一人の五竜GⅡ

2006/5/4-5
羽場  羽場 記


2006年5月4日(木)

五竜遠見テレキャビン山頂駅(8:30)-中遠見(9:50)-西遠見テン場(11:15)

仕事の段取りで思わず山に行けることになった。仲間は、皆お出かけなので、一人で行ける雪稜にと、五竜GⅡに行くことにした。後立へは中央道と思っていたが、ナビが信越道経由を案内していたので、今回はナビの言うことを聞き長野経由で行く。確かに、近い。2時間30分で五竜スキー場に到着。ただ、田舎道でコンビニも少なく、買いたいものを調達できず、後で困ることになった。(酒)

8:30 テレキャビン山頂駅発。桜井さん等との五竜以来の道、なつかしい。早速、割菱、白馬三山、爺の絶景が目に入る。今日は暑くなりそうだ。
今日はテン場までだからゆっくりとと思っても、つい、鹿島槍北壁を早く見たいのと前に人がいると気になって、いつもの通りのマイペース。
中遠見着。今年の北壁はこの時期でもなんとか登れそうな雪は着いていた。ここからみた主稜は岩が出ているように見えてかなり厳しそうである。
ここまで、張り切りすぎたのと久々の山で、徐々にペースが落ちる。それを、来年こそと考えている北壁のラインを見ながら、なんとかテン場に着。
ここから見た北壁は、はっきりルートが見えた。
だが、明日目指すGⅡは見えないとこが一部あり、最終的なルートは決めたが、とにかく明日取り付いてリッジを登れるのならその場の判断とすることとした。

西遠見に到着してびっくり。これで3度目だが、今までは自分等のテントをいれて2-3張であったが、今は10張以上でそれも、大人数のパーティーが多い。昼前にもう2-3のパーティーは盛り上がっているではないか。

自分といえば、ザックの中身にビールを飲まれてしまったのと予想外に早く着いたことから、酒不足。しょうがないので、酒をちびり飲み、『風魔』を読み、そしてまどろみの繰り返しで、時間を費やす。
夜中、風が強く、源次郎パーティーのことが頭よぎるも、技術も経験も豊富なリーダー陣がいるのだからと、あまり気にもせず就眠。途中で拾った小枝をペグにしたのが利いてテントの心配はなし(『水浸しになってもここからは、確実に下山できる!』)。
2006年5月5日(金)
テン場(5:00)-GⅡ取付(5:15)-大岩壁下(5:45)-Aリッジ頭(6:25)-下部ガレ場終了(7:00)-GⅡ頭(7:45)-テン場(8:25-8:55)-テンテキャビン山頂駅(10:20)

今日は、雪が固まっている間に核心部は通過しようと、考えていたが出発はやや遅れた。
白岳沢へ下る雪面もやわらかいところがあり、歩きにくい。
取付につき、準備。ダブルアックスでガンがんがん行くぞ!八ツ峰1峰の登りを考えたら「何のことはない」と言い聞かせやや緩やかな雪壁を登りだす。大岩下までは雪も腐り気味で歩きにくい。とにかくだましだまし登る。こんな雪だったら、日が照ってきたことを考えるととにかく早く抜けなくては。

大岩横のルンゼに雪があり登れそうだが、ルートではないのであきらめる。A-Cリッジの状況を見て決めるとの昨日からの決め事に沿って雪壁を登る。A-Bリッジ間のルンゼは雪の状況も悪くなく登れそうなので、これに取り付く。雪壁も途中右左に分かれていたが、雪壁の短い方をとる。30分くらいで雪壁は完了。登りきった雪壁の上は、小さなナイフエッジ、その先は藪、ガックリ。でも、気持ちを切り替え「俺は、沢で藪漕ぎとモンキークライムは得意なんだ!」と言い聞かせ、数メートルの情けないナイフエッジを通過、それからは藪と木を相手の全身運動。次は、傾斜の緩い雪壁…助かった!次が、細かい石のザレ場と這松の混じった斜面。這松に最初気を使ってザレを歩くとズルズル体が流れてしまう。傷つけて悪いが、這松の上を歩く。ここの這松は吹曝っしの所だろう、大きくならないから踏みやすい。やっとこのガレも通過。一休み。あとは、雪稜をこなせばと思い出発。

ガックリ、雪はしばらくすると消え、またガレ場。「もうやめて」といってもあるものは、超えなくてはならない。硬い岩場を探して登りやっと最後の雪壁に到着。下のガレ場で消えていたトレースがまた出てきた。でも、そのトレースと僕の歩き方とか歩幅位置取りが違い、トレースは参考にしたが、わが道を行く。
やった!と言うより、やっとGⅡの頭。

縦走路はすぐ下にあり、意地で谷に向かい前向きで降り始めたが、膝にも来ていたことから、途中ダカーポジションでクライムダウンしてみたら、これのほうがずっと早かった。

五竜の小屋から白岳は横切ってしまった。一つは、9時前でまだ白岳沢は日陰で締まっていたこと、道が出来ていたこと、早く帰りたかったこと、もう登りたくないことが思考の判断要因だった。
でも、これが、暖かくなってからでは、とっても帰路にとれないと感じた。

テン場着。天気もあまりいいとも言えず、早々にテントをたたみ出発。たいした休みなしで、動き回ったせいか、足取りは重いが、つい前方に人が見えると抜かしたくなり、下りだと走り出してしまう。
時間も早いので、テレキャビンはやめようかとも思ったが、かっこ悪いので、搭乗し下山。
長野で高速に乗るまでの途上で温泉に入り、ゆっくり帰還。
久々の一人山行も楽しかったが、登れる範囲も限られ、これも考えものだ。
来年は、八ツ峰Ⅲ稜からの八ツ峰縦走に挑戦かな。

戻る

 

Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Google Bookmarks