水無川オツルミズ沢

2000/9/22~23
メンバー:飯田・他1  飯田 記


10年以上昔に単独で挑んで入り口で敗退した因縁の沢である。しかし年もとり執着心も失せていたが、今はいない高橋史さんの大学の後輩(現役の大学生です)が行くと言うので(或いは行くと言わせて)その気になってしまった。
9月21日(木)朝東京を出発して15時に上越線浦佐の駅に着く。駅前のコンビニで食料を補充して水無川のキャンプ場迄歩く約2時間である。昔は道の至る処に潰れた蛇の死骸が転がっていたが今回は殆んど見られなかった。キャンプ場の屋根付き壁付きの素晴らしい休憩室(勿論無料です)でその日は休む。翌日はキャンプ場4時出発。5時オツルミズ沢出合いを出発。という計画にして静かな一夜を過ごす。金曜は天気が良いが土曜日はおかしくなると言う予報である。ワンチャンスである。何か予定外の事が起これば非常に不愉快且つ危険な雨中の遡行になる可能性がある。
9月22日(金)晴れ:予報通り天気は問題ない。4時にキャンプ場を出発して出合で出産と遡行準備を行った後に明るくなるのを待ち5時30分に遡行を開始する。どうでもよいところで飯田は恐い怖い病が発病してロープを出して貰う。直にカグラ滝が現れる。感動する迫力である。但し攀じるのは容易である。ザイルも不要である。しかもピンはベタベタに打って有る。その後のサナギ滝迄は高巻きもそんなに難しくはない。サナギ滝は最後の1ピッチが4級AOで吃驚してしまう(ピンは打って有ります)。しかし我々はルートを間違えていたのかもしれない。何しろ右の方により易しいと思われる壁が見えるのだが、そちらにトラバースをする方法が無かったのだから。
サナギ滝の上から大滝80m迄の高巻きは絶悪である。徹底的に上に上がれば一気に巻けるのだろうが100m以上も上がるのは落ちた時の事を考えると怖いし、降りれなくなるのではという恐怖で躊躇してしまう。小さく巻けば(それでも20m以上攣る事になる。20mも100mも落ちれば同じなのだが)直に行き詰まり一旦沢に降りてから再度登り直す事になる。しかも手場・足場共に絶悪でもし足場が崩れたなら決して手で掴んでいる草で体重を支えきれないこ事は明白である。
大滝80mの少し手前で相棒が高巻きを始めようと3・4m位登った所で赤ん坊大の浮き石と一緒に逆さまに転落する。一瞬どの様にして救助すべきか頭の中が真っ白になる。落ちて直に動こうとするので、先ず10分程安静にさせて各所に痛みが出ないか確かめる。幸い顔に少しばかり切り傷を作っただけで、他は殆ど無傷である。僥倖と言うべきか,悪運が強いと言うべきか。しばらく休み、心を落ちつけてから出発する。大滝80mは特に難しくもないが、場合が場合であるのでザイルを付けて挙る。大滝の上の滝を3つばかり超してからビバーク態勢に入る。
天気は段々悪くなってきている。明日の天気が思いやられる。それよりも今日のビバーク中に降られたら最悪である。明日は5時出発という事で一夜の睡眠をとる。
9月23日(土)曇り:朝から雲りである。しかし一晩中雨が降らずラッキーである。多分普段の心掛けが良いからであろう。5時出発の予定だがやっぱりある程度明るい5時30分出発となってしまった。高巻きの嫌らしさは前日と変わらない。ただ段々と規模が小さくなって来るのが分かる。飯田は気が緩んだのか釜に落ちて半身を濡らす事一回。高さ50cmの地点でのトラバースで足を滑らせ膝を擦りむく事1回(但し落ちてはいない)、これらは見栄を張って相棒には黙っている。
10時に駒の小屋に着き一寸休憩して下山にかかる。相棒は小屋で鏡を借りて名誉の負傷の痕を眺めていた。後は下山に3時間,キャンプ場でデボ品を回収して浦佐の駅まで2時間の歩きである。下山途中で雨がパラ付くが滞れる程ではない。キャンプ場から駅までの間では少し雨が強くなってきた。
本当に天気は危機一髪であった。相棒はその足で高校時代のクラブの同窓会に整形手術をした顔を見せに行った。
迫力のある沢である。時間の大部分は高巻きで消費している。如何に素早く高巻き或いは泳ぎをするかにより遡行時間は大幅に変わる。我々は飯田が落ちて半身を滞らした時以外はチンポの先も滞らしていない。泳いで釜を突破し滝に取り付いたほうが本当は面白いと思われる。雪渓があるにも拘わらず水もそんなに冷たくない。懸垂下降の支点作りの為こ持っていたシェリンゲは全て無くなってしまった。地図或いは遡行図こよってはカグラ滝とサナギ滝の位置が逆になっている。どちらが正しいのか分からないが,看板が在るわけでは無し、名前がどうであっても滝の説明さえ正しければどうでもよいのだが。岩は殆ど隙間が無くハーケンを受け付けない。ボルトが使用されている理由が良く分かる。

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