八ヶ岳広河原沢左俣

2002/12/7~8
メンバー:坂口・常世田・山本裕・羽場・矢野・中西  中西 記


12月7日曇り
午前8時、うす曇りの八王子駅南口に全員が集合し、2台の車で出発。舟山十字路の少し先に車を止めると身支度を整えて歩き始め、午後1時くらい(だったかなぁ)に広河原沢の分岐付近に幕営しました。

1日目はゲレンデで練習ということで、広河原沢右俣のクリスマスルンゼでもなく、武藤返しでもない、でも結構りっぱな氷瀑に行きました。最初に坂口さんがリードで登ってトップロープをかけてくれました。雪の上にカマキリのように並んだアイスバイルの列から、お好みの2本を選んで順番にガリガリと登る練習。ゲレンデでの練習は、翌日の左俣の記憶に圧倒されてあんまり覚えてないです。記憶容量が少なくてすんません。
午後4時半頃、そろそろテントに戻りましょうということで歩き始めたのですが、私の真新しいアイゼンがすぐに外れてしまい、裕さんに締めなおしていただいたりして、みんなから少し遅れてしまいましたが、途中で合流できてテン場まで戻りました。
テントに戻るとさっそく食事、というより宴会のはじまり。前夜は忘年会で寝不足の坂口さんはすみっこで爆睡してましたが、嵓のいろんな話を聞くことができ、楽しいひとときでした。あっという間に、ビール、日本酒、焼酎、ワインとそれぞれが持参したお酒を全部飲みきってしまったようです。
10時過ぎ、坂口さんと中西は就寝することにしましたが、あとの4人はまだ宴たけなわ。とうとう歌が始まりました。中島みゆきの「わかれうた」。えらい暗い歌を選ぶなあと思いつつも聞いてたら、2小節が終わったところで矢野さんの「ここまでしか覚えとらんのですわ」という声でたち消え。こら、眠れないじゃないか。続いて、今度はどこかの大学の歌。とても美しいハーモニーとは言えない合唱に、坂口さんがシュラフの中で大笑いしてます。悪い夢を見そうだわ。

12月8日曇り
翌朝、6時半起床。うっすらと雪が積もっていますが、降ってはいません。しかし、飲みすぎのせいか、へんてこな歌のせいか、二日酔いの模様。無理やり朝食を食べ、荷物を全部持って、7時半過ぎに広河原沢左俣へ向かいました。もっとも、二日酔いは私だけではなかったようですが。
結氷状態はイマイチで、最初の滝は巻き、次のナメ滝も薄氷の上を歩く感じで踏み抜かないように慎重に進み(踏み抜いた人もいたようですけど)、次の滝は凍っていたものの、滝つぼに冷たそうな水がたゆたゆしてるので左を巻きました。けれど、標高があがるにつれ氷の状態もよくなり、いくつかの小滝を登ることができました。
そして、大きなチョックストーンの滝を越えると、15メートル大滝です。時間がかかりそうなので巻こうという意見に、坂口リーダーの「登る」のツルの一声。祐さんがリードで登りました。見るからにむずかしそうで、私は背中のザックがますます重くなっていくのを感じてました。
2番目に私が登らせてもらいました。むずかしい上部は85度の傾斜だそうで(どうやって計ったのかしらん)、バイルをさす手に力が入り、指先がジンジン。フリークライミングのように腕を下げて休めるようにという祐さんのアドバイスを思い出し、ついでに落ちるのが恐いからクライミングが上達しないんだという誰かの声も思い出しちゃって、そんなこといわれたって、やっぱり落ちるのは恐いじゃん。と、ひぃひぃいいながら登り終えました。次に矢野さんが登ってきました。きのうのゲレンデでは力強いバイルさばきでしたが、今回は苦労しているようで、ビレィをしている祐さんが「あ、落ちた」。羽場さんはキャサリンが入った重いザックに苦しみ、常世田さんはリストバンドが付いていないピッケルと丸まったアイゼンに苦労されたようです。やっぱ、アイスクライミングは道具なんだなあ。
みんなが登ってくるのを待っている間に、「ちょっと先を偵察に行ってきて」といわれ、「はい」とザックをかついで次の滝のところまで進み「右側から行けま~す」と叫んでから、ハッと気づきました。羽場さんからお借りした大切なクォークを雪にぶっさしたまま、おいてきてしまった。「す、すいませーん。バイル、忘れてきましたぁぁぁ」。祐さんに「もう貸さないっていってたよ」といわれても、羽場さんに「借り物は大切にしよう」といわれても、何もいえない中西でした。しゅん。
しばらく進んだところで休憩。羽場さんは二日酔いがだいぶ響いているようです。「ヘリ呼んで」ですって。小雪がちらつき、気温はどんどん下がっています。登攀道具がバリバリに凍りついて、足の指が冷たくなってきました。上を見上げると最後のツララ状の滝が見えましたが、こっちは時間切れでパス。よかったぁ。あんなツララだらけの15メートルのハング滝(と、記録には書いてあった)なんて、登る元気残ってません。
中央稜に入っても、「あとちょっと」だと思っていた登りはちっとも終わらず、広い雪稜にでると、常世田さんと矢野さんがラッセルをしてどんどん進んでいき、そのあとを、みんなが少し遅れて一歩づつ登ります。霧の切れ間に阿弥陀岳の頂上が見えました。私は、すっかり疲れてしまって、ちょっとでっぱった岩を登るにも苦労する始末で、阿弥陀の頂上まで行くっていわれたらどーしよー。
午後4時半、あたりは夕闇がせまり、頂上へは行かないことになり一安心。阿弥陀の頂上直下から御小屋尾根を歩く長い長い下山です。途中でヘッデンを着けてひたすら歩きました。御小屋山の頂上を過ぎるとすぐに舟山十字路の分岐が見つかり、車にたどり着いたときは午後7時半を回っていました。
雪が降り出してきたので、急いで退却。高速のサービスエリアで一息ついたあと、それぞれの家路につきました。

戻る

Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Google Bookmarks