、横たわったまま起き上がらない骸がひとつ二つと増え、9時にて終了とあいなった。
6月7日日曜日は4時起床。しかし雨である。しかも坂口さん土屋さんが来ていない。よって、本日のクライミングは中止とし帰京する事に決定したところで、坂口さん土屋さん横沢さんが揃い、登るというので私が入れてもらう事となった。土屋横澤組は変形チムニーに、坂口さんと私は中央稜である。6時に出合を出発し雪渓を登っていると、降りてくる2人組が。テールリッジが濡れているので今日は止めておくという。私は大丈夫なのか?
坂口さんと登るのは全く初めてだ。都岳連の遭難対策委員であるからこれ以上心強いパートナーはいない、が、緊張する。緊張のあまり、雪渓からテールリッジに取り付く岩場で滑り膝を強打した。フィックスロープにしがみついた。「フィックスに頼っちゃダメだよ。」「わかりました。怖いのでクライミングシューズに履き替えても良いですか」と、すっかり弱気になってしまった。坂口さんは、私の様子を見て「岩は叩いて、音で浮いているかどうか判断して。」「フィックスロープには体重を預けないで」など、その都度適切なアドバイスをくれた。
7時15分中央稜取付着で、1パーティ待ち。今日はオールセカンドで登る事となり7時40分スタート。階段状を登り1P終了、後続パーティがすぐ登ってきた。岩が昨日より乾いており登りやすいが岩がぐらつく。習った通り岩をバンバン叩いて掴んでよいものか確かめる。2P目はⅡと書いてある本もあるが、浮き石が多くてロープなしではとても登れない。3P目のビレイ点は狭く2人立つのがやっとである。3P目はカンテを右に回り込み凹角からフェース、グレードⅢなので油断したがとんでもない。足下の石はぐらついているし、ホールドがないのにトラバースしなきゃならないし、支点は回収しなきゃならないし、声を押し殺し恐怖と戦い、そろりそろりと前進した。トラバースの途中、恐怖のあまり頭上にルートを探したが、良くない感じなので、更に右に回り込むと安定した。武さんが、去年このルートで間違えて悪いところに行ってしまったのはここに違いないと思った。「渡辺さーん登ってるー?」と坂口さんののんきな声が聞こえ、あとは順調なクライミングである。4P目は先行が詰まっているので途中で切り、5P目、玉田さんが5P目の抜け口が悪いと言っていたチムニーだ。坂口さんのヌンチャクはチムニーの中にかかっているので直上を試みたが、ならず、左のフェースに逃げてビレイ点に着いた。ここで終了とした。
後続の農大山岳部OBパーティーに先に行ってもらい、11時、私達は同ルート下降する事にした。懸垂支点はいずれも残置スリングの束なので、ロープの回収は俺がやるからと坂口さんが全て引いてくれた。頼もすぃー。そして、私は死亡事故未遂事件を起こしたのだ。落石である。懸垂中、つらら状の岩に足を突いてしまい、バラバラと落石してしまったのだ。すぐさま「ラクッ!ラクッッッ!!」と叫んだが、そのうち1つが坂口さんのヘルメットに命中した。ごめんなさい。狙ったんじゃありません。信じて下さい。
12時に中央稜取付に着陸したところ、まだ変チ登攀中のはずの横澤さんが降りてきた。岩が濡れて状態が悪いので途中で降りてきたという。4人で、ロープを出しながらテールリッジを降り13時30分出合着。14時20分に帰路につき、17時20分八王子駅で坂口号を降り帰宅、お疲れさまのはずだった。
その日、16時より武蔵浦和のさくら水産において反省会が行われ、私の携帯に「早く来い」「家に寄らずにすぐに来い」「報告しろ」と再三メールが入り、参加する事と相成った。誘われるうちが華よね。うふっ。
反省会は、武さん羽場さん玉田さんと遅れて参加の私。ジムトレの帰りも、一ノ倉出合も、東京に戻っても、最後はこうなるのよね。飲酒の習慣がなかった私が、だんだん変化している。健康診断の結果が心配だ。
反省点
1 落石をしてはならない。懸垂下降の時、足を突くのは大きな岩とする。
2 本チャンは、何でもありなので遠慮なくA0すること。ただし効いているか確かめてから。
3 トンカチとハーケンを持つこと。
4 英断(営団)地下鉄とからかわれようが、難しいと思ったら引き返すこと。
5 もっとジムで頑張り、登れるようになること。
まとめ
平成21年6月6日(土)曇り時々雨 8名
中央稜 羽場、玉田、長谷川、久保田
南稜 鈴木、山本武、塚内、渡辺
平成21年6月7日(日)曇り 4名
変形チムニー 横澤、土屋
中央稜 坂口、渡辺
合計 11名